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第68片 文系少年と理系少女の体育祭 6日目

 体育祭6日目。

 今日と明日でとうとう体育祭が終わってしまう。なんて残念がってみせたけれどようやく終わるのかというのが本当の気持ちである。

 体育祭が終わってからは休みが3日連続であるのでその間に体を休めたいところだが。

「・・・・・・・」

 俺の意識はそんなところにはなかった。

 それどころじゃなかったのである。

 昨日の病院にて。俺が見たものは紛れもない黒曜石だった。







「なんでお前がここにいるんだ黒曜石!」

「あら?」

「お前は妄想のはずだろう!」

「あなたは妄想について知っているのですね」

「なっ・・・」

 こいつふざけているのか。

 また俺をここで困らせようと偽名(黒曜石の方が偽名っぽいが)まで使って入院をしたと。

 そこまでするか、普通。

「そして私の昔のニックネームまで知っているとは・・・私の友達の生まれ変わりでしょうか?」

「・・・・・・・」

 なんかものすごい天然キャラできている。

 最近の流行りなのか?

 柏部も今でさえああなってはいるが昔は別のキャラにハマっていたため全然違うキャラでいたと教えてもらったしな。

 ただ急激なキャラ変更だけは本当にやめてほしいんだが・・・。

「黒曜石・・・何をふざけているんだ。ほら、いくぞ・・・」

「あら。私の手をひいてくれる王子様ですか?」

「・・・・・・」

 だからさっきから何のキャラなんだ、それは!

 とそこで違和感。

 あれ?こいつちょっと成長してね?

 その・・・背はあまり変わってないが・・・あの・・・胸とか。

 いやいや、違うよ!こいつ2話に渡って胸の話を入れてきやがった、強引に。みたいなこと思わないで!違う!邪な感情は一切ないと言っても過言ではない!

 普通に驚くだろ!

「・・・・・・・・・・・・」

 限りなく似ているが。

 すさまじく似ているが。

 もしかして・・・。

 人違い?

 でもこの人・・・黒曜石という名前が昔のニックネームだとかなんとか。

 そしてこのそっくりな容姿。

 偶然ですますにはあまりに出来すぎている。

「あの・・・山梨さん」

「私の名前を知っているなんて物好きなお人ですね」

「・・・・・・・・」

「お見舞いに来てくれたのでしょう。ゆっくりしていって」

「・・・・・・・・本当に、すみませんでした!」

 人生初の土下座の使い方としてはいい使い方じゃないかと思った。

 というか胸で判断ってそれこそ誤解されそうな内容だけれど・・・。

「何を謝っているんですか?ほら顔をお上げになって」

「あ、はい・・・」

 まわりを見ると、ほとんどの人間がこちらを見ていた。

 恥ずかしい。いつものノリでやってしまったがここは公共の場所のようなところである。

 俺は静かに椅子に座った。

「私のためにお見舞いに来てくれるなんて優しいお方。結婚前に会っていたら惚れていたかもしれませんね」

 そう言ってにっこりと笑う山梨さん。

 さすがの俺でもお世辞だと分かる。

 結婚前に会っていようがなんだろうがこの人と結婚するのはきっと今の旦那さん・・・って。

「え?け、結婚してらっしゃるんですか?」

「えぇ、そうなんですよ」

 嘘・・・だろ・・・。

 見た目からして高校生と言われてもまったく分からないような容姿。

 現に俺は黒曜石と間違えているわけだし。

「失礼ですけれど・・・子供っていらっしゃるんですか?」

「はい、2人ほど」

「その・・・その2人の名前は・・・?」

「小麦と南と言うんですよ」

「・・・・・?」

 ん?

 山梨の母親ではないのか?

「どうかされたんですか?」

「え?あぁ、いや。知り合いに同じ苗字のやつがいて。それでそいつの母親とまではいかないにしろ、親戚か何かかなぁ、なんて」

 なんか焦りすぎて変なところで区切ったりしてしまった。

「まぁ、でも山梨という苗字他にもありそうですし、だぶん勘違いです」

「あら、そうなの?その子の名前って・・・?」

「あぁ、戸張っていうんですよ」

「戸張・・・」

「あぁ、そういえば・・・」

 体育祭でここに来ているのだった。

「すいません。これから行くところがあって・・・」

「あぁ、はい。今日はありがとうございました。もしよければまたきてくださいね」

「は・・・い・・・?」

「(にこり)」

「は、はい。失礼します」

 俺は急いで病室を出る。

 トビラを閉めて、階段を降りる。

 1階まで駆け降りてから病院を出ていく。

「黒曜石」

「はいはーい。というかこの登場の仕方だとずっと七実未空の相棒でしたよ感がありますよね。ポ〇モンですか?黒曜石は何タイプなのでしょうか・・・黒ってついていますしあくタイプですかね」

「黒曜石、あの人はなんなんだ」

「スルーですか・・・。黒曜石に教えられることならなんでも教えますが。あんまり黒曜石は深くまで教えることができません」

「じゃあ、どこまでなら」

「では黒曜石が勝手に話させていただきます。まずあの人は妄想ではありません。黒曜石と似てはいますが黒曜石でもありません」

「無関係ってことか?赤の他人っていうことか?」

「無関係とはいいません。ですが黒曜石にとっては赤の他人です」

「お前にとっては・・・?」

「これ以上は教えられません」

「・・・・・・」

 黒曜石にとっては赤の他人。ってことは山梨とは関係があるということか。

 家族じゃないにしろやっぱり親戚っていう線は捨てられないな。

「同じ山梨・・・そして黒曜石と同じ容姿の人・・・か」

「ではもう1つ」

「?」

「妄想というのは自分で作りだせるもの。ですが何らかの影響を受けたものでないと妄想できないんですよ」

「それってどういう・・・?」

「簡単に言えば、飴を作り出す妄想をするためには飴というものを現実でちゃんと知らなければいけない。まったく無の状態から何かを作りだすことはできないんです。特に描写が命の妄想では」

「ってことは妄想全ては何らかのものを参考にしているっていうことか」

「だから岸島数夏救出作戦の時、山梨戸張が出した触手も何らかの影響を受けたということです」

「・・・・・そこはあまり考えたくないな・・・」

 ていうか知りたくない情報である。

 だが、この話嘘ではないっぽい。

 俺は散々やつの妄想を受けているがどれもこれも何かを参考にしている節がある。

 数夏を紹介した時の意味不明な感動ストーリーというか病弱設定も前日にそういうドラマをやっていたからではあるし・・・。

 結局、緋色の謎のベルで助かっているわけだが。

「ん?」

 そういえば緋色のベルってあれなんなんだ?

 最近出してないというかそもそも緋色自体がでてないっていうのはなんかもうあれだが、あのベル、人の頭を冷まし、妄想を打ち消すベル、音色。

 あれこそ本当に謎なものだ。

「じゃあ黒曜石はそろそろ帰りますね」

「あぁ、ありがとう」

「いえいえ。では何かあったらまた。あなたの妄想で呼び出してくださいね」

「へ?」

「いや、今、この黒曜石は七実未空の妄想で生まれているわけですからね」

「・・・・・」

「あなたも文系。妄想が使えないわけではありませんからね。まだ他人に影響を及ぼすほどではありませんが」

「・・・・・地味にショックだ・・・」

「その言葉に黒曜石がショックです・・・」








「はー・・・」

 結局何も分からないまま。

 そんな感じでむかえたこの体育祭6日目。

「明日で終わりかー」

 と思考を中断して目の前の出来事を最優先する。

「文化祭や修学旅行も近いし、ほんと、体を休めないとなぁ」

「七実くん」

「んあ?高松」

「どうしたの?あの・・・競技は・・・?」

「あぁ、大丈夫。もう少しで生徒会の競技が始まるぐらいしかないからね」

「そうなんだ。じゃあ・・・あの・・・」

「ん?」

「じゃあ・・・ってわけではないんだけれど・・・その・・・」

「なんだ?」

「体育祭終わった3日間の休みの日。どれか・・・あの・・・か、買い物に付き合ってくれませんか・・・?」

「へ・・・?」

 か、買い物?

 つ、付き合う・・・?

 

また遅くなりました。


次はもう少しはやく書いていきたいなぁと。


毎回この後書きで何を書くのか迷いますがこれで。



では。

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