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23・バカと煙

「ふふふふふ、実に楽しみだ。俺も久しぶりにに全力を出すとするか」

 いやそんなあなた『よーしパパ久しぶりにおいしい料理作っちゃうぞ』的なノリは必要ありませんから。

 しかしそんな自分の願いも空しく彼は肩を回して……あぁ、そうねヤル気満々ね。

 あぁ、何で自分はこんな頭のハジケた戦闘狂い(バーサーカー)と遭遇してしまったのか。本当、どうしよう。

 少なくとも今自分の頭の中で選択可能なコマンドは『逃げる』というものただ一つ。というかこんな死屍累々とした屍の山を作った野郎と正面切って勝負なんてしませんよ。

 しかしだ、逃げるにしてもだ。これは一体どうやって逃げるのが正解なんでしょう。

 ルートは二つ。後ろ振り向いてダッシュで階段駆け下りるか、F12を使ってどうにかして空を飛んで逃げるかのどっちかだ。

 ……正直どっちもどっちだね。

 階段下りてもたぶんあっちはここの住人だろうから下手したら追い詰められるかもわからんし、空を飛んでもあそこの変な人の背中には翼があるし飛べるのだろう。

 あー、もうどうしろっていうんだよ。

「……い」

 どーにか誰か助けてくんねーかなぁ。この際ゼノアの一人でもこっちに来たらいいのにな。

「……おい」

 というかあれだよね。こんなに兵士さん転がってるのに何で誰も――

「おい!!」

「あっひゃぁ!?」

 び、びっくりした! いつの間に目の前まで来てたんだよ。びびったわ。

「ったく。話を聞け」

「は、はいなんでしょ?」

「とりあえず、今ここで事を始める程俺も愚かでは無い。だからまず、あそこの奴ら片付けんの手伝ってくれ」

 そう言って彼は床に転がっている兵士さんたちを指差した。

 つまりあれか? 自分がやられるリングを作るのを手伝えってか?

 ……なんか今更だが、この世界で自分に拒否権はなさそうな気がするのは気のせいか?


 そしてそれから十分くらい、自分は謎の男と共に兵士の片づけを行ったのである。

「……これ、片付けたって言うんすか? 風邪ひきませんか?」

 とはいえ隅っこに寄せられてるだけである。完全放置プレイ。かわいそうに。

「大丈夫だ。これくらいで風邪なぞ引かれたら兵士としてやっていけない」

 兵士さんをフルボッコにして打ち捨てるあなたはむしろ人としてやっていけないと思う。

 あとそれ、多分あなただけの常識です。

「まーそんな訳で」

 と、自分が冷静に心の中でツッコミを入れているうちに彼はツカツカと入り口まで近づき己の剣を引っこ抜き、構える。

 夕日を反射し紅色に煌く剣を持つ灰色の翼の青年のその姿は、まさに威風堂々を体現したかのようなものだった。

 なんなのこいつ、なんでこいつこんなメッチャいい笑顔できんの?

「さぁ、始めようか」

 うるせぇよ。

 あーもう油断した。出口を取られるとは何たる不覚。

 もういっそさっき剣を投げられた時に叩き折ってしまえばよかったかな?

「あ、ちなみに逃げようとか思わない方がいいぞ。逃げ出したら罰として毎日探し出して戦ってやる」

 逃げ場なーし。

 本当どうしよう。これ割とピンチ。

 だって相手はちょっとハジケた兵士さん数十人をけちょんけちょんにできる戦闘狂い(バーサーカー)でしょ? 絶対相手なんかしたくない。

 しかもこっち丸腰なのに対してあっちは中々に凶悪な武器を……ん? 武器? そだ!

「いやぁー、生憎自分は今獲物を持ってないのでマトモに戦えないんすよー。あー、残念残念」

 ふっふっふ、どうだこの秘策。これで逃げられる。

 この人も見た限り大剣一本しか持ってないし、武器を渡されてしまうことも無いだろう。

「ん?じゃあそこに転がってる兵士の剣持ってこいよ」

 ……秘策、失敗。

「……じゃあ、使わして貰います」

 あきらめた自分はテキトーに剣を一方拝借した。70センチほどの両刃の洋剣。

 もうこれは下手なことやってこれ以上面倒な事にするより、大人しく戦って適当に満足させるのが一番だと思う。

 でもなぁ……こいつが勝ったら『修行が足りん!』とか言って煽ってきそうだし、だからといって自分が勝ったら粘着してきそうだし本当面倒。いやあくまで勝手なイメージだがね。

 全く。どこでルート間違えたのだか。

 ……あととった手前こう言うのもなんだが、自分こういう剣の使い方って全く知らないのん。

 こっち来てからのメインウェポンはスコップだったしね。隙を見て変えよう。

「それじゃあ試合を始めようか。良い試合になる事を期待している」

 そう言いながら奴は大剣を構える手を強く握る。

 本当、中々様になってはいるが……そんなの自分には関係ねぇよ。なぁにが良い試合だこのヤロー。馬鹿にしやがって。

 こちとら明日の事でいっぱいいっぱいなの! テスト前夜で勉強しなきゃと思いながら結局何もできずにコントローラー掴んでしまう時の心境なの!!

 ふんだ! いいよそんならこっちも考えがある!!

 お前を自分のストレス解消に利用してやる!

 考えてみたら自分だって近衛隊とか人攫い相手に大立ち周りを披露したんだ! それによくわかんない能力だってある!

 一方的にボコられるイメージしか想像できていなかったが、自分だってやってやるさ!!

「わぁったよ……そっちが巻き込んだんだからな! 後悔すんなよ!?」

 そう言いながら片手で剣を持ち、見よう見まねで構えてみる。

 確かゲームではこうやっていたはずだ。 

「ハッ! 言うじゃねーか!」

 そう言いながら奴は自分目掛けてかなりのスピードで駆けてきて、そのまま横なぎに切り掛かる。

 自分はそれをバックステップで大きく避ける。すると風を切る音と同時に舌打が聞こえてきた。

「チッ! テキトーに避けやがって」

 そりゃ素人ですからね。とは言わないで、答えの代わりに自分は持ってる剣を奴に目掛けて投擲する。あくまで軽くだけどね。

「うおっ!?」

 自分の予想通り、予想外の行動だったのだろう奴はそのまま大きく身体をずらして回避する。

 その瞬間である。自分は歩幅が大きいのを生かして一瞬で奴に近寄って――

「やべっ……おふ!?」

 そのままそいつの後ろに周り、背後から抱き着いてやった。成功だ。

 うふふふ……男に抱き付かれてさぞ気持ち悪かろう。

 なにせ自分も今気持ち悪いからな。汗くせぇ。

「……お前、そっちの気か?」

「まっさかー。こうすんの、さ!!」

 あっけらかんとは言いながら、自分はそいつごと上半身を後ろに反り返らせ……要するにバックドロップである。

「むご!?」

 ドゴンという派手な音と共に、無様な声を上げてひっくり返るその男。自業自得である。

 ふはははは! 残念ながらいくつかのプロレス技はF12(のうりょく)使わなくてもデフォルトで習得済みだ!

 つってもこれとドロップキックとコブラツイストとパワーボムとパイルドライバーとチキンウイングアームロックと……あ、意外に習得技数多かった。

「ふ、ふん! これがプロレスラーの力だ!!」

 あまりに綺麗に入った事で、若干動揺しながら立ち上がる。

 だってあれよ、出来はするけど成功率はお察しだもん。実践でパワーボムなんて誰がかかるかって話ですよ。

 所詮趣味の産物です。

 あ、そうそうこいつの剣を遠くに蹴っ飛ばしとこ。危険だし。

 と、そんな事をやってはみたが、奴さんは待てど暮らせど動く気配もなくひっくり返っている。

 ……とりあえず、勝ったっぽい?

 動かない、よね?

「か、かっ「…つっぅ~、効いたぁ!」

 おうふっ!?

 びっくりした。

 だって倒した思ったらフツーに頭摩りながら立ってきたんだもん! なんだよこの時間差!

「クソッ……なんだお前のそのぷろれすらーとか言う武術。見たことも聞いたこともねぇぞ」

 いってーとか言いながらも目を輝かせてこっちを見てくる。

 ……こっちもプロレスラーを武術の名前と認識した人初めて見たよ。

 あ、いやアレは武術か? いや、どうなんだ?

「にしてもつえーなおまえ。よし、俺も久しぶりに本気出そう!」

 待て、お前さっき全力で云々って言っとらんかったか? なんだ本気って。

 待て、なにぶつぶつ唱えてんの?なんで君の周りに炎がいきなり発生してんの?

 そしてそれがなんで君に纏わり付きはじめてんの?

「……我こそ炎を統べる者、今我の内なる熱を、血を、肉を、魔を糧にここに力を解放せん。我こそが人にして炎であり熱である。体現せよ、『太陽の従者(コロナ)』」

 ぎゃぁぁぁぁ!! イテェ! 超イテェ! うわっ! うわっ! うっわぁ!!

 なにこの中学生が考えたような魔法の呪文! 本当に効果あんの!?

 いやあるけど! 今現在自分の|墓場まで持って生きたい思い出《中二病時代》を掘り起こして精神攻撃しかけて消えるけど! 本当やめてください!!

 ……あ、そして本当に効果があったわ。目に見えてあったわバカにしてごめん。

 奴が呪文を言い終わると、奴の周りで小さな太陽みたいな丸い発光体が、いくつも浮かんで彼を中心に回っている。まるであれだ、太陽と惑星みたいな。

 なんかあれだな、ファンネルみたいな。

 そう思ってる自分を余所に、彼は次に大きく右手を横に振るとあら不思議、何かいきなり細身の炎の剣が一本出てきた。

 そして彼はそれを構えて、心底楽しそうに笑いながら言うのである。

「我は『爆熱の騎士』バリス! 今ここにお前を強者と認めよう! 参る!!」

 ……いや、知らんがな。爆熱の騎士とかいう二つ名以前にお前の本名知らんがな。

 そんな風に自分が反応に困っていると、先程高らかに恥ずかしい呪文と誇らしげに恥ずかしい名前を叫んだバリスとやらは全然こちらに参らず、ただじっと自分を見ているだけであった。

 なんだ、どうした?

「……なんか、反応はないのか?」

「……何に対して?」

 あ、へこんだ。

 ……あー、じゃあ自分は『我はダークフレイムなんちゃらー』とか言えばよかったかな?

 今こそ闇の契約をー、とか静まれ俺の右腕とか、初カキコ、どもとか。

「……とりあえず、いくぞ!」

 しかしすぐに立ち直ったバリスはそう言いながら切り掛かろうと駆け出すが……うん。

「くんな! F12『影パンチ』!!」

「ごふぁ!!」

 ゴスッ! と腹に拳のめり込む鈍い音が聞えてきた。

 それは駆けてくる彼の腹に、自分の『影』が放ったパンチがめり込んだ音である。

 どうだ、実体を持たせた『蠢く収納影』のパンチは効いただろう。自分の後ろに夕日があって助かった。

 しかしあれだな、格ゲーならエアリアルコンボの起点になりそうなくらい綺麗に入ったな。

「つ、つっー……、な、なんだ!? 影が動いたぞ!!」

 ……にしても元気だな。もう立ってきた。

 なんか、こいつヒットポイント無限とか言わないよね?

 なんかほら、お腹押さえながら体制をたて直して、疑問を素直に口に出すくらいに余裕があるんだもん。

 ……うん、彼は強い。それでいいじゃないか。だから負けたところで問題ないよね?

 決して面倒になったわけではない。

「……ねぇ、もう自分の負けで良いから終わってくんね?」

「だめに決まってんだろ! 焔よ爆散せよ! 『爆滅する焔(ファイアボム)』!!」

 ですよねー。

 奴の呪文と共にサッカーボール大の炎球が五つ、まるで彗星のようにこちらに目掛けて……なにやってんのお前!?

 今お前何気に爆散とか言ったよね!? なに自分を爆発四散させたいの!? ふざけんな!!

 ちなみにこれ文脈的には自分じゃなく焔の方が勝手に爆発するんでないの、と気付いたのはだいぶ後だ。

 それは置いといて、自分はとっさに、本当に考えるよりも早くまるで受け止めるように右手を突き出した。

 『とった!』と小さな声が聞こえたが関係ない。今の自分の右手は――そう。

 F12『魔術無効化の右手』

 名付けた直後、『パキンッ!』いうガラスがはじける様な小気味のいい音がした。

 自分の右手にしっかりと魔法が着弾し、そのまま霧散した音である。

 よかった! まだ自分生きてる!!

「……」

 言葉を失う爆熱の騎士かっこ笑い。その顔はどこかのお姫様にそっくりだ。

 しかし今はそんな事はどうでもいい。こいつは危ない魔法を人に向けたのだ。危険人物認定だ。

 というかこれ以上受けに回ると本格的に命が危ない。確実に(タマ)を取りにきてるもん。

「もう、終わらすよ」

 あくまで静かに、余裕を持ってそう告げる。

 余裕があったら相手も警戒するだろう。その間になにか……めんどくさいから眠らせよう。

 自分はそう結論づけ、スッと影から愛用のスコップを取り出しいつものように握り締める。

 あぁ、やっぱり剣よりスコップの方がしっくりくる。

 すると明らかに警戒したバリスは何ともいえない顔でこちらを睨みながら距離をとるように後ろに下がるが、まぁ、範囲内です。

「F12『縮地走法』『眠りのスコップ』!!」

「なっ!?」

 無意味な叫びと共に一瞬で距離を詰め、同時に奴の胴体目掛けてスコップを振り下ろす。

 ふ……これで奴は眠るはずだ。そうすれば後は煮るなり焼くなり逃げるなり好きに――


 ガキンッ!!


 ……ガキン?

 金属のぶつかる音がした。見るとそこにはスコップと……それを細身の剣で受け止めるバリスの姿がそこにあった。

 ……そうね、防御されるって考えていなかったわ。うん、考えてみたら当然だね。

「ふ、ふふははははは!!」

 よほど嬉しかったのだろう、バリスは腹の底から高笑いをしながら、若干の優越感が滲み出た顔で自分に言う。

「これがお前の武器か! しかし残念だったな! 今一歩届かなかっ――」

「F12『悶絶キーック』」

「ぐふぁ!?」

 しかしこんな至近距離で余裕ぶっこくのはいかがなものか。

 普通ケンカキックなんてそうそうあたらんだろうになぁ・

 まぁそれはおいといて、爆発物発射された自分の怒りを少しは思い知るがいい。

 とか考えている間に悶絶する効果を持ったキックをマトモに喰らったバリス君はそのまま思いのほか後ろに吹っ飛び屋上から場外へ……場外!?

 え!? 落ちた!? え!? これ大丈夫!?

 ここ結構な高さがあるしもしかしたら死んで……あ、あいつ翼あるしきっと空もとべるはず。

 でも悶絶しながら飛べるのかな?

 ……いや、飛べる。そういうことにしとこう。

 ……で、とりあえず。

「逃げよ」

 三十六計逃げるにしかず、と。

「まてぃ!」

 あぅ、復活早いよ。

 しかし振り返った先にいたバリスさんはばっさばっさと翼を羽ばたかせて、何とか浮いてるような感じでした。

「はぁ、はぁ、やっぱつえーなおまえ。まだ一回も攻撃が掠りもしてねぇ」

 いや、一回普通に右手に着弾したからね。計五発。

「ホントは使うつもりは無かったけど……ここまでやられちゃしゃーねーか」

 そう言いながら、彼は屋上に降り立ち、呪文を唱え始めた。

 何言ってるか聞き取れんが、ぶつぶつ唱えている。

 だが、これは……

「ハァ!」

「グハッ!」

 いくら何でも、呪文長すぎでしょ。

 二十秒は隙だらけだったよ。動かなかったし。

 そんだけあればいくらずぶの素人でもクリーンヒット余裕ですって。

 こちとら戦隊物の怪人じゃないんだ。待ってやる義理はない。

 ちなみにバリスさん、吹っ飛んでまた落ちて行きました。加減間違えた。

 けどきっと――

「はぁ、はぁ、はぁ、よ、容赦ねぇな」

 ほら、復活。

 どんだけタフよ。すこしくれ。

「フ、フハハハハ! でもさっきの呪文で召喚のための基礎は出来た! 途中だったから上級は無理だが、中級の精霊程度なら簡単に創り出せる!」

 まじでか。これやばくねぇかお前。

 まるで今からやられる悪の幹部みたいなセリフだぞ?

「『精霊使い』の異名の所以を見せてやる! いくぞ! 我が――」

「全員動くな!」

 突然の命令は、屋上のドアの方からやってきた。

 そこにいるのは、緑の長髪で、厳しそうな二十歳程のメイド服もどきを着た耳がエルフな女性と似たような格好の男女が6人ほど。

 ミミリィ隊長より厳しそうである。

 ちなみにもちろん彼女も美女周りも美男美女。ホントこの世界はうらやましい。この世界の美人成分、地球にももってけないかしら?

 ただ彼女、メイド服は似合ってないね。

「げ、フィーか!?」

 ……まぁ当然だが、誰?

「……やっと見つけましたよバリス様」

「いや、これは、その……」

 すっかり怯えてるバリスさん。

 いつのまにか、周りを回ってたオプションも消えてるし。

 つか様って何。何か嫌な予感がする。

「言い訳はいりません。正直に申して下さい。なぜ精霊魔法を使おうとしたのですか? というかなんで戦ってるんですか! 稽古禁止令が出ているはずですよ!?」

「いや、その……こいつ!! 精霊魔法はこいつと戦っててつい!!」

 自分のせいか?

 こいつ、自分のせいにする気か?

「……あなたは誰ですか?」

 わお、矛先がこっちに。

「……あー、第三王女様の近衛隊に所属している者、です。屋上に来たら、なんか兵士がいっぱい倒れてて、あの、戦いを挑まれて……」

 要領を得ないが、仕方が無い。だってフィーさん、怖いんだもん。

 ゼノアの本能に訴える恐怖ではなく、厳しい先生みたいな感じに怖いんだもん。

 でもなんか通じたっぽく、フィーさんは後ろにある兵士の山を見て呆れたように口を開くのである。

「……あれですか……バリス様!」

「はいっ!」

「お部屋でゆっくりお話ししましょうか。近衛だけでなく一般兵まで動員する事態になったんですからそれなりなりな理由はあるのでしょう? ねぇ?」

「ひぃ!」

 バリスは叫びながらフィーさんに引きずられていった。

 バリス、弱いぞ。

 マジで爆熱の騎士かっこわらいだな。ぷげら。

 そんなこと考えてほくそ笑んでいると、自分は自分で他の方々に後ろから捕まった。

 ……なぜ?

「そこのあなたも連行します。確かにこの前第三王女様の近衛隊に一人新しい人物が入った、戸は聞きましたが、あなた専用の執事服を着ていないじゃないですか。城内では基本的に着用義務があるはずですよ。下手な嘘はやめてください」

 フィーさんが自分の疑問を即座に解消してくれた、が。

「いや、ホントです。自分被害者ですし離して下さい」

「不審者はみんなそう言います。大丈夫きちんと身分が解り次第処罰を決定します。まぁ最低でも投獄は確実でしょうが。なんならこの場で切り捨てましょうか?」

 いやいやいや。

 なにこれ、この不当な扱い。

 自分被害者なのに犯罪者扱い?

 だれかヘルプ、ヘルプミー!



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