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第46片 文系少年とあじさい荘住人の海水浴 前編

 なんかものすごく久々であれ?この人だれだろう見たいになってしまいそうなので紹介をしたい。

 七実未空です、ども。

 いやーこんな感じも久々だなー。

 まぁ、紹介もここまでにして、今の現状を話そう。

 海に来ている。それが結果だ。そんな中、何をするかという話し合いになったわけだが・・・。

「ふっふっふっ・・・七実くんよ、一体何をするのかときいたね」

「あ、あぁ」

 はやくも嫌な予感しかしない。

「私には案があるんだよ」

 山梨戸張。こいつは夏でも元気だった。夏バテを知らないのか、こいつは。まぁ、海だしな。

「それはー・・・ビーチバレーです!」

「あれ?」

 意外と普通というとおかしいのかも知れないけれど・・・これは少し珍しい。

 いつもなら突飛な意見が飛び込んでくるんだが。

「戸張さん、なんか、普通ですね」

 と思わず不審に思い、怖くなったのか岸島数夏が聞く。というかお前はさっきまであじさい荘からここまでの距離をまったく意味の分からない方法で求めるというまったく意味の分からないことをしていただろうに。

「ただのビーチバレーじゃないよ!」

 やっぱりな。

「失敗した場合、あそこにある島を回って戻ってきてもらうよ!」

「島ってどんだけ遠いんだよ!」

「え?人差し指ぐらいの大きさだよ!」

「お前は小学生か!地図を見てバカ正直に隣町まで人差し指分だと思うのと同じレベル!」

 なんかもう無茶苦茶だった。

 まぁ、いつもこんな感じだから動じないけれど。

「あの・・・私あんまり泳げない・・・」

 おずおずとはいってきたのは高松小鳥。ここにきてもテンションは変わらず。

 しかし水着なのでどこか体を腕で隠している。

 もうほんと、神様ありがとう。

「高松は意外と胸があるんだな」

「え?」

 泳げなくても気にしなくていいぞ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 あれ?おかしいな。

 顔が赤い。

 俺は変なことを言ったのだろうか。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「あ、地の文と声に出す方を間違えた」

 そこで失態に気付く。

「ち、違うんだ、高松!いや、ちがくはないんだけど!そういうことじゃなくて!」

「ほら!いくよー、七実くん」

「え!?ちょ・・・お前待て!」

 しかし俺の言葉は聞かず、山梨はビーチボールをバレーのサーブで打ってくる。

 俺は完璧に不意をつかれていたのでこのままでは顔にぶつかる。

 しかし直前に緋色が打ってくれた。

 結露緋色。

 こんな時まで無表情でまったくもって顔を崩さない。

「・・・・・・・危なかった」

「お、おぉ、さんきゅ、緋色」

 しかし。

「ふっ!」

 山梨はスパイクを打ってきた。そこまでするかおい。

 すっぽぬけたのかまったく違うところに飛んでいくし。

「七実くんー!ボールとってー!」

「おぉ、待ってろ」

 文句を言っても無駄だということが分かっているので俺はボールをとりにいく。

 ボールを追い、走っていくとボールを拾ってくれている人がいた。

 同い年ぐらいだろうか。しかしどこかで見た顔だ。うーん、うちの学校の人かな?

「おーい、すみません」

「あ、えと、これ」

 と言ってボールを渡してくれた。

「すみません」

「いえ、その・・・バレーやってたんですか?」

「あぁ、うん・・・」

 といいつつ俺はみんなの姿を見る。せかす山梨にまだ顔の赤い高松、意外とやる気な緋色に砂の大きさをはかる数夏・・・・・。

「そんなところかな?だけど計算女がいてさ。他にも妄想女やらなにやら・・・」

 ものすごいかわいそうな目で見られている。

 そんな疲れた顔をしていたのだろうか。

 あとなぜだろうか。彼に仲間意識をおぼえる。

「えっと・・・あぁ、そうだ」

 とたぶん同じ学校じゃないかと思われる男子は俺に花を渡してきた。

「花?」

「実は前にある人からもらって・・・疲れているのならとりあえず花の香りでも・・・」

「ふーん・・・桜っぽいね」

 と言って受け取る。

 後輩かな?やはりどこかで見たことがあるような気がする。

 個人的な用事じゃなくてもっと大々的な何かで・・・。

 しかしそんな思考もそこで中断された。

「ん?」

 その花は枯れていた。

 最初から枯れていたわけではない。と思う。俺は一応桜かもしれないという素人ながらの判断をした。それは枯れていたらまったくもって見当すらつかないはずだ。

 じゃあなぜ?

 なぜこの花は・・・。

 この花は俺が触ったとたんに枯れたような反応を見せたのだろうか。

 とりあえず俺はその花を後ろにさっと隠した。

「ありがとう。大事にするよ」

「では、また2年生さん」

「おう・・・ってあれ?」

 やはり後輩だろうな。

 まぁどんな人だったかはいまだに思いだせないけど。

 そしてボールを持って元の場所に戻る。

「七実くん!遅いよ!私なら秒速5センチメートルで歩けるね!」

 山梨の元気な声がむかえてくれた。

「ずいぶんとこまたで歩くんだな、お前」

 そう言いつつも俺は不思議と笑顔になっていた。

 やはりみんながいると楽しいな。

「あんたたち、私を忘れてたでしょ」

 その声は誰でもなく香織さんのものだった。

 そこで俺は水着の描写説明を忘れていた。あぁ、なんということだ。

 まずは説明しやすい数夏のから。

 これはもう完璧にお前はなんの需要にこたえたんだというぐらい寸胴なボディに似合うちゃんとしたスクール水着だった。正直言いますと、胸にでっかく名前を書いたスクール水着なんて本当にあるんだな。ついでに言うと胸の方も需要に答えていた。ないとまではいかなくとも少しふっくらとした程度。

 山梨は普通にビキニ。胸がでがい事を知っている俺はどうしたって目をそらさなくてはならない。健康的で太っているとまでいかなくとも痩せすぎてもいないちょうどいい感じである。

 高松もビキニだが下には布を巻いている。あれなんていうんだろうね。レオタード?まぁなんにせよ素晴らしい。いい水着です。

 緋色は高松のと似たような形状だが高松よりも布の面積がでかい。軽くわすれかけてたけどこいつも子供っぽい体型をしてるんだよな。

 そして最後、香織さんだが・・・下はたぶんビキニだろうが上は・・・Tシャツを着ていた。

「ちくしょう!あんたは鬼か!」

「え?なに?何があったの?」

「香織さん、今、七実さんは何かと戦っているのですよ・・・」

「あら?そうなの?自分の今後の成績の事?」

「うがぁあああああああ!」

「香織さん!このままじゃ七実くんが壊れちゃうから!私たちよりも繊細な心を持つ七実くんが!」

「・・・・・・・数夏、遊ぼう」

「うぉっと!?伏兵!?緋色さん、遊ぶのはいいですがその手を動かすのにはなんの意味が!?」

「あ、あの・・・大丈夫、七実くん?」

「ああ、あぁ、なんか今とてつもなく嫌な夢を・・・」

「あんたたち海もいいけど、もう2年生なんだから将来についても・・・」

「あぁあああ!もう!分かった!香織さんは俺に恨みがあるんだな!よし、こい!」

「いや、何もないけれど・・・」

「七実さん、分かりました。進路については後ほど一緒に考えましょう。しかしまずは緋色さんをよけていただきたい!なんで馬乗り状態なんですか!」

「緋色!?お前なにしてんだ!まわりを気にしろよ!」

「七実くん・・・ツッコむところはそこ?」

「あぁーもう!緋色、ほら」

「今だちゃーんす!」

「おわっち!お前首絞めてる!」

「・・・・・・・・・未空もまわりを気にしたら?」

「う・・るせえよ・・・!お前俺、これ死ぬ」

「戸張さん、それ七実くんカタコトになってますから。オデキャラになってますからちょっとゆるめてください」

「おぉーっとごめんよー。いや、七実くんは胸さえ押しつければ何でもおーけーなのかと」

「さすがに死にたくはない」

「・・・・・・胸がたくさんあったら?」

「俺はそこで死んでもいい」

「軽い!なんでそんなすぐ手のひら返すんですか!」

 騒ぎはなかなかおさまらなかったが高松が小声で俺に話しかけてくれた。

「七実くん・・・5時に浜辺の奥にある岩の前まできて」

「え?お、おう」

「一人でね」

「いや、いいけど・・・」

 その時の高松の顔はどこか思いつめた表情をしていた。

 何があったんだろうと心配して見ていると、気付いたのか香織さんがニヤニヤしていた。

「あんた、ちゃんと行きなさいよ」

「いや、分かってるけど最近香織さんが20代前半だってことを忘れがちに・・・」

 俺の失言でヒートアップした騒ぎ。

 しかし俺はその時間こそを大事にしようと決めていた。

 崩されるわけにはいかない日常。俺はこの日常のためならなんだってしてやる。

 ただ、今は本当に鬼となった香織さんを止めてほしい。

 ただそれだけだった・・・。

 高松のセリフ・・・少し気になるけどなんなんだろうか?

 というわけで俺らの海水浴はまだ終わらない。

 

次回に続きます。


不定期ながら次の話もはやめにあげたいと思います。


では。

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