表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/154

75・再生者

 ゼノアが意味も分からずお姫様にポコポコ叩かれてる様を横目に、もういいやと再び部屋の隅で転がって目をつむる。

 そろそろ休まなやばいのよ。というのも実は立ってるだけで結構フラフラするくらいには貧血だからね。

 ねー。そこの吸血鬼のお兄さん。

 ……ま、回復するならいいんだけどもさ。

 今後しばらく使わないユニットのリソースは全部消費してから撤収させる、なんて自分もザラにやるし、文句は言うけど理解はしよう。

「先生。少々よろしいでしょうか?」

 だけど撤収したユニットはそのまま舞台裏で休ませてやってほしいのよ。

 ありていに言えばそろそろ寝かせて。

 で、何ですかねミミリィ隊長。

「ハイなんでしょう」

 起き上がり声の方向へ、馬車の入り口に目を向ける。

 そこには疲れた表情の犬耳の女性が立っており、そのメイド服の所々が土と泥で汚れている。

「実はですね――」

「どうしたミミリィ。何かあったのか?」

 彼女はそれを今まさに言おうとしたのよ? ていうかなんで自分へ語り掛けられたのにお姫様がそれを聞くよ。

 あとあなたはそこの吸血鬼の頬っぺたむにむに引っ張るかミミリィ隊長に絡むかどっちかにしなさい。

「ええ、実は彼女が先生にお会いしたいと」

 そしてそれをスルーするミミリィ隊長はさすが慣れてる。

 で、彼女? だれ? 心当たりがない。

「むぅ? 誰だ?」

 だからお姫様は人のセリフをだねぇ。

 と、突っ込もうとした矢先だ。

「私です」

 もはや耳慣れてしまった声と共に、扉の向こうから一人の女性が現れた。

 そこには胸部に質量兵器を携えたメイド服を着た女性、先程まで斧持って振り回してたアニスさんがしおらしく……。

「はぁ」

 寝よ。

「寝るな」

「むぎゅ」

 お、お姫様はひどいや。人の背中を踏むなんて。

 これでも自分は今回の功労者なんだぞこーろーしゃ。今回頑張った人へ対する行動かそれは。

「うぅ……もちっと扱いをよくですねぇ――」

「で何しに来た?」

 聞けや。

「私は、その……は、ハセガワ様と、は、話がしたくて」

 ……様?

 様ってあなた、いや、まぁいいや。

「何のお話しー?」

「せめて起きろ」

 わき腹をツンツンしないでください。

「あのね。自分結構がんばったのですよ? ほんでそこの吸血鬼さんとその妹さんにたーくさん体液チューチューされて、とーってもフラフラしてますの。さっきも自分倒れそうだったでしょう? と言うか支えられなかったら倒れてパタンキューでしたよ。と言うか最初っからそういう意図で自分はお昼寝をするといっていたじゃないですか」

「……それは、まぁ、そうだが」

「わかったらもっと優しくしてください」

「……むぅ」

 ははははは。ぐうの音も出まい。

 これが被害者の強さよ小娘。

「それは……すまなかった」

 うむ。素直に謝れるのはいいことだぞ。

 謝罪の品があるとひとしおだ。

「許してあげるからケーキの一つでもくださいな」

「……」

「ぐぇ」

 さ、さすがに調子のりすぎたか。

「……そもそも考えてみればこれ、私そんなに悪くないよな」

 は? この小娘は何を言うかと思えば――

「なぁゼノア。ナルミがこうなった責任は私よりお前にあると思うんだが、どう思う?」

 ごめん。続けて。

「……しばらく休むのだからリソースは全部消費させてから撤退させた方がいいと思ってな」

 おい。ゼノア貴様、おい。

 自分は画面の向こうのユニットと違うぞお前。

「それに俺もいろいろやったぞ。あの樹の魔獣を一番焼き払ったのは俺だ」

「その発生源を沈黙させたのはこいつだが」

 いいぞいいぞ。言ったれ言ったれ。

「……そうだな、ナルミ。今度飯を奢ってやろう。好きなだけ食うがいい」

 え!?

「お、ま、え、は――」

「ほんと! おなかいっぱい食べていいの!?」

「あ、あぁ。なんでもいいぞ」

「やったぜ」

 ふふふふふ。破産させる勢いで食ってやるぜ。

「財布の中身が残ると思うなよ」

「……急に声色を落とすな。怖い」

 お前その顔面携えてよう言うわ。

 しかし……なんだろうね。

 着実にこの兄妹が自分の財布と化しそうな勢いなんだが……まぁ、いいだろ。

「……」

「いたっ!」

 そしてお姫様に容赦なくシバかれるゼノアさんよ。

「お前はそれでいいのか、ナルミ」

 大丈夫だって。能力使った自分にとって、正直これくらいならなんともない。

 というか、無理だったら殴ってでも断るし。

「いーのいーの。再生者(リジェネ―タ)舐めたらあかんぜよ。血ぃ足りないくらいならすぐ治るさ」

 さーて、この前パイは食べたし、ゼノア君には何で破産してもらいましょうかね。

 そうだ! 確か帝国は豚がおいしいという話だし、せっかくだから産地直送の――

「……再生者(リジェネ―タ)って、どういうことだ?」

 ぎゃふん。

 あ、いやでも、この世界ならそういうのがあっても不思議じゃない。

 ほら、そこで突っ立ってる鎧だっていろんなスキル持ってたし、そういうのだ。

「自己回復できるって事ですよ。プラナリアの如く、とまではいかないかもわかりませんけど、なくなった血を回復するくらいならある程度いけますわ」

 おなかはすくけどな。

「『再生』系統の最上位スキルか……珍しい能力を」

 うんまぁそれでいいや。

「……あれだけだけの身体能力を持ってその上自己回復までする。本当に人間は肉弾戦に特化した種族ですね」

「こいつを接近戦で倒せる自信はないな」

「と言うかこれ人類で会得できるスキルでしたっけ?」

「だいたいが錬金生物の持つスキルだが、旧き竜族で持っていた者がごくわずかにいた気がする。今度調べてみよう」

 スゥ君とゼノアがなんか言ってるが気にしてはいけない。

 で、もういい? いくら自己回復とはいえ――

「もう一つ、気になったことがあるんだが」

「はいはいなんざんしょなんざんしょ」

 もう何も突っ込まん。

 で、なんねお姫様や。

「プラナリアってなんだ?」

 ……君はどうでもいいところに興味持つわね。

「切っても切っても再生する謎生物ですよ。頭切ったらその分頭が増えるし、輪切りにしたらその数だけプラナリアが増えるっていう感じです。見た目は愛嬌あるんですけどねぇ」

「……それ、死ぬのか?」

「温度変化や水質変化に弱いらしいですから割と簡単に死にますよ? 自分の友達も昔子供のころに近所の川で捕まえて次の日見たら死んでたとかありましたし」

 ちなみにそいつはその年の夏休みの宿題で『プラナリアを捕まえました』と『プラナリアが全滅しました』とだけ書いたものを観察日記として提出して怒られていました。

「……そんなのがそこらに棲んでいるとは、人間の国とはどうなっているのだ」

 そしてお姫様がなんか誤解してる。

 あれか? プラナリアを怪物か何かと勘違いしてないか?

 奴ら微生物だからね? すぅんごく小さこい生物だからね?

「あの――」

「ま、ここらに存在しない生き物の話はこれくらいでいいだろう。考えても栓のない事だ」

 聞いて!

「それらについてはまた今度聞くとして、それよりもアニス、話とは何だ?」

 ……あ、ごめんアニスさん。すっかり忘れとったわ。

 ごめんよ。だからそんな微妙な顔せんといて。


正直昔某ピクシブでアンチに叩かれて潰されたトラウマから感想の中身は見れてないですが、情報のところでブックマーク数と感想数が増えると勝手にやったぜってきもちになってます。

中身見ないでクリスマスプレゼントの数だけ数えて喜ぶ子供みたいな感じで。

それがサンタさんからのプレゼントでもスケリントンさんからのプレゼントでも、クリスマスプレゼントの数としてみればうれしいものなのです。

でもいつかちゃんと中身は確認したいなと思ってはいます。

まぁ何が言いたいかと言うと、


いつも見てくれてる皆さんありがとうございます。

コメントブックマークありがとう、これからもよろしくね。

ただコメントを残してくれてる方はごめんなさい。

でも増えるとうれしいしいつか見るのでこれからもコメント残してね!


ということです。

コメント乞食と言ったらだめだぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ