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第24片 理系少女と文系少年の難問

眠い。俺は眠いんだ。7月中旬。暑さもいよいよ化け物じみてきたこの夏。もう教室は夏休みムード。盛り上がる盛り上がる。そんな中俺はあじさい荘にいる。1階のリビング。夜。12時なろうかという時。


「くそ・・・」


俺にはもう気力がない。もう何もできない。意識は朦朧としていて視力も低下している。何も見えない。何もできない。これが絶望。これが・・・。


「いや、だから何かっこつけてるんですか。テスト勉強でしょう、ただの」


というわけで俺は今、絶望を味わっているのでした。


「いやいや、あのな。普段から努力してるやつにはわからないだろうがサボってるやつは大変なんだよ」

「なんで偉そうなんですか」

「現代文、古典はいいとして・・・問題は化学と数学か・・・」

「得意不得意ありますもんね」

「なんかお前余裕じゃね?」

「そうですか?ふふふ・・・何をかくそう私は文系の教科までカバーしてますからね」

「なに!?お前唯一の弱点が!」


他にもあるけども!でも目立った弱点が!


「ずるいぞ!」

「日々の努力が結果を生むんですよ」

「くそっ!じゃあ、問題を出してやる」

「どんとこいです」

「漢文、推敲で迷っていた句。静かな中で静かに門の中に入るともう一つは?」

「門を通り抜ける」

「なるほど。テレポートが使えたのか」


めちゃくちゃでした。正解は門をたたいて入るだ。


「ま、これでちゃんと勉強しなきゃな」

「うー・・・」

「数学は難しいよー」


と声をあげたのは山梨戸張。こいつも文系だからな。


「俺も同感だ」

「・・・・・・・・・・日頃からやっていればよかった」


緋色。結露緋色。こいつは理系だから数学には困らないよな。問題は現文だが。


「その・・・私も」

「そっか。お前も文系だったな」


高松小鳥。こいつも文系だ。数学は苦手な人にとってはほんとに嫌なんだよな。


「数学難しいですかね・・・」

「お前は理系だからわからないだろうよ」

「そんなもんですか」

「そうだよー・・・。はぁ・・・どうしよう」

「しょうがない。俺が助けてやる」

「おろ?七実くんも数学苦手じゃなかったけ?」

「だから、数夏。土下座するから教えてくれ」

「あなたにはプライドというものがないんですか・・・」

「プライド?あんなの初期装備だろ?」

「初期装備!?」

「マジで防御力弱いから最初の方で鉄の鎧と防具変えたからなぁ」

「そんな理由でプライド捨てたんですか・・・」

「ほんと和紙で切れるぐらいに弱い」

「相当ですね」

「だから俺にはもうプライドなんかない」

「なんか男らしい言い方ですね」

「男らしいんだ。人を守れるんならプライドなんて捨ててしまうということだ」

「美化しないでください!」


そんなこんなでいつものやりとり。その後すぐに勉強に戻る。


「この数学はあれだな。親が子供に自分はどうやって生まれたの?って聞かれた時の答えぐらい難しいな」

「いえてるよー。ほんと途中式も分かんないよ・・・」

「うん・・・どうしようか?」

「何言ってるんですか?みなさん」

「?どうした?」

「いや、子供ってキャベツ畑で拾うか、コウノトリが運んでくるんじゃないんですか?」

『・・・・・・・・・』


だんまりだった。あれ?これやっちまったかな。まさか高校生にもなって知らないやつがいるとは思わなかったんだ。というかお前えっちぃこととかって言ってなかったか?いや、確かに下着見るだけでもえっちぃことって言えるが・・・。


「お前・・・純粋なんだな」

「え!?ちょっとまさか違うんですか!」

「いや、いいんだよ。俺はキャベツ出身だ」

「いやいやいや!そんな言い方はしないと思うんですが!」


これはまずい。早急に話をそらさなければ。ただでさえ最近変態的な内容が多いんだ。どこかに綺麗な話をいれとかないと読者さんもげんなりしてしまう!


「そんな言い方するよ。山梨お前コウノトリっぽくね?」

「あぁ・・・うん。そうだよー。私コウノトリ方言がちょっとあるからね」

「コウノトリ方言!?」

「・・・・・・・・・・・私もよくわからない」

「緋色も!?・・・・・・お前はキャベツ出身だと思う。キャベツ色が強いもの」

「キャベツ色ってなんですか!あきらか誤魔化してるでしょう!」


気付かれる前に・・・先手を!


「そんなことよりお前、知ってたか?明日晴れるんだぜ」

「雑!明らか話をそらそうとしているでしょう!」

「知らない方がいいこともあるんだ」

「でも知りたいんですが・・・」

「いや、あれだ。男と女が手をつないでもできるんだぞ」

「それは嘘です!」

「あー・・・勉強だ!勉強」

「気になって勉強できません!」


くっ!どうする。まずい。これは俺が諦めて言ってしまうパターンだ!それだけは避けたい。こいつは純粋少女相手になにやってんだ?頭おかしいの?ってレビューや感想で書かれてしまう!


「ヒントをあげる・・・」


高松がビックリ発言!お前!危ない!やめろ、今回は高松のキャラがおかしかった。何、あいつ病んでんの?って書かれるぞ!


「その・・・結婚すればわかるよ」


うまい!のか?でもこれは上手くかわせるんじゃないだろうか!こんな質問、灼眼のシャ〇以外で出てくるとは思ってなかったからな。それにしてはいい判断だ。


「?男と女がいればいいということですか?」

『・・・・・・・・・・』


どうしよう。これは参る。


「七実さんと私でもできるんですか?」

「げふっ!」

「七実くぅうううううううううううううううううううんんん!」


俺は吐血した。ふぅ・・・なかなかいいパンチじゃねぇか・・・。俺のボディーにいれるとはな。さぁ、お前は先に行け。敗者には立っている資格はない。さぁ!行くんだ!


「いや、七実くん・・・逃げないで」


高松の一言によって俺は目を覚ました。はっ!危なかった。


「え?私じゃだめなんですか?」

「げふっ!」

「七実くぅうううううううううううううううううんんん!」


またもや吐血というか精神的にはもう死んでいた。クラスメイトからこの質問。誰かまともに立てるやつがいるんだろうか?


「私じゃ不満なんですか?」

「やめろ!もうやめてくれぇええええええええええええええええ!!」

「数夏ちゃん!これ以上はやめてあげて!精神的に死んじゃうから!いや、もうあやしいけど!」

「・・・・・・・・・・じゃあ、私とならは?」

「お前ぇえええええ!許さん!許さんぞぉおおおおおおお!」

「七実くん落ちつけ!取り乱すことはないんだよー。相手は意味を知らないから」

「でも俺は健全な高校生なんだよぉおおおおおおおおおおおおおお!!」


もうおかしかった。あれ?テスト勉強は?


「いや、まさかそんなに壊れるとは・・・」

「数夏ちゃん。もう男の人にそんなこと言ってはダメだよ」

「なぜでしょう?」

「あれだよ。あのー・・・元気になっちゃうから」

「山梨、お前はしゃべるな」


危険因子は味方にもいたらしい。今回の話は今までの中で一番ひどいんじゃなかろうか。少なくともあじさい荘でする話じゃない。できれば男同士で語り合いたい内容のはず!


「不満じゃないなら私とでもいいんですよね?」

「あ、あぁー!もちろんだとも!」


俺は大人な対処をする。今回は変態少年と痴女しか出てこないのかって書かれそうだがもう知らん。俺はこれでも一生懸命なんだ。


「私、将来は子供3人ぐらいほしいですね」

「なぜ俺に話す」

「だって七実さんの子供がほしいですもん」


おおおおおおおおおおおおおお落ちつけ!落ちつくんだ!相手は意味を知らないんだぞ。動揺する方がおかしい。おおおおおおおおおおおおおおおおお落ちつけ!


「でもな、それだったら俺と数夏が結婚しなきゃいけないんだぞ」

「え・・・?」


なぜ顔を赤くする。


「そ、それだったら・・・その・・・」

「そんなことも考えてなかったのか。どうして俺の子供をほしいと思ったんだ?」

「理系と文系が合わさった最強の子供ができるな・・・と思いまして」


やはり理由は純粋だった。純粋か?


「な、七実くん!」

「どうした?高松」

「私もこ、子供がほしいです・・・」

「でもお前も俺と同じ文系だから最強の子供は生まれないぞ」

「あぅ・・・」


なぜか縮こまる高松。そして俺を親の仇みたいな目でみる山梨。なんか悪いことしたかな?なんか「そういう意味じゃないのに・・・」「私は分かってるよ。ことりん」みたいな会話が。俺にも説明してくれ。


「もうこの話はいいじゃないか」

「よくないです!知りたいんですけど!」

「いや、でもさ。ほらテスト勉強も」

「じゃあ、そういう勉強をしましょう」

「ぷしゅー。エネルギーガタリマセン。エネルギーガタリマセン」

「七実くん!?数夏ちゃんひどいよ!」

「私ですか!?」

「男子高校生には酷な言葉なんだよー」

「私はただそういうことを教えてほしくって・・・」

「ピピピピピ!テキハッケン。センメツシマス」

「ちょ!七実くん!三角定規は危ない!」

「何を動揺しているのですか?」

「数夏ちゃん!もうダメ!七実くんの理性がなくなりかけてる!」


そんなこんなで5分後。無事戻る俺。ふぅ・・・。


「よし、勉強するか」

「誤魔化さないでください」

「いや、だってテスト近いしさ」

「私が将来子供つくるとき真実を知らなかったら恥をかいてしまいますよ」

「あぁーもう!じゃあ、俺が最初の相手になるからそんとき教えてやる!」

「七実くんはもうしゃべらないで」


俺も危険因子だった。もうあれだよ。自分でも何言っているのか分からないや。


「お、何騒いでるの?」


その瞬間香織さんが帰ってきた。しめた!みんな笑顔になる!


「香織さん!緋色と数夏が勉強で知りたいことがあるらしいです!」

「お願いしますー」

「私たちじゃ答えられなくて」

「お、なになに?いいわよ。教えてあげる」

「あの・・・子供ってどうやって生まれるんですか?」

「・・・・・・・・知りたい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


無言だった。というか化石化?そんな中俺らの方をにらんでくる香織さん。いや、ごめんなさい!ほんと俺らには手に負えないっす!


「あのねー・・・・・」

「香織さんは子供つくろうとしたことあるんですか?」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・ないの?」

「う、うるさいわね!相手がいないのよ!相手が!」

「香織さん!ちょっとは規制してください!」


欲望が混ざってます!


「がはっ・・・く・・・。その質問をされると私の中の悪魔が・・・」


いつから中2病設定になったんだ、あんたは。


「ごめんなさい・・・答えられそうにないわ」

「そう・・・ですか。悪魔ならしょうがないですね」

「あれ!?信じた!?」

「ふぅ・・・暴れるな!・・・・・くぅ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」


俺ら3人は部屋に逃げた。明日朝どうしようかは後で考えよう。朝になったらもう興味はなくなってると思うが。まぁいいや。今日は数夏にその話題はふらせない。そう思った。


「七実さーん!」

「!!?」


もうこれは主人公のみ許されるここで終わると次回には続かないという技を使う!次回には続かないから安心してくれ!次はみなさんが驚くようなピュアな話をお届けするぜ!


「七実さん。大きくなったら私と子供つくりたいですか?」

「お前はぁああああああああああああああああああああああああ!!!」


ピュア・・・ねぇ・・・。

次回こそ綺麗な話を!


でわ

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