第8片 理系少女と文系少年の議論
「私の影が薄くなっていることについて議論を始めます!」
「いやいやいやいや」
昼休み。また理系少女である岸島数夏の言葉から始まった。そしてそのセリフはツッコミどころしかなかった。俺、七実未空はいいたい事が山ほどある。
「なんですか?」
「いや、お前十分影濃いと思うぞ。影が濃いっていうのもおかしいがなんでもかんでも計算でやろうとするところとかなんかもう・・・・」
「その計算だって最近だしてませんよ!」
「あ・・・・・」
そういえば最近なんだかんだでその特技を披露してなかったな。妄想少女やら氷結少女っていう意味のわからんやつらのせいで出せなかったと。
「5月5日のときにでも出せばよかっただろ」
5月5日。子供の日。あの時は軽く俺のトラウマになりつつあるんだがまぁいい。あそこならこいのぼりやら兜やらで計算を使えたはずだ。
「いや、兜もこいのぼりも実物を見たのは初めてでして。どういうふうにすればいいかわからなかったんです・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、でも」
「間が長いですよ!次の言葉が信用できないです!」
「岸島は昼から元気だなぁ」
「誤魔化し方が下手すぎます!」
「活発な子供は将来大きくなるぞー、高校生が楽しみだな」
「もう高校生ですよ!背で判断するのはいけないことです!」
それは俺も若干賛成。なぜなら俺自身背が高いわけじゃないからだ。自分で言って自分で反省。
「とにかく!私は影を取り戻します!」
「そうか」
「あなたにも手伝ってもらいます!」
「なぜ!?」
「だから意見を出していただきます」
だから議論とか言ってたのか。どうすりゃいいのか・・・。議論なんて苦手中の苦手。文系だとそういうのも得意だと思われがちだが俺は妄想少女みたいに天才じゃあないんだよ。
「じゃあ、全国のジムというジムをまわり、ポケットなモンスターを使ってマスターを目指すとかは?」
「それはもうすでに永遠の10歳がやっちゃってますよ!」
「軽音部を設立して、お茶しながらのゆるーい学校生活をおくるとか?」
「それもすでにやっちゃってますよ!そしてその人気には勝てる気がしません!」
「むむむ・・・なかなか難しいな」
「そうでしょうか!?ふざけてません!?」
「じゃあ・・・・・・・・・・そうだ、お前に似たキャラを言っていくぞ」
「それに何の意味が?」
漫画、アニメなどで活躍している有名な人をあげていけば自信が戻るはずという計算だ。お前と似たキャラのやつなんてそうそういないが探し出してやるさ。
「なるほどです」
「じゃあ、いくぞ」
「はいです!」
「イ〇娘」
「なんでですか!!」
「最近のやつだし、旬だろ」
「そうじゃなくて、私とどこが似てるんですか!」
「背、胸、触手、頑張ろうとすると空回りするところ」
「背も胸も小さいということですか!?そして私に触手はないです!最後のはあなたの感想ですよね!?」
「背と胸は認めるんだな」
「くっ・・・・・い、いいですもん!おっきくなるもん!」
「俺は今の状態がベストだと思うけどな。顔にも雰囲気にも合ってるし」
「褒めてるのかけなしてるのかどっちなんですか・・・」
褒めたつもりだったんだが・・・。人を褒めることになれてない悲しい俺は次のキャラクターをあげることにした。
「いくぞ」
「どんとこいです!」
「ク〇ナドの伊〇風子」
「それはなんとなく言われると思ってましたよ!」
「背も胸もそっくりだが髪型も性格も似てるよな」
「背も胸も将来的に成長しないということですか!?髪型はたしかにまんまそっくりですが」
うしろ髪の下の方をでっかいリボンで結んでる岸島はほんとうにそっくりだった。
「で、自信ついたか?」
「つきませんよ!」
あっれー・・・?おっかしいな。いいアイディアだと思ったんだが・・・。逆効果になってしまった感がある。俺はここまでなのか・・・。
「そうですね・・・ゴム〇ムの実でも食べてしまいましょうか・・・」
「それは食うなよ!ていうかあるの!?」
「ありますよ。今日もサラダにして持ってきました」
「実用的だなおい!」
「マヨネーズと合うでしょうか?」
「知らないよ!知ってたらゴム人間だよ!」
こいつもふざけ始めていた。というかもう案がないのである。
「もう案がないんだろ?だったら無理なことはするなよ」
「無理じゃないです!」
「お前の胸が大きくなるぐらいありえない」
「この前から私の胸の話が多くなってません!?」
確かに。1回セクハラしてしまうと歯止めがきかなくなるのかな?・・・・・・・・・な、何を言っているんだろうか。変態が執着してしまう。
「貧乳だって可愛いぞ」
「セクハラですーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「あれ?」
人を慰めるのも苦手な悲しい男、未空です。
「妄想少女である山梨戸張や氷結少女の結露緋色にでも聞いてみるか?」
「そうしたら私の影がまた薄く!というか緋色さんは何か怖いです」
「うん、俺もあいつを最近止められない」
最近はよく一緒にお風呂に入ろうとしてくるらしい。寮なのでお風呂も1階にあり、みんなで使っているのでまとめて入ってくれれば楽でいいのだが・・・。山梨と入れば胸が気になり、緋色と入れば大変なことになるためそれぞれ1人で入っている。
「やはり計算だけじゃだめなんでしょうか?」
「なんでだ?お前のは天才的で十分いいと思うんだが」
「特殊能力が必要かもです!」
「特殊能力?」
「雷神陣風」
「なんでルビをふるんだ!そしてモロ中2病!」
「効果はうちわを人の1,1倍であおぐことができる」
「だせぇ!それはもう誤差の範囲だろ!」
「じゃあ、三色剛拳」
「かっこよく言ってんじゃねぇよ!」
「効果はミ〇モニじゃんけんぴょんのみ勝率が2%上がる」
「だから誤差だろう!そしてかなり限定されてるじゃねぇか!」
「むぅ、なかなか難しいです・・・・・」
「俺はもう疲れたんだが・・・」
これほど無意味な昼休みはあっただろうか、昼寝とかしたかったんだがな・・・。まぁ、こういう無意味な時間こそ卒業したときに「そうです!」って俺がまだ語ってんだろうが!邪魔すんなよ!
「で、何がそうです!なんだ?」
「語り部を交代してほしいのです!」
「は?」
「いや、だから語り部を・・・・・」
「聞こえてるけどさ・・・。マジでやんの?」
「はい!だって七実さんなんてたいして特徴がないのに語り部のおかげで影が薄くないじゃないですか」
「な!?」
「ふふふ、これで七実さんはただの男の子。私は神へと進化するのです!」
「思想がなんか危険だよ!」
ということで岸島の語り部が決定した。・・・・・・・・・・・・・え?理系少女が語り部?ほんとうにやんの?不安がつのるなかまさかの次回へ続く!
こんばんわ、ですね。今の時間は。
タイトルの第〇片の片。これは花びらを表しています。
一応報告ですね。
というわけでまさかの続きもの!
でわ