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第77片 理系少女と文系少年の準備

 とうとう文化祭、いやここでは学校祭というらしいものの準備が始まった。

 正直、2年目なため純粋に楽しめるとは思えない。

 準備期間は楽しいが本番となるとどうしても楽しいとは思えない。同じものばかりだから2年もやると飽きてしまうのだ。

 これは俺だけではないはず。

「じゃあ、うちのクラスは何をやるかを決めます」

 ということらしい。

 今回の学校祭。去年は俺のクラスは装飾という準備が忙しく、本番はものすごい暇になるという恐ろしい出し物だった。

 本当に準備は地獄のようだった。みんな楽しみながらも締め切りを気にしているという状況。

 ・・・・・まぁ、ふざけすぎた男子が悪いんですけれどね。

「はいはーい!」

 と手を挙げたのはクラスの中でもかなり明るい山梨である。

 こいつなら確かにやりたいのいっぱいありそうだよなぁ。

「私はメイド喫茶がやりたい!」

「普通か!」

 いや、普通でもいいんだけれど、これ定番中の定番みたいになってないか?

 他のクラスともかぶりそうだし。

「確か、7組がメイド喫茶をやるって言っていたような・・・」

 と発言したのはうちのクラスの委員長、山田さんだ。学校祭関連のことについては委員長ではなく、文化委員が中心となるため委員長って関係ないのかなと思っていたが・・・これは。

 他のクラスの情報とかも知っていそうだし、重宝できるな、山田さん。

「うー、確かに被るのはだめかー・・・」

 山梨が残念そうに着席する。

 というか発言するたびにお前は立つのか。小学生か。

「じゃあ、はい!」

「え・・・・・」

 手を挙げたのは数夏。ちなみにこいつも立っている。小学生か。・・・小学生だな、こいつは。

「計算喫茶っていうのはどうでしょう!」

『・・・・・・・・』

 みんな沈黙である。

 え?なにそれ?

「食事も出来て、飲み物も飲める、そして計算も!この人間が生きるために必要な3つを揃えた究極な喫茶店です!」

「計算はそこまで重要か・・・?」

 というかそれは楽しくないだろ。

 学校祭なのになぜ勉強をしなければならないんだ。

「むー、いい案だと思ったんですけれど・・・」

 こいつの案には全く期待していない。

「はいはい!」

 次に手を挙げたのは森下さん。

 積極的に行事に関わろうとする元気な子だ。そして今どき!って感じの女の子でもある。

「お化け屋敷はどうでしょうか!」

『そ、それも定番では・・・?』

 まわりがざわつく。

「お化け屋敷は確か、他の学年でもいくつかあった気がするわ」

 委員長ぉおおおお!ナイス!ていうか他の学年のことまで知っているのか。

「無念・・・」

 やられた侍のように倒れながら席に着く森下さん。

 というかなんでみんな起立してから発言するの?そんなルール今までなかっただろ。

「うーん・・・」

 しかしありきたりではなく、そして周りと被らないものというのはものすごく難しかったりする。

 だからかみんな黙ってしまった。

 なぜみんながこんなに周りを気にするのかというとそれは順位があるからである。

 学校で3位まで、そして学年の中でも3位まで決められるという。

 だから何?みたいな感じだがやはり順位がつけられるとなると本気になってしまうのが、高校生の性なのである。

 しかしこのままだと誰も発言しない気がするな。

 ある程度被っても他のクラスよりも素晴らしいものを作ればいいんじゃないか?

「あの、文化委員の橘くん」

 と発言したのは委員長の山田さん。

「このままじゃ誰も発言できない状況になってしまうわ。とりあえず被ってもいいから案はたくさん出すようにしましょう。その後、どうするか議論するほうが効率もいいし、沈黙もなくなると思うけれど」

「あ、ありがとうございます!委員長!」

 とお礼を言ったのは橘くん。

 橘くんひどく困っていたっぽい。なんか涙目になってたし、同年代の委員長に敬語使ってるしでもうわけが分からないのだろう。

「じゃあ、とりあえず、今まででた意見も黒板に書いていくよ」

 そうして橘くんが黒板に意見を書いていく。


・メイド喫茶

・お化け屋敷

・計算喫茶


 書いてみて改めて分かるが計算喫茶って明らかにおかしいだろ。

「じゃあ、何か意見のある人いますか?」

「はい!」

「えぇと、加藤くん」

「定番かもしれないんだけどままごと喫茶っていうのは?」

『定番・・・?』

 加藤くんの意見にほとんどの人間が首をかしげる。

 ままごと喫茶なんて聞いたことないんだけれど。

「ままごとをするんだよ。何役とかって決めてお茶とか飲んだりする。家族ーとかだけじゃなくていろいろな配役を決めて、それでたくさんの人でやる。どう?」

『おぉう・・・』

 なんかマジな意見がいきなり飛び出してきた。

 というかこれを定番だと思っている加藤くんってなんなんだ・・・。

「でもそれって店員はどうしたらいいの・・・?」

 発言したのは背の高い野々村さんである。背が高くむちむちボディの野々村さんである。

「えぇと・・・」

 と加藤くんが困る。

 確かにそのままごとの中に店員という役職の人間が入りこむと少しおかしい。

 はい、お茶ですよーって渡したら空気がぶち壊しになると思うしな。

「・・・・・・」

 どうするか。

 そしてもう高校生という立場。これは少しままごとをやるには恥ずかしい年齢だろう。

 そこらへんをみてもこれはあまりいい案とは言えないかもしれない。

「・・・・・・」

 しかし俺はみんなが考えていないであろうことを思いついている。

 やれやれ、俺がここで発言するか。

「はい」

「はい、七実くん」

「店員もままごとの中に入るのはどうでしょうか?」

「え?」

「むしろそうして見本を見せたほうがやるほうも恥ずかしさとかを捨てれると思いますし。みんなでやってしまえば恥ずかしくなくなる。みんなで赤信号を渡ったら怖くない理論っていうのがあるけれど、あまりいい理論ではないし、赤信号を渡ることは悪いことだが、このままごとではいいことじゃないか?」

『おぉ・・・』

 まわりがざわめく。

 よくよく考えてみればままごと喫茶ってなんだよっていう話だが、もうあの沈黙を味わいたくない一心でみんな何も考えないようにしているんだな・・・。

「以上です」

「七実くん」

 委員長の山田さんが声をかけてくる。

 今回の仕切りは橘くんのはずだがやっぱり委員長が仕切っているような感覚になってしまう。

 その委員長山田さんは俺に笑顔を向ける。

「発言する時はきちんと立ちましょう」

「そこかよ!!」

 というわけで我ら2年2組の出し物はままごと喫茶に決定した。

 後でものすごく先生に怪訝な顔をされたが、まぁ、いいと思う。

 ・・・・・・・グダグダになりそうだ。

ラッキーセブンである77話。


ものすごく地味な内容になってしまいました。


1話通して出し物が決定しただけですしね。


本日2話目です。久々に1日連続投稿をしました。


次もなるべくはやめに投稿したいと思います。


ではまた次回。

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