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番外片 悪魔のような少女の非合法な1日さらに趣味に走る人間の恐怖と無能さなどの証明

 何もない日本。

 今日もこの国では変わらない日常が始まりまた続いていくはずだった・・・。

「おい、金出せよ」

「え、えぇと・・・でもこの前も貸したばっかりだし、まだそれも返してもらって・・・」

「うるせぇ!」

「ひぃっ!」

「いいから出せっての!」

「く、くっ・・・」

 道の裏。

 裏路地でいつものように日常の影に隠れた非日常が起こっていた。

 ただし、今回は少しばかり違う。

 2人の不良と1人の少年。その少年の方がいつもとは違っていた。ただやられるだけじゃ嫌だ。こっちから反撃したい、と。

 人間なら必ずある怒りの感情を芽生えさせて。

 しかしその少年に何かできるわけではない。反撃したいと思う気持ちばかりが募る。

「くそ・・・誰か・・・誰か助けてくれぇええええ!」

 何もできない少年。

 その少年がしたことは助けを求めること。弱者がすると思われがちな助けを求めること、しかしそれは勇気が必要な大事な行為である。

 しかしその言葉は届いていた。

 誰にか?それは・・・。

「待ちなさい!」

「なっ!」

「誰だ!?」

 そこに現れたのは1人の少女。

 それこそ普通の少女ではあるが、異常なことが1つある。それは少女が引き連れている謎の動物。

「マカロン、こいつらが悪事を働いているやつらね!」

「そうだよ、伊那歩いなほちゃん。あいつらが悪いやつだ」

 犬でも猫でもなんでもない。

 小さなその可愛らしい動物は人間の言葉を話せるらしく少女と会話している。

「あなたたち、悪さはそこまでよ!」

「あぁ!?なんだお前は!」

「邪魔するってんなら女でも容赦しねぇ!」

「マカロン、お願い!」

「はいはーい!」

 するとその小さな動物はおでこの宝石らしきものからペンダントを出す。

 それを少女は受け取り、首にかけある言葉を叫ぶ。

「オープン!魔法少女・・・・・非合法!!!!」

 するとその宝石は輝きだし、少女の服はまるでサービスだと言わんばかりに破け、その上から新しいフリフリのドレスのような服が形成される。

 しかしそれはただの服ではない、魔法少女非合法専用のすさまじい防御力を持っている服なのだ。

「な、なんなんだ、お前は!」

「びびるんじゃねぇ!ただの子供だ!」

 そう言うと、不良どもは2人がかりで殴りかかる。

 しかし殴りかかろうとした瞬間にはもうすでにその場に少女はいなかった。

「なっ!どこだ!」

「ちぃ、探せ!」

「あのー」

「!?」

 探そうとした矢先、少女の「あのー」という声が聞こえる。

 まわりを見るとすぐに見つけることができた。少年に話しかけているようだ。

「あのー、今からあなたを助けようと思うんですけど、お金ってどれぐらいもってる?」

「え?いや、その・・・5000円ぐらいなら」

「5000円かー・・・まぁいいや。じゃあそれ先払いっつーことで」

「えぇ!?お金とるの!?」

 少女の顔には笑みが浮かんでいた。

「あぁ!?とるにきまってんだろぉおが!それともなにか?タダで助けてもらおうとかそんな都合のいいこと考えてたんか!?あぁ!?」

「ひ、ひぃ!」

「さすが魔法少女非合法ちゃん!汚いことをするときは人格が変わるなんて素晴らしいよ!」

「で、助けて欲しいのか?」

「は、はい・・・」

 少年はこれじゃあカツアゲと同じじゃないかと思いつつもお金を差し出す。

「はい、確かに。んじゃあ、不良ども」

「な、なんだよ・・・」

「助けて欲しいか?」

「なんだと・・・なめてるの・・・・・か・・・・?」

 不良の1人がすでに倒れていることに気付く。

「お、おい・・・どうした?」

「あー?そいつですか?そいつならさっき私が魔法でぶっ飛ばしたんですけど見えなかったかな。まぁでも2週間ぐらい起きないと思うから、病院かどっかに行ったほうがいいかも」

「ひ、ひぃ!た、助けてください!」

「いくらだ?」

「へ?」

「今、いくらだせるかって聞いてんだ」

「5、50円しかなくて」

「打撲系最大魔法。『タオルとかかけてるやつの先端に太ももをぶつけたときの衝撃って穴空いたかと思うよね』ビーム!」

「な、なんだその具体的な内容はぁあああああああああああ!」

 どかぁあああああああああん!という響きもなく、ただただ相手に打撲したときの痛みを与える最強魔法。不良は地味に痛がり、そして相方を病院へと連れて行った。

「さっすが、非合法ちゃん!相手に病院へ行かせてそれぞれの負担とさせるために地味に痛みを与えるなんて本当にクールな女の子だ!」

 そして服は綺麗に消え、先ほどまで着ていた服に戻る。

「・・・・・・」

「非合法ちゃん?どうしたの?どこか怪我でも?」

「ううん、ちょっと考えてて」

「考え?」

「なんで人の苦しむ顔を見るのはこんなに楽しいのかなぁって☆」

「おいおい、伊那歩ちゃん、今は非合法ちゃんじゃないんだよ☆」

「あー!いっけない(ペロっ)」

 そうして今回もこの日常は守られたのであった。









「あのー伊藤先輩」

「なんだ?愛実会計」

「いや、この非合法ちゃんのライトノベル版なんですけれど・・・」

「あぁ、それどうだった?」

「いえ、せっかく貸してもらったんですが・・・・・」

「面白かっただろ。まぁ、確かに最近の作品にしては少しブラックではあるし、それに敵をスカっと倒す爽快感とかもないわけだが、しかしそれなのにこの人を惹きつける魅力というものが出ていると思わないか?僕はそう思ったわけなんだが。なんというか本当に綺麗な善というものは逆にあやしい、その上わざとらしい。でもこの程度の悪が入っている場合はなんとなくだが信用しやすいという効果が生まれていると思わないか?僕はそう思うわけだが。やはり名作だな。ライトノベルだけではなくアニメ、漫画と幅広くメディアミックスしていて、素晴らしい。この先ももっともっとこういうふうな作品が増えていけるといいなぁなんて思ったりしないか?僕はそう思うんだけど」

「・・・・・・・・・・はい」

「あの・・・愛実くんと伊藤先輩は何をしているんですか?副会長」

「あぁ、あれはいつものことだ。伊藤書記が暴走しているだけさ、成宮会計。だがその気持ち同じオタクとしてわからないでもないがな」

「あのさぁ、君達。仕事しろよ」

「会長も読みますか?」

「いや、俺は受験勉強が・・・」

「はいこれ。とりあえず漫画版全部です」

「・・・・・・・・・・・・ありがとう」

番外片第2回目です。


前回はキャラ紹介みたいな感じでしたが今回はまた少し変わった回にしました。


自分、花澤の作品を他にも見てくださっている方たちにはお分かりかもしれませんが、地味にすべての作品の世界観がリンクしています。


次は本編で。


ではまた次回。

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