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第71片 文系少年と雷瞬少女の買い物②

「んで、まずどこに行くかだな」

 大型ショッピングモール。すべてのものが揃っていると言っても過言ではない。

 正直本屋や店、食料品以外にも家具店なども入っていると知った時は少し引いたくらいである。

「今日はお前の買い物につきあうって話だし、どこか行きたいところでもあるのか?」

 と、私の好きな相手七実未空くんは優しく私に聞いてくれる。

 行きたいところ・・・うーん、まさか七実くんが本当にこれを買い物だと思っているのは驚いた。

 これ、で、でーとのつもりなんだけど・・・。

 でも、で、でーとなんて言って誘えないし・・・。

「え、えーと・・・」

 買い物。

 正直私はあまり買い物ということをちゃんとする人間じゃない。

 食料品とか寮のみんなに関係あることは共通の財布ということもあるので下調べはかなりする。

 安いところを選ぶためだ。

 他には本とか。

 でも買い物で本って・・・どうなんだろう。

 七実くん本とか興味あるのかな。

 でももし興味がなかったら・・・。

「あ、あの・・・高松?」

「え?あぁ!うん、え、えーと・・・服・・・とか・・・?」

 は、恥ずかしい。

 服って。

 七実くんを服選びに誘ってしまった。

 服って自分で買いはするけれど・・・他の人とというのは少し苦手だ。

 こんな服お前には似合わないのに・・・とかって思われてそうという被害妄想(被害妄想じゃないかも)をしてしまうから。

 七実くん・・・。

「お、服か。確かに女の子と言えば服・・・って感じがするよな。よし、任せとけ。って何を任されるんだろうな、はは」

 なんかすごく饒舌になってはいるけど、大丈夫みたい。

 よかった。

 でも服選びかー・・・。

 私が服を選ぶのを手伝ってくれる。試着とかもしてそれについて話したりとかできるかな。

 ・・・・・・・し、試着ってでも布一枚隔てた場所で着替えるんだよね。

 いや、でも試着とかしなくても・・・お金が無駄になったら・・・うーん・・・。

 あ、でも試着室の前で待ってもらわなくてもいいのか。

 でもそれじゃあ私は服を試着した状態で七実くんを呼びに行くの・・・?

 いや、待って着替えが終わる頃合いに来てもらえれば・・・。そんなことできない・・・。私のためにわざわざそんな往復させるなんて。

 そしてもしタイミングがずれたりしたら。

「高松?」

「きゃー!」

「た、高松!?」

「え?あ、あの・・・ごめんなさい」

「え・・・?」

 なんかすごく悲しそうな顔をしている。

 誤解されてる予感がするよ・・・。

「え、えと・・・服屋さん行こう・・・」

「お、おう」

 しかし服屋さんといってもすぐそこにあるわけで、そんなに歩く必要はない。

 なんでもどこでもこのショッピングモールにどこどこまでの距離が遠いなんてことはない。どこにでもなんでも揃っているお店なのだ。

「よし、服選びだな。任せておけ」

「・・・・・・」

 なんで七実くんこんなにやる気なんだろう・・・。

 でも七実くんは人に対して何にでも真剣に取り組んでくれる人だし。本当に優しい人だなぁ。

「ん?」

 服屋さん(全国的に有名なお店で来た自分まで驚いてしまった)のなかを少しうろうろしていると不意に七実くんが何かに気づいたような声をあげた。

 どうしたんだろう。

「ど、どうしたの・・・?」

「いや、この服とかお前に似合うんじゃないかな」

 え?

 七実くんが私のために選んでくれた服?

「どうした?高松」

「え?えと・・・なにかな」

「いや、すごく笑顔なんだが」

「え?」

 あ・・・やっちゃった・・・。

 喜びが抑えきれてなかったらしい。

「な、なんでもないよ」

「そうか。とりあえずこれ着てみないか」

「は、はい」

 なんかこれって彼氏彼女みたいだよね。

 へへ・・・。

「・・・・・・・・七実くん」

「ん?どうした?」

「え、えっとこの服・・・なんかその・・・面積が小さいんだけど」

「そ、そうか?」

「というかこれ水着・・・だよね」

「・・・・・・」

 な、なんか分からないけれどこれはどういうことだろう。

「そ、そっかーそれ水着だったんだー、いやー知らなかったわー俺、知らなかったー」

 白白しさを感じるよ・・・。

「わ、私が選びたいのは普通の服なんだけど・・・」

「いやー最近の服って面積でかいんだなーおじさんびっくり。ほんとついこの間までは葉っぱ一枚だったのになー」

 七実くんは一体いつの時代の人なの・・・?

「気を取り直してこれなんかどうだ」

 そうして選んでくれたのはワンピースだった。

 下の方がふわふわしていて今の服装に少し似ている。そして花柄が可愛い感じになっている。

「か、可愛い・・・」

「お、だろうだろう。俺の目はやはりこういうものを探すのに向いてるんだなぁ」

「う、うん、ほんとそうだよ。これ本当に可愛い」

「ま、まさか肯定されとは・・・照れるんだが」

 私は試着してみることにした。

 七実くんはといえば「じゃあ、とりあえず少し向こうに行くわ」と気を遣ってくれた。

 ・・・・・なぜそんな人が水着を勧めてきたのだろうか。

「七実くん・・・?」

「お、着れたか」

「う、うん・・・」

 そうして私は試着室の布を引っ張る。

「え、えーとどうかな?」

「・・・・・・・・・可愛い、いやマジで」

「ほ、本当?」

「ほんと完璧!いや、俺がテンション上がってどうすんだって話なんだけどすげぇ可愛い!」

「あ、ありがとう」

 七実くんがほめてくれる。

 嬉しいなんてものじゃなかった。

 また顔がニヤけてしまう。








「えーと、高松はなんのジュースがいい?」

「じゃあ、オレンジジュースで・・・」

「おっけー」

 服屋にゲームセンターととりあえず色々とまわってもう帰ろうかということになってジュースそんなものがあるのか・・・に来ている。

「え、えっと、自分の分は自分で出すよ」

「いいっていいって。遠慮すんな。これは俺がバイトしてもらったお金だし、どう使おうが自由だろ。だから奢らせろ」

「で、でも・・・」

 そういえば一時期七実くんはバイトをしていたんだ。

 今はもうやめてしまったけれど、コンビニのバイトを。私や戸張ちゃんとで一緒に行ったような気がする。

 そしたら七実くん、すごく恥ずかしがってたなぁ・・・。

「ほら、オレンジ」

「あ、ありがとう」

「ここで飲んでいくか?」

「ううん、飲みながら歩いて帰ろう」

 あじさい荘への帰り道、ジュースを飲みながら2人で歩く。

「今日はありがとう・・・ごめんね・・・つきあわせちゃって」

「ん?あぁ、いやいや。俺は楽しかったよ、2人で遊ぶのなんてなかったしなぁ。ましてやこんなデートみたいなこと」

「で、でーと・・・!」

「あいつらへのお土産もできたしな」

「うん・・・・・」

 そう、七実くんの中では私も誰もかれもが横1列。

 お土産・・・かぁ・・・。

「そうそう、はいこれ」

「え?」

「いや、お土産。お土産って感じはしないけどさ受け取ってよ」

「い、いいの?」

「おう」

 七実くんが渡してくれた紙袋を開ける。

「髪飾り」

「そう。お前いっつも2つに結んでるだろ、お下げみたいに下の位置で。だから髪飾りっていうかその髪を結ぶためのゴムみたいなやつなんだけどさ」

「あ、ありがとう!」

「う、うん」

 うさぎの髪ゴム。大きなうさぎがついた可愛い髪ゴムを私にくれた。

「使ってくれたら俺は嬉しい」

「うん、使う、毎日使う」

「ま、毎日・・・いや、なんかそこまで喜ばれるとは・・・」







「ただいまー」

 俺と高松があじさい荘に帰宅。

 なんか1日遊んだだけなのにすごく懐かしい気がする。

「なっなみさーん、ことりさーんおかえりなさーい」

「なんでお前はそんなにテンションが高いんだ」

 玄関のある1階リビングには数夏と緋色と山梨がいた。

「いえ、特に何もないんですけれど・・・あ、その髪ゴム可愛いですね、小鳥さん」

「え?」

「そのうさぎのやつですよ。すごく似合ってます」

「えへへ・・・数夏ちゃん、ありがとう」

 なんか俺まで照れる。

 というか正直恥ずかしい。

 それを誤魔化すために数夏にお土産を渡す。

「ほら、これお土産」

「いいんですか?」

「あぁ、受け取れよ」

「わぁ・・・ハートの髪留めじゃないですか!」

「うん」

「ありがとうございます!」

 数夏はすごく嬉しそうにしてくれる。

 なんで俺のまわりはこんなに喜んでくれる人ばかりなのだろうか。嬉しいが恥ずかしい。

「緋色」

「・・・・・・なに?」

「お前にもお土産だ」

「・・・・・・・数夏のパンツ?」

「なんでだよ!」

 なんで俺がショッピングモールで数夏のパンツを買わなければいけないんだ!

「七実さん、私がどうしました?」

「・・・・・・・・未空が数夏のぱ」「な、なんでもないよ!」

 緋色のセリフにかぶせる。

「普通にブローチだよ、三つ葉のな」

「・・・・・・・・・ありがとう、大事にする」

「お、おう」

「・・・・・・・・・・・具体的には3日間ぐらい」

「短いな」

 3日坊主っていうのは全然続かない人のことをいうが、それと同じって短すぎだろう。

「柏部のは・・・後で部屋に持っていこう・・・」

 あいつまた最近アニメやらを見ているらしい。

 またキャラに影響を与えられて変なことになってないだろうか。

 中2病キャラも高松からきいた話によると大分長いことやってるらしいし。

「山梨」

「ん?なにかな、七実くん」

「これ」

 と山梨にもお土産を渡す。

「お、さんきゅさんきゅ。なにかな?参考書とか、びっくり箱とかかなー?」

 とニヤニヤしながら紙袋を開ける。

「え?なにこれ・・・リボン?」

 小さなリボンがいくつか入ったものを買ってきたわけだ。

 こいつ髪長いから色々といかせばいいのに後ろでただまとめてるだけだからなぁ。

 正直なことを言ってしまえばただ俺が違う髪型も見てみたいだけだが。

「な、七実くん・・・普通そこは最後っていうことでオチとして面白いことを・・・。本当に女の子にあげるプレゼントみたいなものなんか買っちゃって・・・何をしているの・・・」

「何をしているって・・・お前こそ何言ってんだよ。女の子にプレゼントあげてんだ、女の子にあげるようなものを買って何が悪い」

「お、女の子・・・?誰が?」

「いや、お前が。お前って常に元気だし明るいから女の子より男子と接する感じがするーとかそんなこと言うと思ったか?ばーか、そんな失礼なこと言わねーよ」

 ふっ、きまった。

 と言わんばかりのドヤ顔で自分の部屋に戻ろうとする。

 まぁ、ここらへんであいつはいつも「何かっこつけてんだよ!」みたいなつっこみをしてくるんだよなぁ。さぁて様子見様子見。

 チラっと後ろを向く。

「・・・・・あ、ありがとう・・・・・・」

 そこには顔を赤くする山梨の姿が。

 こ、こいつ・・・っ!照れてやがる!

「え・・・と・・・どういたしまして・・・」

「・・・・・・・・・・・・・ふ、ふんだ、七実くんのばか!」

 俺よりも先に部屋に戻っていく山梨。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジかよ。

 くそっ・・・認めざるを得ないが、どいつもこいつも可愛いわ。ちくしょう。

 

これで買い物も終了です。


なんというか毎回本当に後書きで何を書けばいいのか・・・。


とりあえず文化祭編もありますが、その前に絶対に忘れられてそうなあいつが出てくるような気がします。


気がするだけですが。



ではまた次回。

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