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第45片 委員会と【色花】少女の夏休み

「なんでこんなことになっちまったんだ・・・」

 俺は心底そう思う。

 新聞部として確かに必要なことかもしれないが、正直めんどくさい。

 担当してる新聞の記事もまだ書き終えてないし・・・。

 そのくせ先輩たちは自分の記事で精いっぱいだし、やっぱ俺がいくしかねぇのか。

「おや?」

 と声をかけられる。

「君は君は新聞部2年、副部長の皆恵みなえくんじゃないか」

 声をかけられたのはインタビューなどをよくさせてもらっている風紀委員長の長鍋おさなべさん。

 風紀委員初の女生徒委員長だ。

「あぁ、長鍋先輩。お久しぶりです」

「うんうん、いいあいさつだね。ほんと見ていて清々しいよ。んでとぼとぼと夏休みの昼間っから学校の廊下を歩いてどうしたんだい?」

「いえ、ちょっとインタビューに行かなくてはいけなくて・・・」

「ふぅん・・・今回は誰にインタビューするの?」

「確か・・・色花さんとかっていう人だったはずですけど・・・3年生ですしインタビューがやりにくそうで・・・同学年の方がやりやすいと思うんですけどね・・・」

「色花・・・。確かにそうだね。3年生は全員他の作業中ってわけ。で、君は仕事を押しつけられたと」

「そういうわけではないんですけど・・・今までは同学年の新聞部がインタビューをするって決まりだったんで驚いただけですよ。あと普段なら3人ぐらいで行くのに今回は俺1人ですしね」

 と経緯を説明する。

 ちょっと愚痴っぽくなってしまったが長鍋さんも気分を害した様子もなく笑顔で笑っている。

「そうだったんだ。ま、気をつけてね」

「あ、はい」

 そして別れてからあまりにも遅すぎる10秒後俺はおかしなことに気づく。

 気をつけろ・・・?インタビューをするやつに対する言葉だろうか。

 なんだか嫌な予感がしてならないが、まぁそんなことはいいとして時間の無駄だ。

 推理ごっこはまたあとでゆっくりとしよう。

「確か部活をやってるとかなんとか・・・」

 なんでも屋のような部活をやっていると聞いたことがある。

 でもそれって正式に認められている部活なのだろうか?

 しかし今現在もそうやって部活があり、活動をしているというのなら認められているんだろう。

「おっとここだ」

 第2美術室。

 普通の美術室とは少し離れたところにあり、する内容もデッサン専用の教室のようになっており、たくさんのサンプル品がならんでいる。

 本物じゃない花とかも置いてあるのだ。

 よくある飲食店の前にある食品サンプルのようなもの。

 他にも家の模型、船の模型など様々なサンプルがある。

 とここまで話しておいてなんだがデッサン部という変わった部活が俺の入学と同時になくなっていたため、入った事もないし、美術の授業ですら使ったことがない。

 なるほど。それなら部室にうってつけかもしれない。

 そう思いながら俺は扉を開こうとしておかしいことに気づく。

 話し声がきこえるのだ。

 部活なら普通かもしれないが少し荒々しい。

 ケンカか?

 やめてくれよ・・・これからインタビューするのにさ・・・。

「でも・・・」

 インタビューはやはりしなければならない。中の様子を一度伺おうと窓の方にまわる。模型や何やらが窓の方に並んでいて見ずらいがなんとか見える。

 はぁ・・・あれが色花さんか・・・頭にかんざしのようなものや花の飾りをつけている変わった人。

 しかしそれよりも変わったことがある。

 なぜだろうか。

 この季節に。

 室内に。

 コンクリートのかたまりに。

 花が。

 桜が。

 桜の木がそこにあった。

 そして室内は桜の花びらが散る教室となっている。

「なんだよ・・・これ・・・」

 思わずそう呟くがそこで色花さんとやらと会話してるのは風紀委員の人達であることが分かる。

 どれもインタビューで見た顔だ。

 そしてもちろん知り合いでもあった。

 なんだあいつらも俺と同じで先輩に頼まれたんだな。

 そう思うことが当然だろう。

 俺は耳を澄まして中の様子を確認してみる。











「色花先輩。ここがなんの部屋か分かっていますか?」

 風紀委員の1人がそう色花に聞く。

「第2美術室ですよね?」

「その通りです。ではなぜ許可なくあなたがこの部室を使ってるんですか?」

「あら?でも先生方にも許可を得たはずですが・・・」

「いえ、今回は先生からの依頼でもあるので許可をとったなんていうのは勘違いでしょう」

「大体・・・」

 と言いながらもう1人の風紀委員が続ける。

「なんですかこの木は。たとえ部室を使う許可が降りていてもこの木はさすがに許すわけにはいきません」

「あ・・・でもそれは私の大切な・・・」

「まったくしかも桜ってどういうことですか」

 と風紀委員が桜の木に触れようとする。

「あ、触らないでください」

「校則違反ですので。取り締まらせてもらいます」

 桜の木に触れようとした瞬間。

 その風紀委員の腕は弾かれた。

「なっ・・・」

「あーあ。だから言いましたのに。触らないでと」

 色花が口元の扇子をとる。

「これだから野蛮な一般人は嫌いなのです。駆除するべきですね。1人残らずこの学校から。いなくなれば私の生活はさらに充実したものになるというのに。特にあなたがた風紀委員には消えていただきたい」

「な・・・何をした・・・!」

「何をした?そこらへんの漫画ではないのですから特殊な能力なんて持ってませんよ。それともあれですか?ルビをふった能力が出てくるとでも?なるほどあなたがたはそういうのが好みなのですね」

 俺はいったいなにを見ているのだろうか。

 しかし足も動かなければ首も動かない。

 震えてるのか見たくてしょうがないのか・・・どっちだろうか、それは分からないが。

「風紀委員としてあなたを取り締まります」

 その2人の風紀委員は何かの運動部にでも入っているのかものすごいステップで色花に近寄る。

 しかしそれは間違っていたのかもしれない。

 花の甘い香りに騙された。

 そのような感じが頭をよぎる。

「私の花の蜜を吸いにきたのですか?・・・身の程をわきまえなさい、羽虫どもが」

「はぁあああああ!!!」

 いつからバトル展開になったのだろう。

 しかし信じられないことが目の前で起きる。

「あなたたち・・・『触れないで』もらえますか?」

 その瞬間2人の腕は不自然なかたちで弾かれる。

 風紀委員はそれに驚いたのかその場から動けない。

「あなたがたのその無能な頭は必要あるんですか?ないでしょう。ならば私が少し削ってさしあげます。お礼はいりませんよ。私の部活動はなんでも屋の桜部屋なので」

 驚いたことに色花は笑みを崩していない。

「まとめて『あ・・・』」

 しかしその言葉は続かない。

 なぜか。

 それは完全に俺のせいだった。

 俺は思わず窓を開き、教室の中に入っている。

 そうさっきいった通り2人は俺の知り合い。

 見捨てる理由なんてどこにもねぇぞ。

「あなたは誰ですか?」

「お前こそ。人間がするようなことを越えてるぞ」

「厄日ですね。今日は。ではあなたもまとめてやらせていただきます。まずはそうですね・・・」

 何かくるのか?

「『倒れろ』とかどうですか?」

 ?なんだ?何もしないのか?そう思ったしかし俺の体は意思に反してその場に倒れる。

「ぐっ・・・」

「ふふ・・・あなた。私になんの用ですか?」

「あ、あぁ・・・なに・・・ちょっとしたインタビューをね」

「体をはったインタビューですね。まぁでもその内容は全て忘れてもらいます。簡単なことで記憶を変えればいいのです。『忘れて』ってね」

 俺の意識はそこで遠のいた。









「まぁ派手にやっちゃったねー【色花】さん」

「あらまぁ、これはこれは風紀委員長の長鍋さんではありませんか」

「まったくうちの委員までやっちゃってさ。と、あら?皆恵くんもか」

「えぇ。申し訳ありません。ですが彼らの方が先に襲ってきたんですよ。あぁそれと彼、委員の人を守ろうとしたらしいんですけどね。でもなぜそれを無駄だと知らないのか。無知は怖いですね。いえ、無知の知。すなわち知らないということを知らないのは怖いものです」

「うん、まぁそうだね。でもさ・・・」

 長鍋は3人を抱えて。

「次、うちの委員とこの子に手を出したら私があなたを殺してしまうかもしれないなぁ。知らないわけじゃないんでしょう?無理に脳なんかいじったら大変なことになるって」

「えぇ。そうならないように気を付けます。あなたは少しこわいので」

「あぁ、あとさ。扇子を口元にもってきてからしゃべってくれないかな?」

「あら?それは失礼かと思いましたのに」

「あなたの【言葉】は気持ち悪い。それに殺気だってびゅーびゅーでてるしさ。その扇子でちゃんと抑えといてよ。あなたのその醜い【言葉】を浴びたら家で何回お風呂に入ってもとれなさそう」

「罵倒されたような気がしますね。私の言葉は汚いって言われたような・・・」

「汚ねぇって言ってんだよ、ボケ」

 そう言って長鍋は教室から出ていく。

 3人を抱えて。

 そして憮然と怒りに燃えながら。

「はぁ・・・ったく何が無知の知だよ」

 長鍋は教室から出て階段を上がりながらそう呟く。

「本当に怖いのは知識の使い道を知ってるお前みたいなやつだっての。博識の知。ほんとこえぇわ」

 そう言いながら長鍋は皆恵を部活の人達になんて説明しようか迷っていた。

 

 

主人公でいくと言ったこの前のあとがきはなんだったのでしょうか。


申し訳ないです。


次こそは本当に今度こそ久しぶりに・・・。


では。

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