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第31片 文系少年と妄想少女の改変

えっと、ども七実未空です。いやー・・・なんか1話分ぐらい出番がなかったような気がするけれど。なんなんだろうか。いや、でもまぁ、いいや。なぜかというと・・・。


「えー、明後日から夏休みですが・・・・・・・・・」


教室では担任の先生が夏休みの注意事項を話している。日差しも強く暑さが目立ってきた7月下旬。実は夏休み間近だった。しかしなぜ夏休みの前という中途半端な時期の話をするのか。それは簡単なことだった。


「さて・・・と」


学校が終わるとすぐに寮へ帰り、ご飯の準備をする。本当は高松とかにやってほしいことだが、今日どうしてもはずせない部活の重要活動があったためまだ学校である。


「おーい、生きてるかー」


俺はある部屋の前にたち、呼びかける。が返事はない。余程のことらしい。最初は軽く見ていたつもりだが返事がないとは重傷なのだろう。とりあえず、手に持ったご飯が冷めないうちにドアをノックして開ける。すると中では人が横たわっていた。


「あー、七実くん?」

「おう、おかゆ作ってきたぞ」


山梨戸張。夏風邪である。








ことが起きたのは前日の夜。頭痛をうったえてきたときからだった。


「いやね、それでそいつが・・・」

「・・・・・・・・・・・なるほど」

「数夏しょうゆ」

「いや、七実さんの方が近いでしょう」


4人で仲良く話しながら食卓を囲ってた時。もちろん柏部は自分の部屋でゲームという栄養補給をしているが。


「ひいろーん。あのベル鳴らしてー」

「・・・・・・・・どうして?」

「なんかねー、頭ぐわんぐわんすんのよ。だから冷やしてもらおうかと」

「それ、大丈夫ですか?」

「数夏ちゃんは優しいねー」

「それ、大丈夫か?」

「あぁ、七実くんいたんだ」

「反応がやけにつめてぇ!」

「頭だけじゃなくてのどもいたいー」

「・・・・・・・・・それは風邪」

「えー!ただちょっとくらくらしてるだけなのに!」


山梨が驚きと同時に立ったが・・・ぐらっと揺れてそのまま倒れた。


『・・・・・・・・・・えぇええええええええええええええ!!』


みんなも驚いていた。


「ちょ!これやべぇだろ!」

「なななな七実さん!と、とりあえずネギを・・・」

「ネギをどうするつもりだ!」

「いや、首とかにまくと治るんじゃないかと・・・」

「それ以前にすることがあんだろ!緋色!とりあえず、ベルで冷やしといてくれ!」

「・・・・・・・・わかった」

「ったく、いつもは元気なのにどうしたんだ、こいつ」

「それはこの前の一件のせいね」

「あれ?柏部いたんだ」

「あなた・・・その反応されてあなたも傷ついたのでしょうに・・・」


ちょっと傷ついた様子で柏部が部屋からでてきていた。


「夏風邪ではあるけれど、それを引き起こしたのは七月六日」

「七月六日って・・・」

「数夏の父さんとの時か・・・」

「あの時、彼女は妄想を使わなかった?人間に危害がおよぶような強力な妄想を・・・」

「んー?ほとんど高松の委員長魂でのりきったからな・・・」


そして思考を巡らせて・・・・・


「あ、あいつ、影を実体化させてぬるぬるさせて黒スーツをとらえてた・・・」

「でしょう。妄想とは本来描写を詳しく相手に与え、そしてさも現実に起こったかのような錯覚を起こさせる。その分、自分の脳には負荷を与えるの」

「それは妄想がより人間に被害を与えるとその分脳に負荷が・・・」

「そう。で、今回の夏風邪がその代償。よかったわね、夏風邪で。下手したら脳が破裂よ」

「!?」

「・・・・・そんな・・・私のせいで・・・」

「・・・・・・・数夏は悪くない」

「そうだ。お前は何も気にしなくていい。というか柏部。お前詳しいな、そういうの」

「『妄想』という能力に興味があっただけよ」

「ふーん、って数夏!泣くな!よし、こうなりゃ俺が必殺のギャグで!」

「・・・・・・・殺してどうするの?」








そんなこんなで今に至る。ほんと、夏風邪でよかったよ。


「もうあんますごい妄想を使うなよ」

「うん・・・こんな辛いのはもういいや」


そう注意したが本当はあの話のあと柏部がこっそりと教えてくれた。


「あの妄想は人を殺せる」

「どういうことだ?」

「殺すという妄想を突きつけることで人を殺せる。人は自ら身体機能を停止させる。そういうこと」

「ふーん、でその代償はどんなもん?」

「自分も死ぬ」

「なるほどな、わかったよ、ちゃんと言っとく」


そんなやりとりがあったうえでこの会話。俺はこの事実を突きつけることはできなかった。


「ま、ゆっくり休め。明日終業式だし、もう夏休みだからな。出席日数も足りるだろう」

「うん、ありがとう」

「ほら、おかゆ食わせてやるよ」

「ありがとう」


俺はただひたすらに看病していた。ちなみに数夏がいないのはあいつがいると山梨に謝っちまうからな。

そればっかりはいけない。絶対にダメなんだ。








「おーい、山梨いってくるぞー」

「うん、いってらっしゃいー」


俺はドア越しにあいさつをして学校に出かける。


「数夏、行くぞ」


今度は数夏にドア越しに声をかける。しかし・・・・・


「あ?あいつもう出かけたのか?」


俺は一階におり、玄関から出て明日の夏休みへの期待を躍らせながら学校へ行く。









「ん?数夏はまだきてないのか?」


教室。まだ数夏はきていなかった。しかしもう遅刻ギリギリである。


「何やってんだ、あいつ」


すると・・・・・


「もう終業式始まるぞー」

「あ、すいません、まだきてないやつがいて」

「ん?誰だ?」

「えっと・・・・・」

「なんだちゃんと全員いるんじゃないか」

「え?」


数夏が来たと思ってあたりを見渡す・・・しかしその姿はない。


「あの・・・1人」

「だから誰だ?」

「岸島数夏ですよ!あいつがまだきてない!」

「岸島数夏?・・・・・はぁ、お前は何を言ってるんだ?」

「え?」





「岸島数夏はもう亡くなったろう?」





俺は違和感を感じなかったと言えばうそになる。恐ろしいことが起きていそうな予感。嫌な予感だ。それは見事的中して・・・そして・・・。


岸島数夏は死んでいた。

30片でキャラをまとめたのでどどん!と話を動かしました。


えぇ、短い話が多い中での長編突入です。


夏休み前の彼らの活躍に期待!していきたいんですがねぇ・・・。


でわ。

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