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第85片 理系少女と文系少年の学校祭 2日目②

「ままごと喫茶開店でーっす」

 という高らかな声と共に2年2組のままごと喫茶が開店した。

 1日目の来場者は結構な数で高評価だったらしい。ってことは今日も忙しくなるのかなぁと他人事のように思う。

 というか開店でーすって叫んでいるクラスの女子がすでにメイドなんだが、こいつらがままごとに出ることはダメだったのだろうか。

 委員長に聞いたところ彼女たちは宣伝専用のメイドだかららしい。なんというか融通は効かなかったんだろうな、宣伝とままごとじゃ仕事の内容が違いすぎるし。

 真面目な委員長なので宣伝を欠かすことも許されなかったのだろう。

 ただあの姿は本当に目立つので宣伝は成功している。

「さて、俺らもやるか」

「七実さん、この人誰ですか?」

「黒曜石は黒曜石です。今はメイドですが」

「黒曜石だそうだ」

「説明が適当すぎます。どうせ七実さんの妄想の権化なのでしょう。いやらしいこととか考えているのでしょう、この人で」

「・・・・・・・違う」

「否定の間が長くないですか!?」

「七実未空・・・本当ですか?」

「後半は丸々ちげぇよ!」

 半分合ってたので返事に困ってしまったが後半は否定すべきところだった。

 てか黒曜石は分かってんだろうが。

「あ、七実くん、岸島さんに黒曜石さん」

「お、どうした、委員長」

「これ衣装はい」

「さんきゅ。えーと犬の役はどれかなーと」

「七実さん・・・犬役を真っ先に探すようになってますね・・・なんという進化」

「黒曜石はこのままでいいですよね」

「うん、そうね。あなたはこのままでいいかも」

「じゃあ俺もこのままでいいかな?」

「七実くんが素で犬っていうことになっちゃうけれど・・・」

「っていうか、この犬の服というか着ぐるみというか・・・サイズ小さくないか?」

「私の娘役もサイズが大きい気がするんですが・・・」

「え?そんなはずは・・・本当ね。これは少し無理じゃないかしら・・・」

「黒曜石は何をしてればいいのですかー?」

「黒曜石さんはまだここで待機。舞台は変わらず家族だからメイドが出るのはまだはやいわ。で、衣装だけど、これ逆にすればいいんじゃない?」

「はい?」

「七実くんと岸島さんの役を逆にしたらどうかしら?」

「いやいやいや、俺、結局女装じゃねぇか!」

「私も犬なんて嫌ですよ!」

「でも・・・これは・・・衣装がね・・・・・」

「よく考えたら衣装なんていらなくね!?数夏とかそのままでも大丈夫だろ」

「犬は?」

「犬は・・・俺がそのまま出ればいいだろうよ!」

「堂々と犬発言ですね、そこに黒曜石ほれぼれとします」

「うるせぇ!」

「うーん・・・」

 と委員長が考え込む。

 どっちかっていうとこれ考える価値もないぐらいのことじゃないだろうか。

「いや、交換よ」

「なんでだよ!!」

 どういう考えだったんだ・・・。

 委員長の思考回路が全く分からない。

「せっかく買った衣装を使わないのももったいないから」

「執拗にお下がりをすすめるオカンか!」

「そういう問題じゃないですよ、これ!」

「ほらほら、時間ないから」

「ちょ・・・待って・・・」








「ここだぞ、2年2組」

「あ、ありがとうございます」

 校内で事故にあった女の子を送り届けるという仕事を受け持った俺こと鈴木大和はなんとか目的の七実未空のいる2年2組に到着できた。

 俺としてはやつと顔を合わせるのは少しというかかなり気まずい・・・。

 喧嘩したままというような微妙な感じなのだ。

 ここまでだな。

「お嬢さん、多分昨日のメールによると七実未空はここにいるはずだ。あとは大丈夫か?」

「うん、大丈夫!」

「そっか」

 俺は少し安心した。

 ここで多分ついてきてと言われたら俺はついていっただろうしな。

 そうしたら多分俺はあいつと何事も無く和解するのだろう。

 喧嘩の後のように少しごねた後にいつものように仲直りするのだろう。そんなのは今、この状態では少し納得いかない。

 俺の好きな人の好きな人。

 そいつとの和解は穏便に済ませてはいけない。

 派手に終えるべきだ。

「じゃあ、俺は行くよ」

「あ、でもまだ不良さんにお礼をしていない」

「いや、お礼はさっき言われたよ」

「そうじゃなくて、なんかここでおごります」

「それこそ惨めになるからやめてくれ・・・」

 年下の女の子におごられるってすごく惨めだ。

 その気持ちだけで十分だよ。

「いえ、遠慮はいりません」

「いや遠慮とかじゃなくて・・・・・」

「大丈夫です。遠慮するなんてらしくないですよ、不良さん。にしし!」

「遠慮じゃなくて!あとらしいって何だよ!俺以上に俺らしさが分かるやつなんかいるか!」

 しかしなんというか強くこの誘いを断るのも気がひける。

 もちろんおごられるつもりはないが、やんわりと丁重に断るべきなのだろう。

 少し考えた後、俺は少しだけここで休もうという結論に至った。その間におごられないような理由を考えておこう。

「あの・・・さ。俺はおごられると死ぬ病気なんだ。だからそれは無理でも一緒に行くことはできる。一緒にお茶でも飲むか」

「おごられると死ぬ病気・・・?」

 これは正直無理があるだろう。

 だからこその時間稼ぎだ。

「そ、それは大変ですね・・・。分かりました。では一緒にお茶でも飲みましょうか」

「えぇ!?」

 時間稼ぎが丸々いらなくなったよ!

 これ普通に断っていればよかった・・・。

「ほらほら、行きましょうよ」

「あ、あぁ・・・」

 俺は言われるがままに喫茶店の中に入る。

 そういえばここの喫茶店いろいろなやつに人気だったな。何喫茶なのだろうか。人気があるということは普通の喫茶店じゃないんだろうけれど。

 えーと・・・昨日岸島さんに聞いておけばよかったな。

 そして俺は教室へと一歩踏み出す。

「・・・・・・わ、わん・・・・・・・・」

 そんな俺の目に飛び込んできたのは犬の格好をした岸島さんだった。

 恥ずかしそうに顔を下に向けながらわんと鳴いている。あーなるほどね。これどういう喫茶店なのかさっぱり分からねーなんだこれどうすればいいんだだっておかしいだろkkkkっこおこpきえおえのn

「あー!不良さんが倒れた!?おごってもいないのに病気が発症したんですか!?」

「か、可愛すぎるだろ・・・がくっ」

「遺言が意味不明なんですが!あぁ、どうしたことでしょうか・・・」

「なんの騒ぎだ?・・・って、ん?お、お前!」

「あー!未空お兄ちゃん!」

「神子ちゃんか!」

「え?未空お兄ちゃんがお姉ちゃんになってる・・・。な、なんで?」

「あ、いや、これはだなある理由があって・・・」

「七実さん・・・まさかの妹ですか?この後に及んでさらに女の子キャラ投下ですか!」

「いや、神子ちゃんは俺の妹じゃないよ!」

『(そ、それはいいけどこの倒れてる人はどうすんの・・・?)』

 まわりの人間の気持ちがシンクロした瞬間であった。

 可哀想な俺。

というわけで投稿しました。


地味にいいコンビだったんじゃないかなぁと考えております鈴木に神子。


まるで過去のことのようですがまだこの2人は出てきますし、コンビを組むこともないこともないこともない・・・ぐらい。


で、もう1つお知らせが。


今日から新作の1話を短編として投稿させていただきます。


今日のタイトルは道化(仮)です。連載するとなるとタイトルは変えるので(仮)とさせていただきました。


タイトルの通りピエロの話なのでもしよければ見ていただければ嬉しいです。


ではまた次回。

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