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第19片 理系少女と文系少年の7月7日 残り3日

「戦いに勝つには相手の場所をよく知ることが大切だー!」

「おー」

「というわけで数夏ちゃんの家まで行ってみよー」

「わー」

「いやいやいや!お前危険だろ!」

「何をおっしゃる。敵を倒すにはまず味方からって・・・」

「それじゃあお前以外全滅だよ!」

「あれれ?」


敵を騙すにはまず味方から的な意味合いを使う場所じゃない。というわけで7月4日。なんでいきなり一日飛んだかって?全員部屋にこもりっぱなしだったからだよ!作戦練ってたら誰もリビングに行かなかった。

香織さん困ってたなー・・・。事情説明してないし。


「というわけでこの山梨戸張についてきたまえ!」

「おー!」

「なんでいつものテンションなんだ」


これこそ緊張感がないって言われるな。でもこんな感じだからこそ・・・かもな。








「緋色軍曹。ここらへんでしょうか?」

「・・・・・・・・・・・・・こっち」

「ちょっと緊張するね」

「ちょっとどころじゃないけどな」


というわけであじさい荘から少し離れた住宅街。まわり周辺はみんな同じ高さの家が建っている。放課後でもう5時近いがまだ明るかった。


「むむ、ここですかな?」

「・・・・・・・・・・・・そう、ここ」

「ふつー・・・だね」

「あぁ、普通だ」


そこにあったのは普通の一軒家。2階建ての普通の家だ。


「・・・・・・・・・ここ」

「岸島って書いてあるしここだね。よし!七実・マルコ・未空!」

「誰だそれは」

「偵察にいけい!」

「無理だよ!バレるわ!」

「役立たずなマルコだな!マル〇ォイの方がもっと役に立てるぞ!」

「同じマルで比べんなや!むこうは魔法使いだぞ!」

「あの・・・少し・・・騒ぎすぎ」

「あ・・・・・」


そして家の様子を見る。よかったバレていないようだ。しかしもうこれで目的を果たしたんだろ?


「帰るぞ」

「うん、そうだねー」

「・・・・・・・なんか残念」

「でも・・・普通でよかった」


それぞれの感想を勝手に述べながら帰宅しようとする。まぁ、帰るのはあじさい荘だけど。


「確かに普通だったな。お、ここにも岸島って名字があるんじゃん。すごい豪邸というか庭だけでかなりの面積だな。家が門から見えねぇや」

「ここを見習ってほしいね!」

「・・・・・・・・・・・まったく」

「すごいところだねー。こっちの岸島さんはお金持ちなんだ・・・」


そういいながら笑いあう。さぁておかしい家じゃなかったし普通に大丈夫そうだな・・・・・・・・・。


『ってぇええええええええええええええええええええええええええええええ!!!』


反応が遅かった。岸島という名字が偶然こんな近くにあるはずがない。ここは・・・・・


「あの岸島父の滞在してる家・・・・・」


豪邸だろうと思われる。なぜこんなあいまいかというと家が見えないのだ。庭が大きすぎて家まで届かない。少なくとも俺の視力じゃ無理だ。


「うお!ほんとだ!表札に名前書いてある!」

「あ?どこだ?」

「・・・・・・・・・・・未空なんか急にピリピリ」

「うん・・・」


表札には岸島正元きしじましょうげんともう一つ岸島数夏の文字が。


「さぁてと」


俺はポケットからマジックをとりだし、岸島数夏の文字ではなく、岸島正元の文字を塗りつぶす。キュッキュッという音が聞こえる。まぁ、マジックの音だけど。


「これでよし」


完璧に名前を塗りつぶしたところでやめた。


「必ずとりもどす。そしてお前は泣かす!クソ親父!」


俺はかっこよくキメて帰ろうとする。しかしそこに緋色が重大な一言をぶつける。


「・・・・・・・・・・・・・・・でもそれ犯罪」

「え?」

「表札に落書きはいけませんな」

「うん・・・消さないと」

「・・・・・・・・・・・・はい」


俺はこのあとスポンジを持ってきてもらいマジックを消すことにした。まぁ、犯罪とまで言われちゃぁね。でもさりげなく傷つけておいた。スポンジの緑の部分はこういうことにも使えるんだぜ。






バシンッ


いきなり鳴り響く音。それはお父さんが私をぶつ音でした。私は痛いながらも泣くのを我慢してお父さんの言葉を待ちます。


「・・・・・・ぶつのは1回で終わりだ。しかし計算をはずすのはよくない」

「はい・・・」

「お前は私たちにとって重要な人物。簡単な計算を外しちゃあいけないよ」

「ごめんなさいです・・・」

「もういいよ。晩御飯にしよう」


そうして食卓に行きます。とても広い家。でもそこには人はいません。黒スーツの人たちも部屋にこもってますし、今ここにいるのは私とお父さんの2人。岸島家。いえ、第2の岸島家とでもいいましょうか。


「今日は数夏に話がある」

「なんですか・・・?」

「私たちはまた家族に戻ろうと思う」

「え?」

「お前だって憧れていなかったか?みんなで食卓をかこむのに。お母さんと私、そしてお前の3人で話し合いながら楽しく食事することに」


正直言うと憧れていました。お父さんは私が物心ついたときにはいませんでしたし、お母さんと食事することはあってもアメリカにいるお父さんと食事することはなかったんですから。


「みんなで休日を過ごして、生活する」


それにも憧れていました。お母さんは今、部屋の掃除をしていてここにいませんが大きい家で休日を過ごす。みんなで遊んで過ごす。


「それは・・・アメリカに行かなきゃできないことなんですか・・・?」

「あぁ、残念ながら商売にもお前が必要というのも本当なんだ。でもそれはお前やお母さんを養うために必要なことなんだよ」

「そうですか・・・」


アメリカに行く。その実感はあまりありませんでした。しかし今は揺らいでいます。ここに残るか。それともみんなでアメリカに行くか。お父さんは厳しい人ですが悪い人ではないような気もします。


「まぁ、まだ時間はあるんだ。ゆっくり考えるがいいさ」

「はい・・・」


私はどうしたらいいんでしょう。








「・・・・・・・・・・調べることに成功した」

「ないっすー!ひいろーんよくやったよー!」

「それで・・・その・・・」

「岸島正元ってのは何をやってるやつなんだ?」


岸島正元。岸島の父親。名前がわかったということで調べていたのだ。


「専門は脳・・・みたいだね」

「脳?」

「・・・・・・・・能?」

「それは違う。いらんボケをはさむな」


俺はギャグに冷たい男。しかし男には冷たくあたることも必要だということだよ。というか俺の冷たさ以上に今のギャグは寒い。冷たい。


「脳っていうと・・・記憶力とかそういう系統か?」

「それよりも数学よりのものらしいね・・・その計算をしている間の脳を見たりとか」

「なるほどな。それで岸島を必要としたのか」

「むー!難しいよー!分かんないよー」

「山梨。黙ってるんだ。そうしたらこんどアメちゃんをあげよう」

「やったー!っていくらなんでもアメじゃ喜ばないよ!」

「チョコレート」

「・・・・・・・・・・・・・」


黙った。アメはダメでもチョコはいいらしい。


「高松続けてくれ」

「うん・・・。その・・・計算してるときの反応も見たりするようだけど・・・他にもあるみたい」

「数学よりのなら他になんもないだろ」

「・・・・・・・・・・・・・・・数学よりというのは表向きの表現。要するに脳をいじる科学者」

狂科学者マッドサイエンティスト。狂気の科学者って感じらしいよ」

「狂気の・・・・・科学者・・・?」

「でも変なことはしてないみたい。法に触れない程度に何かしらやってたみたいだよ。もうやめてるみたいだけど」


俺の背中に嫌な感じの汗がふきでる。俺は死神にとりつかれたと錯覚するほどの恐怖に襲われていた。しかしやはり現実。実際の狂気はこんなもんなんだよな。漫画とかじゃやばいのもたくさんあるのに。


「意外と人間らしいんだな。じゃあなんで岸島は連れて行かれるんだ?脳の研究もしてないのに岸島を連れていく理由がわからない」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・きっと計算能力の高い人間が必要なんじゃない。数夏自信が必要になる違う理由があるから」

「そう。もっと違う理由・・・それは・・・・・」

「それは?」


ゴクリ。俺は生唾を飲み込んだ。という表現が正しいような行動をおこした。俺は鳥肌が立った。それは止まることなく俺の全身を包みこみ・・・。








「結婚・・・らしいよ」







『は?』


全員が唖然とした。







「結婚ですか!?」

「あぁ、いやなに。そういう話があるというだけだ。まだ返事をしたわけじゃない」


私はお父さんから驚きの告白を受けていました。結婚。それはまだ高校生の私には考えられないことです。そして自分で言うのもなんですが相手の方はロリコンなのでしょうか?いえ!私は大人の女性ですよ!


「でも私はまだ16歳です」

「もう結婚できる年齢だろう?でも19歳まで待つらしい。そして大学にももちろん通ってもいい。でも結婚してても大学には通えるだろう」

「でも・・・」

「なに、相手はとても爽やかな青少年だ。無論問題ない。それとも他に好きな人でもいるのか?」

「すっ!すすすすす!好きな人!?そ、そんなのいないですよ!」

「じゃあ、いいじゃないか」

「いえ、簡単には決めれません・・・」

「そうかだがそっちも時間がある。ゆっくり考えればいいさ」


えぇ、これは困ったことになりました。あと約2年後ですか・・・。でも先ほどどうして七実さんの顔が?急に七実さんを思い出しました。なぜでしょうか。






「最悪だよ。こいつー」


めずらしく山梨が怒っていた。こいついつもは温厚なんだけどな。


「要するに自分の地位を上げたいがために娘を結婚させようとしてるわけでしょー?」

「・・・・・・・・・・・・・そういうこと。でもお金持ちの世界じゃよくあることかも」

「でも・・・でもさ。そんなのってないじゃん・・・。自分が納得いかない結婚なんて」

「19歳まで待つっていってるらしいけど・・・。でも返事はOKだろうって岸島父が発言したみたい」

「ところで小鳥ちゃーん。そんなのどこを調べたらのってるの?」

「簡単に週刊誌とかにのっているよ。信憑性はないけど手掛かりぐらいにはなると思う・・・」

「ところで小鳥ちゃーん。七実くんがだんまりなんだけど」

「それは・・・・・」


結婚?岸島が?なんで?どういうことだ?だってあいつ自分1人じゃなにもできないんだぜ。勝手に自分で負担を背負い込んだりしてるし、料理だって作れねぇ。それにさ、結構話すのにもコツがいるんだぜ。あいつバカ話ばっかりするからなぁ。そのたびに俺がツッコんでやらなきゃ。そうするたびに岸島は笑顔になってさ。笑ってくれるんだ。それはまぶしくて可愛くて俺にはもったいないと思うぐらいだ。


なのに・・・なのによ・・・。


結婚?わけわかんねぇ。俺らは今まで通り学校いってバカ騒ぎしてただけだろうが!なんでだか知らないが急に岸島が遠くに行ったような気分になるんだ?どうしたって止まらない不安。


「岸島・・・・・」


お前はこの結婚に賛成なのか?親の地位のための結婚に。分からない。でも岸島が決めたことならそれを最優先にしなくてはいけない。俺が口をだしていいものじゃない。もし結婚するなら結婚式でスピーチだってしてやるよ。でもさ・・・・・・


「素直に祝えそうにないわ・・・」


俺はなぜか嫌がっているんだ。なぜだかわからない。でも胸のもやもやは広がる一方。


そんな中。いよいよ作戦決行日がやってくる。



というわけでもう誕生日編クライマックス!?


というよりこれが基本短編をつなぎあわせたようなものなので短くなってしまったのかもです。


でわ

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