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59・食糧庫兼同僚

 それからしばらく語る二人曰くその人物はなんでもこの国、トゥインバル王国に在籍し昔から王族に対しつかず離れずな距離感を保っているらしい。

 種族は心霊種(ハーツ)というもので、という見た目はゼノアさんを銀髪にして目元を柔らかくしてしなやかさを足したみたいなものだという。殆ど別人じゃねぇか。

 そしてその心霊種(ハーツ)という種族は心や精神に影響する魔法が得意なものらしい。話を聞くに『睡眠』や『疲労』といった状態異常が得意な白魔術師タイプだね。

 ……と、言えば聞えはいいが、どうやらそれだけでは留まらず精神操作や洗脳、記憶操作に魔力吸収と割と洒落にならない事もできるのだとか。

 伝説には国一つを洗脳して配下にしたり、魔物の群れを精神操作して集落を守ったりと良くも悪くも色々やってるのだ。

 ……で、自分は当然ここで疑問を持つのよね。ならそいつ引っ張り出して敵を洗脳すれば戦争終わるじゃん。と

 それをそのまま口にしたところ、シルバちゃんが非常に答えにくそうに教えてくれた。

「……表向きは、存在しないことになってるんです」

「存在しない?」

「ええ。というのも理由は先生と同じで伝説的種族であり、あまり公にしたくないのが理由です。本人もそれを望んでいます。で、実は彼は本来は私の実家、ランドルフ家の使用人として現在は働いていまして国の機関に所属してはいないのです。ですから表立って彼だけつれて戦地に行くというのは難しいんです。あとは存在が存在だけにいざとなったら正体を隠しきれないというのもあります」

 ちなみにその正体を知ってるのは王族とランドルフ家の信頼できる関係者くらいだとも彼女は言う。

 なんつーか、その心霊種さんも難儀だねぇ。同情しよう。

 だがそれだけで連れて行かないのは……ちょっと理由に難がないですか?

「それだけ?」

「……あー、その、それに加えて性格に、難が」

 ……あぁ。

「基本的に彼は、その、姫様の言う事を聞かずに独断で動くことが多く……それも、うん」

「あいつのせいで何回か危険な目にあってるから王都防衛以外させていない。あいつ、親バカを拗らせていてな。シルバに少しでも何かあると、うん。過保護なんだ」

 あー、その、なんだ、うん。お姫様が遠くを見つめるその目がすべてを物語ってるね。

「彼は昔から私の教育係だったのですが……きっと、子供をただのペットとしか考えてないタイプなんですよ。叱ることもせず、ただ苦手なこと嫌いなことをさせず、甘やかすことだけが教育だとはき違えて育てた気になってる。そういう人です。人形遊びのようにかわいがるだけかわいがって、嫌われそうなことには手を出さない。そう言う人」

 実に苦々しげで、忌々しいといわんばかりの顔でシルバちゃんは言う。

 育てた子にここまで言われるとは……世に言う怒らない教育を拗らせたタイプか。

 迷惑だよね、ああいうの。

「……よく無理やり追ってくるとかしないね」

「情報を渡していない。もっと言えば、ランドルフ家の屋敷から出ないように監視している」

 うわぁ……。

 ま、まぁいいや。で、もう一つ疑問がさっき浮かんだからそれも聞こうか。

「……まぁそれは置いといて。ならアレでない? そういう伝説の種族が近くにいるなら人間相手にあんなテンション上がったのはなんでなん?」

 ぶっちゃけ珍しい種族がそんな近くにいるなら、あそこまでテンション上がらない気がするのだ。というか最初に人間の存在を否定されたのはなぜなのだろうか。

「あぁー、それはまぁ本質的に人間と心霊種は伝承について色々違いがありますからね」

 頬を掻きながらシルバちゃんが言う。その顔はどこか困ったような表情をしている。

 ……まぁ色々違いがあるって、そりゃぁそうだろうと思うのだが何を困っているのだろう。

 だって日本昔話で例えるなら、猿のでるお話なら猿蟹合戦や桃太郎があるが、狸が出るのはブンブク茶釜やかちかち山といった具合にお話が変わるのは当然だろうに。

「……ちなみに先に言っとくが、いちばんのテンション上がった理由は伝説の種族を手に入れる事ができるかもしれないと思ったのが一番だ。なんだかんだで私は心霊種を従えるシルバが羨ましかったからな」

 笑いながら言うお姫様。なるほど、そういうブランド的なものもあったのか。

 やっぱり最初は人間だから拾われたのね。

 ま、今更もうショック受けるようなこたないけど。

 で、話は戻るがその色々な違いって?

 といおうとした所でシルバちゃんが苦笑しながら先に答えを教えてくれた。

「まぁ、それは私知っていまたが。で、伝承の違いについてなんですが、人間とその他伝説の二種族の違いは、確実に実在した事が証明されているかいないかが一番の要因です」

 ……伝説のもう一種族については後で聞くことにしよう。

「というのも、他二種族は伝説にもなってはいますが、確実に歴史の表舞台に出てきている者がいるからです。例えば心霊種なら約1700年前に西方極地で建国されたゴレッサ王国の初代魔王が心霊種です。対して人間はと言うと、まず存在する人間の個人が一人しかいないこと。表舞台に出た痕跡が御伽噺だけでその内容も突拍子もなく、正式な記録も残されていない事。そして何より魔力がないという普通は生きていけないような特性から完全に夢物語の存在だったんですよ」

 ……なるほどねぇ。つまりいうなれば天之御中主神あめのみなかぬしのかみ高御産巣日神(たかみむすひのかみ)は存在が確定しているが神産巣日神(かみむすひのかみ)は眉唾だった――ごめん少しシルバちゃんに対抗して博識ぶりたいがためにわけわかんない例だした。

 まぁ、あれだね。赤色と白色の薔薇は今まであったが青色はない、と思ってたら実はあった的な?

 うん、これ以上ボロを出すのはやめよう。

「そんな訳で人間は存在自体が疑問視されていたんです。最近では学者の中でも人間の存在を提言するだけで精神を疑われたりするくらいです。以上が、私がお兄様に聞かされた人間と他二種族の違いです」

「一応補足するがだからといって他の二種族が珍しくないわけじゃないからな? 確かに存在を残す事はしたがそれでも珍しい種族には変わりない。歴史上でも一番新しいのが先程の1700年前のもので、それぞれ殆ど表に出てきていない」

「……それぞれ何人くらいでしたっけ?」

「ん? えっと……正式なものなら心霊種が五人。混沌種(カオス)が八人だな」

 あぁ、やっぱり少ないんだってちょっとまて。

「はい質問です。カオスってなんですか?」

「もう一つの伝説の種族です。人間が肉体、心霊種が精神なら混沌種は魔力の扱いに長けた種族ですね」

「混沌種は純粋な魔力を扱うもので、史実に残っているのは現代魔術を確立させたゴルダス・デラ・カノレイラ・ピピという魔女だな。私の尊敬する人物の一人だ。またそれとは別に魔術種(ウィザード)という彼らの下位種とされるのもいるが、それはまぁフツーにそこらにいる種族だ」

 なるほどねぇ。名前なげぇな。語感も正直意味わからん。

 とりあえず、名前が長いのとなんか魔法関連で社会貢献したということはわかった。

 と、ここまで言ってお姫様がなにやら思い出したように付け加える。

「……あと一応私の幻想種(ファントム)やシルバの吸血種(ヴァンパイア)も珍しい分類になるしそこそこ伝承に出てくる種族だぞ。伝説とまでは行かないが、英雄だとかは結構いる。というか私は心霊種と混沌種の配合された種だとも一説には言われている」

 ……そうなんだ。そんな胸張られてもしらんけども。

 というか配合って、家畜かな?

「……ふぅ。ちなみに兎種(ラビット)はそれこそ並ですね。伝承にもたまに出ますが、まぁ他の種族と同じくらいです。目立った活躍はありません」

 お、スゥ君復活。耳は大丈夫かい?

「ふぅん。色々あるんだねぇ」

 まさにファンタジーなお話だ。と自分がひとり納得していると、お姫様が何かを思い出したのか困ったような、苦々しいような顔をした。

「……あ、そうだ一番大事なこと忘れてた」

 彼女はそう言うと、自分の事をじっと見つめ……なんね。

「あれ? まだなんかありましたっけ?」

 なんだろうね。伝説ではないがまだ語られていない種族がいる、とか?

 はたまた神様とかの話にまで触手突っ込もうという気してるとか? だとしたらちょっと勘弁かな。神様とかは自分――

「とても言いにくいのだが、帝都攻略の際に単体で魔獣を駆逐及び一軍を蹴散らす事ができるナルミを単独で潜入させ偵察と破壊活動を行ってはどうかといった案がでた」

 ……へ?

「そしてそれが通った。敵の本拠地に攻め入る際、お前に一人で内部から切り崩しを行ってもらうことになる」

 いやいやいやいや。

 さっすがにこりゃぁ言葉が出ないわ。なーんで伝説の傭兵でもあるまいに、敵本拠地で破壊活動なんて素人になんでそんな大それたことをやらせようとするんね。

 そしてあの話の流れでどうしてそんな内容を思い出――

「どういう事なんですか!!」

 うぉ!? び、びっくらこいた。

 シ、シルバちゃん? そんないきなりでっかい声出さんでな。びっくらこくべさ。

「そんなのわたし聞いてないです!」

「まぁ、この話が出てた時お前はいなかったからな」

 詰め寄るシルバちゃんとたじろぐお姫様。

 なかなか珍しい光景だ。

「魔獣が闊歩する街中に一人だけで行けなんて! 先生に死ねっていうんですか!?」

 お、おうおう熱くなっちゃて。そこまで心配されてるとお弁当冥利に尽きるよ。

 ただ君がかわりに怒ってくれるおかげで自分が文句言うタイミングがどっかいったのはどうしたものか。

「いくらなんでもそんなの許容できません! いくら先生でもそんな危険な目にあわせるなんて!」

「んもうっ! そんなこと言ったって仕方がないじゃないか!」

 あ、お姫様が怒った。

「私だってこんなことしたくないもん! 私も何とかしたかったもん! でも、だけどお姉ちゃんをいかせないようにするのが限界だったの!」

「……はぇ?」

 ……あ、なんか予想外なことがあったのか、お姉ちゃんが固まった。

 今がチャンスかもわからん。

「はいはーい。順を追って説明してください」

 自分がそう呼びかけると、お姫様は少し膨れながら自分を見る。その目は若干潤んでいた。

「……王都へ通信を行った時に、お前の事も報告した。同時に映像記録用の魔石であの時の様子を送ったんだ。さすがに魔獣があれだけ出てきては、ただ言葉で伝えるのでは信憑性も薄く、兄様をここまで呼べなかったからな」

 ふむ。まぁそりゃぁ、報告せんといかんのはどこの世界も同じだものな。

 と言うか自分は映像記録用の魔石と言うものがあるという事がびっくりです。やっぱり魔法は便利いだね。正直侮ってた。

 でもそれならデジカメ欲しがる必要なかったんじゃないかなぁ。

「だが、それでまぁ、ちょっと、ココがアレな奴にお前の存在がばれてしまってな」

 そう言いながら彼女はこめかみを苦い顔して人差し指でトントン叩く。きっとここがクルクルでパーだと言いたいんだろう。

「まぁそれは想定内、と言うか確実にばれるだろうとはおもっていたのだったのだが……そいつがな、言い出したのだ。『そこまでの戦力があるならそいつ一人で帝都を落とせばいい』と」

 ……あー。

「無論それはできないと言ったが、正直映像があるが故なぜできないのか具体的説明ができなかった。しかもあいつはこともあろうに私の護衛が減り危険にさらされるのが怖いのかと言いおってな、引くに引けなかったんだ。見方を変えれば私の安全のため、兵の犠牲も厭わないと言われかねんからな」

 王族って大変ねぇ。どこまでも面子を気にしなきゃならんからね。

 でもはいはい。登場人物が足らないと思います。

「じゃあ、なんでシルバちゃんがでてくるの?」

「それに関してはシルバが持つ技能の問題だ。大量の魔獣やあいつらの使った転送用魔法陣などから推察するに、おそらくどこぞのダンジョンの遺物あたりを引っ張ってきたのだろうというのが今のところの私たちの考えでな。そしてそう言うのに一番明るいのはシルバなんだ」

 あー、そうか。さすが遺跡狩り。

 ……こら、照れるな。この視線はそんな称賛のこもったものじゃぁないぞ。

「だから当初は魔獣を駆逐するナルミと遺物を破壊するシルバの二人で侵入し内部工作を行ってはどうだ、という話が出たのだが……まぁ、それとこれとは話は別だ。生身の人が単身魔獣の巣に侵入したところで死ぬのがオチだ。最悪お前がシルバを護ってパフォーマンスが下がる可能性もある。そうなれば目も当てられない」

 ……あのさぁ。

「そこ自分も『生身の人』のカテゴリに含んでくれませんかね」

「……ふっ」

 あ、こいつ鼻で笑いやがった。

「人間の癖に面白いこと言うな」

 やっぱりこいつ反省してないんではなかろうか。

 とかやってるとシルバちゃんが怒りで顔を赤く染めながら……おいこら牙剥くな。だからお前はあいつの妹なんだから。怖いから。

「でも! 話は分かりましたけどそんなのおかしいです! なんで先生が一人で危険に飛び込まなくちゃいけないんですか! もっと別の方法があるはずです! 王都で腐ってる無能の言葉なんて無視すればいいんですよ!」

「そうは言うがなシルバ」

 いきり声を荒げるシルバちゃんに対して、お姫様は慈愛に満ちた優しい声で囁きながら、彼女の頬をそっと撫でる。まるで興奮する猫をたしなめるように。

「正直私も危険なことを言っているとは思ってる。でもな、はっきり言わせてもらえば、私もこれが一番被害が抑えられる方法だと思ってるんだ。内部の詳しい情報がわからない以上、下手をすれば兵をすべて奴らの餌として捧げることになる可能性さえある。それならば

魔獣を駆逐できるナルミに内部から不意打ちをかけてもらって、外部から私たちは切り崩しにかかるのが一番だと思うんだ。そう思ってしまったからこそ、強く反対できなかったんだ」

「……言いたいことはわかりますけど、でも、それでもやっぱり先生一人というのは――」

「あぁ、危険かもしれない。でもナルミならできると私は信じている。お前はあいつを信じてやれないのか?」

「そんなこと! もちろん信じていますけど! でも、でも! ……じゃあ私も行きます! 先生一人にそんな重荷を背負わせるなんてできません! 先生が行くなら、私も行きます!」

「それはできない。シルバだって大事な戦力だ。お前にはお前しかできない役割があるんだ」

「そんなの! でも、でも!」

「いいかシルバ、これは感情じゃないんだ。私たちのするべきことはいかに被害なく敵を斃せるかだ。。私たちは多くの命を救わなくてはならないんだ。一度冷静になれ」

「う、うぅ~!」

 そうそう、感情じゃなく勘定で物事を考えなきゃ。

 なーんてくだらないこと考えてる場合じゃないね。いつの間にかお姫様がシルバちゃんを泣かしにかかってる。

 どうにかしなきゃいけない奴ですかねこれ。

 でもどうすったっても……はぁ。しゃぁないか。

「……おっけ、わかったよ。自分が一人で内部潜入して、色々やりゃいんだべ?」

「先生!」

 うん、いやシルバちゃんがそうやって心配してくれる気持ちはうれしいけど、これしか手がないなら仕方がない。

 まぁ今の自分はどこかの自称神様のおかげで割合万能チックだからなんとかなるさ。

「ナルミ、頼めるか? 内部に侵入し魔獣の根源の破壊、または敵の頭の討伐。簡単ではないはずだ」

「いいでしょう。でもご褒美は弾んでね」

 ホントはやりたくないけどねー。

 でも今自分がこれを引き受けないことにより多くの命が危険にさらされるのなら、それはとっても精神衛生に悪い事なのだ。

 それに今の自分は力があるんだ。なんとかなる。

 ……あんまこれに頼りすぎるのは良くないと思うがね。

 よくある、力に酔って飲み込まれるとか、ありそうだもん。

「ダメです!」

 そしてシルバちゃんはもしかしたら、それを見越してこうやって自分を止めようとしているんじゃないかな、とかふと思った。

 ま、そんなこたないだろうけど。

「そんな、いくら先生でも魔獣の巣に一人でなんて、だめです! 危ないです!」

 ……ほんとこの反応は自分に好意を持ってるからか食糧庫がなくなるのが怖いからか、判別できん。

 どっちにしろ心配はされてるようだけども。そこは素直にうれしいね。

 が、それとこれとは話が別だ。

「そう言ってくれるのは嬉しいけど、これは自分がやんなきゃいけないんでしょう? ならやんなきゃお話しが進まないべさ。安心しなさいな。何とかするからさ」

 微笑みながら彼女に言う。するとどうだ、彼女は自分を睨み付けながら……うん?

「……私に自己犠牲はするなっていったくせに」

 あー、そんなこと言ったことがあった気がする。確か焼身特攻かけようとした時だ。

 確かにそれ言った手前これは……えっと、言い訳言い訳。

「……犠牲じゃないからいいの。君のあれは自傷行為で自分のこれはそうではない。そういうこと。これで納得できないなら……反面教師にしときなさい」

 お、うまいこと言った気がする。

「そんな詭弁……」

 ほら、彼女も反論がみつかんないのか口を開きはしたが言葉は出てこない。

 しかしそれでも何か言いたいのか彼女が口をパクパクしていると――

「シルバ、そこまでにしとけ」

 その頬をお姫様の両手でむにゅっと押しつぶされた。

「ひぇも――」

「信じ託すことも、時には必要だ。ナルミを、信じてやれ」

 そして数瞬の沈黙が流れる。なおこの間お姫様はむーにむーにとシルバちゃんの頬をいじりたおしていた。いいなぁ。

「……うん」

「よし! 決まりだな!」

 シルバちゃんが沈黙を破り頷くと、お姫様は嬉しそうに笑顔を作って頬を放す。

 どうやらまとまったみたいだね。えがったえがった。

「……先生」

「うん?」

「絶対、無事に戻ってくださいね」

「……はい」

 しかしここまで心配されると自分も――

「まったく、しかしシルバも心配性だな」

「だ、だって、先生に何かあったら、その……私も悲しいですし、まだいっぱいお話ししたいですし、それに、もう血ももらえないですし仕事もふえるし、お兄様に……とにかく困るんです!」

 あ、はい。ごめん食糧庫兼同僚だもんね。うん。

 給食如きが勘違いしてすみませんでした。


「……あ、そうだナルミ、一つ聞きたいのだが」

「え、なんすか?」

「なんか、紅い鎧姿の冒険者がここら辺をウロウロしてたという話を聞いたんだが」

「……え?」

「お前が前言ってたやつとは違うよな?」

「……しらないっす」

 え~。


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