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第23片 理系少女と文系少年の時間

皆さん。最近は男子も家事の裁縫、料理、掃除ができないといけないという。それは正しいのだろうか。いや、できないよりできた方がいいとは思うけれど。それにより台所を汚されたり、作業が進まなかったりしたら逆にイライラしないかい?うっとおしい!もう貸せ!みたいな感じにならないかい?


「というわけで家庭科の宿題だが」

「なんでしょう?」

「俺には無理だぁあああああああああああああああああああああああああ!」


俺、七実未空ななみみそら。これが神の与えた試練だというのなら俺は全力で神に逆らう。


「なにかっこいいふうに言っているんですか。ただ不器用なだけでしょう」

「もうやめろ。俺をこれ以上追い込むな」


家庭科の宿題。裁縫がでたんすよ。内容はエプロン作り。えぇ、まぁ、これが苦手でね。今は被服室。家庭科を受けるための教室に居る。いるのは俺と岸島のみ。


「情けないですね。裁縫もできないんですか」

「お前。その指を見せてみろ。なんだその大量の絆創膏。誰かに手料理でもふるまったのか?ベタな展開なのか?」

「う、うるさいです!私も苦手なんですよ!」

「でもこれできなかったら成績やべぇよなぁ・・・」

「私は七実さんと違い順調なので問題はないです」

「・・・・・」

「黙るぐらいならツッコんでください」

「ツッコんで欲しかったのか。新手のツンデレだな」


そう。これはまずいのだ。締め切りも近付いてるし・・・。こうして昼休みにもやらなきゃ間に合わない。


「ふむ。時に岸島よ。お前のそのエプロンについてるワッペンというかマークはなんだ?」

「・・・・・・・・・」

「え!?まさかの無視!?」

「私は岸島じゃないです」

「まさかの告白!・・・・・ってそういうことじゃないんだな」


何をかくそう俺はあの7月7日からこいつのことを名前で呼んでいる。数夏。これが予想以上に恥ずかしい。それなのにこいつは今までどうり七実さんって呼ぶし。あの後は大変だった。高松が「私も名前で呼んでください!」って何度も言ってくるという事件が起こった。最近流行ってんのか?名前呼び。しかも本人もなんで名前呼ばれたいのか分からないみたいだし・・・。


「あー、その、なんだ。す、数夏のエプロンについてるマークはなんだ?」

「あ!これはですね・・・」


めんどくせー!分からない!名字で呼ぶ時と名前で呼ぶ時のテンションが違う理由がわからない!


「これはアルパカです」

「斬新!」


数ある動物の中からまさかの選択だった。なぜにアルパカ。


「だってなんか可愛いじゃないですか」

「いや、そうだけども。猫とかも可愛いだろう」

「あれは萌えの可愛さです」

「お前は猫をどんな目で見てるの!?」


普通の可愛いとどう違うのか分からなかった。猫萌えってなんだ・・・。


「アルパカは癒されるんですよ」

「癒しね・・・。じゃあ、俺も癒されたいので誕生日にあげた猫なりきりセットを着てください」

「敬語でお願いされました!?というかまだ諦めてなかったんですね・・・」

「写真撮ってエプロンにはるから」

「余計に着るわけにはいかなくなりました」

「写真撮ってアイドルグループの事務所に送るから」

「それで分かりました!っていうと思ったんですか?」

「写真撮って俺が1人で楽しむから」

「それが一番嫌ですよ!」


断られてしまった。おかしいことは言ってないのに・・・。


「うーん・・・」

「どうしたんですか?」

「いや、俺、白ワンピースが好きだからよろしく」

「写真撮られる前提で話されてます!?」

「あー楽しみだなー。その時のために弟の手術代やらでためてるお金でデジカメ買おう」

「重いです!その重さには耐えられませんよ!」

「いや、弟いないんだけれどね」

「無意味な嘘!」

「妹ならいるけれど。近所の子で実妹じゃないけど」

「驚きの真実!」


妹がいるのはマジでもないな。実妹じゃなくて近所の子だったんだけど・・・。今、その子は中3かな?中2?何してるんだろうか。


「なんか七実さんのまわりって女だらけですよね」

「なんか悪いイメージがつく。言い方には気をつけろよ」

「なんか七実さんって女、侍らせてますよね」

「なんで悪化した!?」

「いえ、ここで素直になるのも私らしくないかなと」

「そんなこと気にしてるなら俺のこと気にしてくれないかな」

「というか話が脱線してることに気づいてます?」

「気づいてるけど怖くてふれられなかった」


臆病。というか脱線させなければいい話なのだけれど・・・。


「で、家庭科進んでないみたいですけど」

「もうね。さっき針がチクッてしたときに心もパキッて折れた」

「弱すぎません!?」

「あーめんどくせー。針山に針刺すのめんどくせー」

「それめんどくさがったら何もできないですね」

「岸島・・・じゃなくて数夏はできたのか?」

「いいえ。でも七実さんより進んでます」

「・・・・・・・・おっし!分かった。早くできた方がなんでもいうことを聞く!という条件で」

「お、いいですね!負けませんよ!」

「という条件でやった夢を見た」

「夢の話でした!」

「俺の惨敗。いうこと聞かされてお前に下着をはかせたよ」

「なんかおかしくないですか!?」

「というわけでその条件な」

「その条件?」

「俺が勝ったら下着をはかさせろ。俺が負けたら下着をはかせてやる」

「言い方が違うだけで何も変わってませんよ!」


おっと。こんな感じだから変態の2文字が浸透していくのか。


「ごめん。俺は神士だった。ごきげんよう、マドモアゼル」

「そんなキャラでもないですけどね。マドモアゼルじゃないですし。・・・とそういえば七実さんに手紙を預かってたんでした」

「誰からだ?」

「お父さんからです」

「嫌な予感!」

「ちなみにお父さんはもうアメリカに帰りましたよ」

「その情報は手紙と関係なくね?」


といいつつも手紙を開けてみる。





文系少年よ。おぼえているかな。岸島父だ。

先日は世話になったな。いや、あのときは私、どうかしてた。

数夏のことは本気で愛していた。なのに自分の事ばかりでまわりが見えてなかった。


今はもう名前なんてどうでもいい。もう関係ない。

娘の幸せを一番に考えて行動することにするよ。


そして君にもお礼が言いたかった、ありがとう。

君が止めてくれなかったら私は最悪なことをしていただろう。

感謝してもしたりない。それと数夏をよろしく。


娘はお前にやらんからな!そこは勘違いするなよ!

まさかもう名前で呼んでるんじゃないだろうな。

もしそうなら許さんからな!


バーカバーカ!う〇こ、う〇こ!





・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「小学生か!」


俺ができる最高のツッコミだった。というか名前で呼ばせたのあなたじゃありませんでしたっけ?なんで人のせいにしてんだ、このおっさん。


「私は内容を見てませんがどんな内容でしたか?」

「七実様に服従するとよ」

「嘘でしょう。というか嘘と信じたいです」

「嘘だ。安心しろ」


でも最後のほうになったら文章力皆無だな、おい。


「まぁいいですけど・・・。七実さんはなにかワッペン的なものをつけないんですか?マークみたいな」

「アルパカは遠慮するが・・・。そうだなぁ・・・一番はお前の写真だ」

「それ以外でお願いします」

「星がいいかな?」

「ロマンチックな雰囲気になりましたね」

「川の星とかな」

「天の川とか綺麗そうですもんね!いい感じじゃないですか!」

「いや、荒川アンダー〇ブリッジ」

「その星!?」


また伏字だった。最近増えたなー・・・。どれもこれも山梨のせいだと思うんだが。俺のせいでもあるな。


「もうお昼休み終わっちゃいますよ!」

「あ、マジだな」

「ここは私の計算で・・・」

「お、久々登場!」

「うん、間に合いませんね」

「期限の計算!?んなことしてないではやく終わらせるように布の長さの計算とかしろよ!」

「いえ、ですが期限もやばいですよ。私が計算で間に合わないって言ったら間に合いません」

「どこの言霊だ」

「私は涼〇ハルヒ的存在ですからね・・・。世界の中心です。閉鎖空間どこにでも作っちゃいます」

「迷惑!そしてその解釈の仕方はどうかと思うぞ!」


でもこいつの計算がほとんどあたっているのも事実。間に合わないって言われたら間に合わないような気がしてくる。


「いっつ・・・」

「どうしました?」

「針刺さった・・・。もうダメ。帰りたい」

「急にホームシック!?もう、今絆創膏あげますから」

「いや、その前にお前がこう、指を舐めるとかさ」

「そんなのできるわけないじゃないですか!」

「でもヒロインなら無自覚でやっちゃうだろ?」

「変態が身にしみていってますよ!そしてあなたがそれを言ったせいで無自覚でできなくなっちゃいましたし!」

「分かった。じゃあ、言わなかったことにする」

「分かってないです!あなたの問題じゃなく私の問題です!」

「なんだ、残念だな・・・。痛い。このままじゃ指がなくなってしまう・・・」

「重傷ですね!そんなんで同情を誘えると思わないでください!」



一瞬だった。俺は気付かなかった。違和感にさえ。そう違和感。


「が・・・はっ・・・」


腹に穴があいていた。それに気づくまで30秒近くかかったほうに驚く。やつは笑みを浮かべて勝ちを確信している。


「くそ・・・この傷じゃ立てない・・・。誰か治してくれないだろうか・・・」




「いやいやいや!」


俺の妄想を否定する。失礼だな。


「その傷はどうやっても治らないと思いますよ」

「えー?そうか?腹に穴が開く程度だぞ」

「普段どんな怪我をしてるんですか!」

「それぐらい辛いってことの比喩だ」

「絶対お腹に穴のほうが辛いと思いますが・・・」

「というかもう時間じゃないか?」


その瞬間チャイムがなる。昼休み終了の合図だ。


「お、もう戻るぞ」

「あ、はい。その絆創膏・・・」

「さんきゅ・・・・・・・・・・・」


その瞬間だった。えぇ、まさかのマジで指をくわえられました。おぉおおおおおおおおおマジかよ!なんだこの展開。


「ん・・・」


そして何かエロい!なに!ん・・・ってなんですか!そんな声だけで興奮するのが高校生なんですけど!


「お、おい・・・岸島?」


軽くちゅぱっといって俺の指からはなれる岸島。顔は真っ赤だが俺も真っ赤だということを知ってほしい。


「き、岸島じゃないです・・・」

「あ、あぁ・・・数夏?」


心臓のバクバクが止まらない俺。これはなんだろうか。いや、女子からそんなことやられたらこんな感じにならない男子はいないんじゃなかろうか。というか嫌がってたのにどうして!?まさか!もうこれ嫌われたかな・・・。変なこといいすぎたかも・・・。


「その・・・はやく治るようにのおまじないです・・・」

「さんきゅ・・・」


何この感じ!なんか変な空気になっちまった!こんな展開神のみぞ知る〇カイでしか見たことねぇよ!俺もなにお礼言ってんの!誰か!誰かぁあああああああああああああああ!


「教室に戻りましょうか・・・」

「そ、そうだな」


今回はこんな感じで終わりなのか?いやいや。物語にはオチが必要だ。あぁ、こんな青春みたいなオチではなく、普通のやつが。


「・・・・・」


頭真っ白。なのでしょうがない。俺は先ほどのシーンを写メで撮ったことを白状しよう。これでオチがついたろ?変態?そんな言葉痛くもかゆくもないね。


「なに写メとってるんですか!」

「そういや、お前地の文読めるんでしたね!」


こんな感じで始まるゆるーい時間。やはりこいつがいるのといないのとでは大きく違うことが分かった。

はい、次回もこんな感じでやりますので。はい。


今回はなんか急に発展したなーと感じるかもしれないですが、まだ2人とも何にも気づいてない状態です。


このあともちょくちょく何かしらのイベントを挟もうかなと。


ただ話してるだけじゃあきますしね・・・。


でわ

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