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第47片 文系少年とあじさい荘住人の海水浴 後編

 一通りの遊びを遊びつくしたところで時刻は5時になっていた。バスの時間は8時なのでまだまだ時間がある。

 しかし5時には少しばかり用事があった。高松に呼ばれていたのだ。

「なんなんだろうな・・・」

 俺は頭をかきながら高松が先に言っているであろう浜辺の奥へと行く。みんなにはお手洗いだと言ってある。なんかいい訳が少し男らしくないがまぁいい。

 少し歩くとすぐ高松の姿が見えた。

「あ、・・・七実くん・・・」

「高松。よ」

 うーんと、やはり体調が悪いのか顔色が悪い。でも何か言いたそうな高松を見て俺は黙ることにした。

「あの・・・七実くん・・・七実くんは流れ星って知ってる?」

「ん?」

 これは高松流の罵倒だろうか?流れ星っていうのお前の軽い脳みそで理解できてる?という意味なのだろうか・・・。

「ち、違うの!そ、そういうことじゃなくて・・・その・・・流れ星って消えるまでに3回願い事を言ったら願いがかなうって言われてるじゃない?」

「あぁ、そうだな」

 でもそんなのは子供じみた噂だし、俺はまったくと言っていいほど信じてない。それに3回も願い事を言えるわけがないだろうが。最初から願いを言おうとしていても成功確率は低いのに・・・。

 いや、なんか数夏みたいに論理的な思考になってしまった。

「でも、その流れ星・・・なんで願いを叶えるなんて噂がたったんだろう・・・?」

「・・・・・・・」

 高松は将来詩人でも目指すのだろうか。というか俺はなんでここにいるんだろうという気がしてならなかった。

 けど俺はここにいる。まだ話は終わってないような気がしたから。

「流れ星ねぇ・・・。どうせあれだろ、願い事を試しにしてみた人がたまたまその願い事が叶ってしまってそれを流れ星のおかげだと思ったやつが昔にいたんじゃねぇの?」

 そう、自分の努力の結果なのに。それなのにそれに気付かず流れ星に願った人が。

「それか流れ星を不思議に思った人たちが何かすごいものかと思ったかのどれかだよね」

 所詮その程度で。

 俺が信じる理由にはならない。

 何を願おうと自由だけど。

 それに俺は関わらない。

「でも・・・流れ星が願いをかなえてくれた。それを知った時の人はどう思ったんだろうね」

「あーそれはラッキーとかそんな感じじゃないの?」

「うん、そんな感じだと私も思う」

 ニコニコと笑う高松。一体どうしたというのだろうか。

 さっきから全く話が見えない。

「だから・・・私もラッキー程度でいいから・・・星に願いたかったんだ」

「?いいんじゃないか?流れ星が流れればだけれどさ。俺は信じてないけどそこらへんは自由だし、女子ってそういうのが好きなんじゃないのか?」

「ん・・・全員が全員好きってわけじゃないけど、興味はあったよ。少なくとも幼稚園、小学校の時は」

「それは分かるな。俺も思わず願ったよ。おもちゃやらお菓子が欲しいってさ」

「でも・・・流れ星は流れなかったんだよね」

「あぁ、見たことがないな。流れ星。だから適当な星に願ったりしてさ」

「でも私は流れ星を流すよ」

 その瞬間高松の顔つきが変わった。

 笑顔がとても優しい笑みになっていた。

「私は流れ星を流す。願いを叶える。そのための努力は惜しまない」

 確かにそれは努力と言えるのかもしれない。

「私は・・・私自身の努力を星に注ぐよ。私は流れ星を流すから・・・」

 何が言いたいのかは分からない。

 けれどなんとなく高松の決意は伝わってきて悪い気分じゃなかった。

 俺も不思議と笑顔になっていた。

「だから流れ星・・・七実くんも楽しみにしててね」

 そして高松はみんなのもとへ戻っていった。

「流れ星・・・ねぇ・・・」

 そんなにかなえたい願いでもあるのだろうか。

 自分で流れ星を流してでも叶えたい願いが・・・・・。

「俺には・・・」

 俺には何もない。

 そういうことを含めて俺には何もなかった。

 願いもなければ夢もない。

 ついでにいえば進路だって決まってない。

 俺は・・・。

「まぁ、考えるより・・・海を楽しまなきゃな」

 俺もみんなのもとへと戻る。

 騒がしい毎日へと。











「七実さん」

「ん?どした?」

 数夏が上目づかいで見てくる。

 というか身長差からしてそうなるのは仕方のないことだけど。

「私、みんなで遊ぶ海がこんなに楽しいなんて思いませんでした」

「そっか・・・、よかったじゃん」

「はい。久々に計算以外のことに熱中できましたよ」

「いや、それはウソだろ」

 お前砂の大きさとかはかってたのはなんだったんだ。

「それも含めて海ってことですよね」

「断じて違うがここで否定するのも空気的に間違ってるよな」

 いい笑顔で言いやがって。

 現在は7時。帰りまで残り1時間という時間。あたりは夏だというのに結構暗くなっている。

「俺も楽しかったなぁ・・・去年は海に行ってないし」

「そうなんですか?って柏部さんは?」

「あいつは出たがらなかったよ。地獄の城がどうたらこうたらって言ってたけどあいつ暑いのも人が多いのも苦手だしさ」

「普通引きこもりキャラと言っても最終的には出てくるみたいなあれが当然な流れだと思うんですけど・・・。柏部さんはマジな引きこもりですね」

「マジも何も現実そういうもんだろ」

 しかも夏休みだからなぁ・・・絶対羽のばしてるだろあいつ。

「七実さん・・・」

「ん?」

「明日もまたたくさん遊びましょうね」

「おう、夏休みはまだ続くしな」

「はい、宿題も終わりましたしね」

「いや、同意を求めるな。俺は一切手をつけていない」

「それフラグじゃないですか?夏休み最後に忘れてた宿題をやるっていう・・・」

「いや、やめて!お前が言葉に出すと本当にフラグたつから!」

「じゃあ、まずは七実さんの宿題をやり終えてからですね」

「手伝ってくれんの?」

「いえ、苦悩する七実さんを見守るだけです」

「悪趣味だな、おい!」

「まぁ、それは冗談として・・・・・」

 その瞬間でかい破裂音がする。

 それと同時に大きな光が浜辺を照らす。

「お、花火じゃん」

「あぁ、確か旅行の説明にそのような事が書いてあった気がします」

「ほー、なかなか綺麗だな」

「はい」

 花火が次々と開く。そして俺らはそれをずっと座りながら見ていた。

「おっとー!お2人さんなに最後ムードになってるのかな?」

「・・・・・・・・数夏」

「あ、あの・・・・・花火綺麗だね」

「あら?意外といいサプライズね」

 みんなも来る。結局最後まで香織さんのTシャツの中は分からなかったけれど。

「みんなで見ようぜ、花火」

 みんなで浜辺に座って花火を見る。

 やはりこれも思い出の1つになるんだろうなという景色。

 明日もまた晴れるだろうか。

 今日のように。

 みんなと一緒に過ごす毎日が俺の中で日常となっていた。

 今年の海水浴。そのイベントが今終わろうとしていた。

 

海水浴終了です。


なぜかすごい長かったような気のする夏。


うーん、更新速度が問題なのだろうか・・・。


なるべくはやめに頑張ります。


では。

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