序幕
このサイトのシステムをまだよく理解していないのでテスト投稿。
------
まだ最初と最後とキャラクタ設定しか考えてません。
とある作品に影響を受けていますが、その結末を自分なりに再消化したいので書こうと決めました(いや、そっちも大団円だったのでそれはそれで満足なのですが)
「かみさま、っているの?」
眠る前の物語をねだるような声で、少年は尋ねた。
「神様、か。私にはまだ判らない、けれど」
声を返すのは初老の男性。少年を膝に座らせ、囲炉裏の火を見つめながら、言葉を句切った。
「けれど?」
「ご先祖様の霊は存在するかもしれないね」
「ごせんぞさま?」
「そう。私たちを産み育ててくれた全ての人たち」
「ぼくにも、ごせんぞさま、いる?」
孤児院、という割には貧相な家の、唯一暖を取れる場所。
少年は、ただ純粋に尋ねていた。自分が、どういう存在なのかを。自分の、拠り所を。
「ああ、いるよ」
男性は少年の頭を優しくなでる。
「この国の全ての人は、ご先祖様に守られている」
火の中の炭が、ぱきんと音を立てて崩れた。
しんと静まりかえった部屋に、音が吸い込まれていく。
「そこかしこに、御霊というかたちで私たちの生活を助けてくれている」
「……」
「お前が実際に使えるかは判らないが、間違いなくお前を助けてくれるだろう」
男性が、反応のない少年の方を見やると、先ほどまで目を大きくして聴いていたはずの少年が舟をこいでいた。
「また、明日も生きよう。私たちも『ご先祖様』になれるように」
少年の体を軽々と持ち上げると、男性は布団のある部屋へ少年を抱えていった。