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第76片 文系少年とあじさい荘の連絡

 学校が終わり、放課後。

 あじさい荘に帰宅し、自分の部屋で漫画を読んでいた。もう時間は夜11時。というかこの漫画、買ってみたらすげー面白いな。

 1度きちんと読んだあと、次は1コマ1コマちゃんと見ていこうと再び最初に戻る。

『ピリリ』

 ん?電話が鳴ったな。

 俺の携帯電話が鳴った。音は初期から変えてないので無難なものだが俺はもうこれでいいと思う。

 個性がないとか言うなよ。

 そしてこれは電話ではなくメールの音。

 あじさい荘にいるやつらとは部屋が近かったり普段は共同リビングにいるため全くメールをしないのだが、メアドは交換してあったのだ。

「なんだ?」

 俺は携帯を開き、メールを表示させる。

『From山梨戸張  七実くーん(#^.^#) 明日の時間割を教えてくれー(n‘∀‘)η』

 山梨からだった。

 まぁ、確かにこんな時間帯だし、わざわざ部屋に押しかけたりもしないか。

 ・・・・・・と思ったがなんで山梨がそんな気をきかせる?いつもなら何のことなしに押しかけてくるのに。

「まぁ、いいか」

 俺は返信をする。

『明日は数学と古典、体育、生物、英語に最後にまた数学』

 時間割を教えるだけだし、簡素な内容でいいよな。

 いつもはたまに絵文字を使ったりする俺だが義務的なメールには必要ないはず。

 俺は送信してまた漫画を読もうとベッドに横になる。

『ピリリ』

 またメールか。なんだ今日のこのメールの多さ。

「誰だ・・・?」

 また携帯を開きメールを表示。

『From岸島数夏  七実さん(´Д`)』

 数夏からだった。

 なにこれ。意味がわからないんだが。

『どうした?』

 無難な内容にする。

 本当に今日はどうしたというのだろう。流行り?流行りか?

『ピリリ』

 うん、まぁ、なんとなく分かっていたけれどまた着信。

 今度は誰だ?

『From結露緋色  そっちのクラス明日体育ある?』

 一瞬誰かと思うかもしれないが、今きたメールは緋色からだった。

 あいつ話すときはかなり間をおくが、メールではその必要もないわけだし。

 ただメールの返信は遅いが。

『ピリリ』

「え?」

 緋色に返信する前にまたメールがきた。

 誰からだろうと確認する。

『From結露緋色  ・・・・・・・そっちのクラス明日体育ある?』

「なんでキャラを守ろうとしてんだよ!」

 緋色だった。

 そしてもう夜中なのにツッコミをしてしまった・・・もう体力的にもキツい時間なのに・・・。

『あるよ、そっちもあるのか?』

 また無難な内容を送る。

 なんでただのメールなのにこんなに大変なんだ・・・。

『ピリリ』

 またか。今度は誰だ?それとも今までメールをしていたやつか?

『From柏部未海  黒魔術を習得したいのだけれどどの本がいいと思う?』

「お前は何をしてんだぁあああああああ!!!」

 怖いんだけど!なにこいつ、なんでこの時間に黒魔術の本を読もうとしてんの?

 てかなんでその本の選択を俺に委ねるの!?

「あ?」

 添付がある。

 たぶんメールに写メか画像を付けて送ったのだろう。

 大方黒魔術の本とやらの画像だろう。

 俺はおそるおそるその添付された画像を見る。

 そこにあったものは・・・。

「りょ・・・料理本・・・?」

 3冊並んだ料理本。

 え?

 黒魔術って料理のこと?

『お前ややこしい言い方すんなや!料理本なんて俺が見ても分からないが、唐揚げとか定番を抑えているものがいいんじゃないのか?』

 とこれまた普通。

 実際分からないし、俺に聞かれてもという感じなのだが、無下にするわけにもいくまい。

『ピリリ』

 もう慣れた。

 俺は携帯を開き、内容を見る。

『From柏部未海  意見ありがとう。風見鶏の天翔からあげを作れた暁にはあなたに黒魔術の第1魔法である七つの大罪のうちの1つ「暴食」を基とした黒喰い大口ためしぐいをしてもらう予定だから待っていなさい。』

「だからお前は何をしてるんだぁあああああああ!!」

 全然理解できなかったんだけど!

 というかメールでどうやってルビふるの!?風見鶏の天翔ってなんだよ!あと返信がはやい!

 かろうじて分かったことは俺に味見させる気満々ってことか、こいつ料理作れたのか?

 ・・・・・・・・マジな黒魔術みたいなものがでてきたりしないだろうな・・・。

『楽しみに待ってるよ』

 これでいいだろ・・・。

 なんでさっきから俺は自分の部屋で叫んでいるのだろうか。

『ピリリ』

「・・・・・・・」

 誰だ?

『From高松小鳥  七実くんって好きな色とかある?(´∀`*)』

 なんか癒された。

 顔文字もすごい微笑ましいもの、高松・・・ありがとう。

『ピリリ』

 ん?また着信か?

 高松のメールに返信する前に俺はきたメールを確認する。

『From山梨戸張  私はオレンジかなー(ノ∀`)』

「いや、なんでだぁあああああああああああああ!」

 なにこれどういうこと!?

 なんで会話になってんだよ!

 意味が分からない!

「なんでこいつ俺の携帯を通じて高松と会話してんだよ!そして俺も何を言っているんだ!」

 俺の携帯を通じて高松と会話ってはたから聞いたらわけ分からないよな。

『俺はピンクとか好きだぞヽ(*´∀`)ノ』

 高松にメールを返信した。

 ・・・・・・・山梨はどうしようか。

『お前は何をしているんだ』

 こう送るしかないよな。

 俺も何がなんだか分からないし。

『ピリリ』

「・・・・・」

 俺はもう無言で携帯を開く。

 前もあった流れだが、ここで俺はもうつっこまないとかって言ったらきっと信じられないようなボケが来るということがありえる。

 だから何も気負わずに行こう。

 どんなことにも対応できるような柔軟さを持って。

 そして綺麗につっこもう。

 大丈夫、俺なら出来る。

 そう思いメールを表示させた。

『From津神坂先輩  やぁ、君にメールするのは初めてだね。わたしとメアド交換した覚えがないとか寂しいことは言わないでくれ、じゃあ登録よろしく』

「・・・・・・・・・・・」

 もう許容範囲を超えていた。

 正直色々と言いたいことはある。先輩とメアド交換した覚えがないとか、なんで表示名『津神坂先輩』って登録もしてないのに出てくるんだ、とか。

 でももう何から行っていいかわからない。

 ボケの渋滞である。

 俺の中でボケが年末の帰省ラッシュをしている。

「・・・・・・・」

 俺は静かに先輩のメアドを登録し、返信をせずに携帯を閉じる。

 もうやだ・・・。

『ピリリ』

 もう余計な描写はいらないだろう。俺は携帯を開く。

『From高松小鳥  ピンクが好きなんだ(*^▽^*)教えてくれてありがとう(゜∀゜ )じゃあおやすみzzz』

「高松ぅうううううううううううう!!!」

 唯一の良心が寝てしまった。

 だが俺の都合で起きててくださいというわけにもいかないだろう。

 俺は悲しみを振り切り、返信をうつ。

『これぐらいなんでもないよ( ´∀`)おやすみzzz』

 泣きながら返信をする。

『ピリリ』

 メール表示。

『From岸島数夏  いえ、なんでもないです、おやすみなさいzzz』

「こいつは最後まで・・・意味が分からないな・・・」

 と、俺はここでベッドの上に倒れる。

 正直眠気が限界だったのだ。

 あー、すまん、たぶんこのあとメール来てても返信できないわ。

 おやすみ。








 朝。

 俺は起きてすぐ携帯を開く。

「・・・・・・・」

 誰からもメールが来ていない。

 なんというかたぶんみんな寝てしまったんだろう。

「ま、いいか」

 なんか少しだけ気分がいい。

 仲良しって感じがするからかなのか全く分からないがメールも悪いものじゃない。

「さて、学校学校」

「みみりん!?なにその暗黒物質!黒いっていうか漆黒だよ!」

「これは・・・風見鶏の天翔からあげ

「何て!?」

 うん、まぁ、俺の朝ごはん、大丈夫かなぁ・・・。

 

少し遅くなりました。


言い訳をさせてもらうとこの話はもうすでに出来ていたのですが、地味に他の話にも手をつけたりとしている間にこんなことに。


ではまた次回。

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