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第83片 理系少女と文系少年の学校祭 1日目②

「で、その鈴木大和さんとやらは何の用なのですか?」

「なんでそんなに冷たい反応なんだ・・・」

 俺は学校祭期間中の今日が自分のクラスの喫茶店の当番日なため1人で宣伝しながら歩いていたわけだ。もちろん、首から宣伝用の看板をかけている。

 そんな中で岸島さんを見つけたわけなんだけれど。

「ん?首からなにかかかってますよ?とらないんですか?」

「これは宣伝用の看板だ」

「仕事してないじゃないですか」

「してるさ。これぶらさげて歩いてるのが俺の仕事だ」

「楽な仕事ですね」

「・・・・・・」

 こいつ・・・。なんで俺はこんなやつに声をかけてしまったんだろう。

「んで、岸島さんは何してんの?」

「いえ、何ってわけじゃないんですけれど」

 なんだ?誰かとまわってるわけじゃないのか?

 だとしたら俺にもチャンスがあるかもしれない・・・。

「あのさ、岸島さん。もしよかったらなんだけれど」

「何ってわけじゃないですけれど七実さんを待たせてますので」

「・・・・・」

 落ち込むな、俺。

「って七実・・・?」

 あぁ、そうか。こいつとあいつは同じ寮に住んでるんだったっけ?

 ・・・・・・。

 すごく気になる。

 同じ寮ってだけで普通学校祭一緒にまわるか?いや、まわるのかもしれないが、俺にはまったく分からない・・・。

「ずっと聞きたかったんだけどさ、岸島さんって七実未空と付き合ってんの?」

「へ?」

「いや、だってすげぇ仲良さそうだしさ。小学生じゃないんだからさすがに付き合ってるって思われてもおかしくないと思うんだけれど」

「つきあう・・・」

「・・・・・・」

「いえ、付き合ってはいないですよ。それが恋愛という意味だったらですが」

「お、おぉ・・・」

 よし!とりあえず第一段階終了。

「じゃあさ、」

「いや・・・でも付き合っているように見える・・・ですか・・・」

「え?」

「いえ、なんでもありません」

「・・・・・・」

 あぁ・・・ダメだ。

 なんとなくだが分かってしまう。

 こいつは・・・。

 七実未空のことが好きだ。

 どうしようもなく、そうなのだろう。

 で、俺はどうするのか。

 諦めるのか。

 ここで逃げるのか。

 叶わないと。

 敵わないと。

 そう思って。

 俺は・・・。

「ちげぇよな・・・」

 そうじゃない。

 そこで諦めるのはおかしい。

 第一俺はまだスタートラインにさえ立っていないじゃないか。

 何も知らない他人じゃないか。

「あのさぁ、岸島さん」

「はい」

「メアド交換しない?」







「七実未空には好き『無』相手がいる」

「・・・・・・・で、それを私に伝えてどうするんですか?」

「んー?別にどうとかないけどさードロドロのグチャグチャな展開になるんじゃないかなぁって好奇心でただ言ってみただけー?ごめんね、悪かったかな?僕ってそういうの分からないんだよねー、あ、話し方変わったの気付いた?いつもはさ、こん『無』感じだけど今はこんな感じにしてみたんだ」

「いえ、別に悪くはありません」

 私は再び図書室へ向かおうと歩く。

「待ってよ、待って。不愉快な気持ちにしてしまったことには謝るよ。けどさぁ、君どうするつもりなの?好きな人がいる好きな人を想ってどうするつもりなの?」

 疑問は山ほどある。

 この人がなぜ私の気持ちを知っているのか、なぜ七実くんのことを知っているのか、この人は誰なのか。知りたいことはたくさんあるけれど、それよりもなによりも。

 この人と話したくなかった。

 不愉快な気持ちとかそんなんじゃない。

 気分を害したわけでもない。

 今更こんなこと指摘されたところで私は何も思わない。

 でも。

 それでも。

 この人と話したくはなかった。

 とても気持ち悪かったのだ。

「私は負けないって決めました。だから特に何も思いませんし、何も考えていません」

「ふぅん。君ってもしかして馬鹿なのかな?」

「え?」

「負けないって何に負けないってこと?もうすでに勝負は決しているけれど負けないって意味?だとしたら君はもうすでに負けてるよ。僕と同じだ。負けて負けて負けぐせがついてでも勝つことを諦めきれなくてだからといって勝ちたいとも思えない。そんな人間らしい人間だ」

「・・・・・・」

「頑張ることは負けを認めること。努力することは負けたと思うこと。勝つために努力するのはいつだって敗者で勝つために頑張るのはいつだって勝者だ。でもそんな考えを鵜呑みにする、そんな考えを正しいと思ってしまうとどうにも体が動かないんじゃないかな。実際正しいわけだけどね、その考えは」

「私は・・・まだ諦めてませんから」

 そう言って私は静かに図書室に入る。







「んで、君は何をしているのかな。先渕くん」

「だぁから先渕くんは偽名だって」

「嘘つけ。わたしに嘘つこうなんて100年はやいよ」

「ま、名前なんてどうでもいいんだけど」

「君ってさ、意外と優しいんだね。さっきの言葉、高松にかなり効いていると思うよ。後輩を元気づけるなんて案外やるじゃないか」

「・・・・・ねぇ、津神坂ちゃん。僕が一番嫌いな物って知ってる?」

「いきなりなに?嫌いなものって君に好きなものなんてあるのか?」

「敵。だよ」

「敵?」

「しかもいい敵だ。よくいるでしょ?実は病気の妹のために悪事を働いていましたとか本当はこんなことしたくなかったけどしぶしぶとか、あとはそうだな・・・主人公にやられた後に主人公の味方につくやつとかいるでしょ。ああいうのが一番嫌いなんだ」

「・・・・・・・」

「僕は優しく『無』い」







「下野さん!」

「およ?おーっす、七実くん」

 む、俺よりも男前なあいさつだった。

「下野さんも学校まわってる途中?」

「うん、まぁね。ほら、やっぱり楽しまなきゃ損なわけじゃん。だったら全力で楽しもうよってわけ」

 下野さんらしい意見だ。

「もしかして友達か誰かに会う約束とか?」

「そうそう。同じ部活の子を待たせちゃってるんだ」

「あの・・・じゃあさ、メアド交換しない?」

 

 

また遅くなってしまいましたが、更新できました。


というか今、新しい作品の1話だけ書きまくってただただ保存しといてそのまんまというようなことをしております。


実質、その分の時間を使えばもっとはやく投稿できたのですが・・・。


そのうち1話だけ短編として投稿するかもしれません、需要があるならですが。


1話なので終わりも中途半端なんですけどね。


いくつか投稿してその中の1つを連載しようかなと。


なのでもし投稿した際は意見や感想待っています。


と軽く宣伝したあとでまた次回。

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