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第37片 文系少年と河内先生の騒動

あー、どもども。七実未空です。いやーなんかいいね、久々だね。こういう短編な感じ。あいさつはここまでにして、終業式を終え、今日から夏休み。夏の暑さがじりじりとそして草木は花を咲かすのではなく真緑色をしている。そんな夏休み。高校生ならば誰しも楽しみにしているわけだが・・・。


「あっつー・・・」


俺は違った。基本暑さが苦手なのだ。冬の方がまだマシだと思えるぐらい。暑さはまだ本格的になっていないというのに・・・なんだこれ。もう無理なんだが。


「1階でこの暑さかよ・・・」


俺は朝起きると同時に自分の部屋の暑さに吐きそうになり、みんなが使う1階。全てをリビングとして使っているように見える広い部屋に降りてきたわけだが・・・暑い。ちなみにエアコンはなしだ。


「だるいー」

「だるいのは私も同じなんですけども」


俺の座っているソファの隣のソファに座っていた数夏がしゃべる。うん、みんなも同じだっていうのは重々承知なんだけどさ。文句を言わずにはいられないんだよ。


「ほら、どこかに足をぶつけたとき、痛いって言った方が痛みがへるみたいな原理でね。暑いときにも暑いって言った方が・・・」

「暑いときに他の人の暑いを聞くほど暑苦しいことはないと思いますけど」

「はい」


俺もそんな経験があるから何も言えない。そうだよね、嫌だよね。なんかイライラするよね。


「でもさー、夏休みって普通海とかプールとか行くよな」

「なんで主に水辺なんですか・・・」


別に水着に興味があるというわけではないよ。本当だよ。いや、マジで!


「夏祭りとかあるでしょう。私はとりあえず何か食べたいです」

「あまり混んでるところは行きたくないんだけど」

「え?七実さんって浴衣の帯で女の子が縛られてるのを見るのが好きなんじゃないんですか?」

「浴衣って言えばいいだけだろうが!なんでわざわざ生々しい表現にするんだよ」

「・・・・・・」

「俺の普段の行いかよ、この野郎!」


とまぁ、会話で暑さを誤魔化そうとしたのだけど・・・無理でした。セミの鳴き声が聞こえるわけじゃないけれど、どこかうるさい!と叫びたい自分がいる。ほんと夏は苦手だなー。


「そういえば七実さんたちって去年の夏とかどうしてたんですか?」

「去年の夏・・・別にそこまですごいことはしてないけど・・・祭り行った程度かな」

「やっぱり祭りですか」

「そのやっぱりに悪意がこめられてないか」


すると俺の携帯が震える。携帯を開くとクラスの友達からだった。内容は数学の提出物を出してないだろということ。忘れてた。とりあえず、学校に行って提出するかな。


「数夏、俺これから数学の提出物出してくるから」

「あれ?出してなかったんですか?」

「おう、忘れてた」

「いってらっしゃい」

「いってきます」








「あー河内先生いますかー?っと」


俺は学校の職員室にきていた。河内先生とは新しく入ってきたばかりの若い先生だ。若すぎる気がしないでもないぐらいなのだが優しいので生徒からの人気はある。俺のクラスの数学の先生である。


「あぁ、七実くん」

「河内先生、すんません!」

「え?なにがだい?」

「この数学の提出物出し忘れてました」

「じゃあ、受け取ります。次は忘れないようにね」

「はい」


この程度で終わってしまう。さて、これから何しようかなとか考えていると・・・。他の先生が俺らの方に近づいてくる。あの先生は、皆川先生だ。国語の先生でこれまた俺のクラスの国語教師である。天然そうで気が弱く、背も低いので生徒になめられがちだがそれすらもかわいそうだからという理由でだれも皆川先生に突っかかる人はいない。若い先生である。


「皆川先生、こんにちは」

「あ、七実くんこんにちは」


俺はこんな良い先生に囲まれていながらもこの状況をめんどくさいと思っていた。理由は簡単。


「河内先生もこんにちは」

「み、みみみみ皆川先生!?こ、こんにちは」

「・・・・・・・・」


めんどくさい。まぁ、生徒ならだれでも知っているようなことだが河内先生は皆川先生のことが好きだ。それでいてあまりしゃべれないから進展はまったくしないんだけど。


「七実くんはどうしたの?」

「あ、いえ、提出物を忘れて。じゃ、用がすんだのでこれで」

「ま、待ってくれ、七実くん」

「えぇ!?」

「ここに俺を1人にしないでくれ!」

「そんなんだから皆川先生といつまでたっても・・・」

「な・・・お、俺は別に皆川先生など・・・」

「あ、あの・・・何の話でしょうか?」

「皆川先生!?なぜここに!?」

「いや、前からそこにいたでしょうに」

「では私もこれで」

「あ、はい!」


何これ。


「先生・・・俺帰っていいですか?」

「あ、あぁ、すまん」


そして帰ろうとすると体育教師でもないのにがたいのいい教師が来た。


「七実、どうした?」

「あ、根室先生。なんでもないです」


俺は忘れ物をしたことを隠して、その場を去ろうとした。


「あ、根室先生」


後ろで皆川先生の声がする。俺はチラッと後ろを向く。そこには目をキラキラと輝かせている皆川先生がいた。・・・・・・・・まぁ、なんつうか。人生ってほんと思い通りにならないよな・・・。








帰り道。数夏に河内先生の哀れ話をお土産にしようと行く時よりも軽い足取りで進む。ぽてっとその時、何かに頭がぶつかるのを感じた。しかしそれは逆で頭に何かがあたったみたいだ。


「ん?ペットボトルロケット?」


昔、小学生のころペットボトルロケットを作ったのを思い出す。水の力か何かで飛ぶ自分で作れるおもちゃのはずだが・・・。


「なんか・・・ごつい・・・」


エンジンみたいなのがついてた。スーパーエンジン、ペットボトルロケットつきみたいな感じだった。スーパーエンジン、ペットボトルロケット添えみたいになっていた。これじゃむしろペットボトルロケットがおまけみたいなものだろうに。


「はぁーなんかなー」


夏休み初日にしてはなかなかだったと思う。夏休みの宿題に絵日記があるわけでもない。だったら書けないことも満喫しなければ。俺は高校生なのだから。



どうも。


もうそろそろ話も40話に近づいてきました。


今回は先生たちをだしましたが、これで終わりではありません。


次回は全く別の理系少女と文系少年。をおくりたいと思います。


でわ。

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