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第13片 氷結少女と文系少年の笑い

どうも、こんにちわ。現在は放課後。そしてあじさい荘である。6月2日。もう桜も散り、夏へと移行しようとしている時期。そんな中俺はリビングでテレビを見ていた。かなり広いリビングは食堂もついている。


「なぁ」


そんな中俺はある少女、氷結少女と呼ばれている結露緋色けつろひいろに話しかけていた。今、彼女もテレビを見ている。


「・・・・・・・・・なに?」

「お前って笑わないの?」


今やっている番組はお笑い番組みたいなバラエティだ。なかなか面白い。だがこいつは笑わない。笑いのツボが違うかと思ったがこいつの笑っているところを見たことがなかった。


「・・・・・・・・・・・・笑ってる」

「どこが?」

「・・・・・・・・・口元」


分からない!悪いけど分からないよ!銀髪につつまれた可愛らしい顔には変化がないように見えた。・・・

・・・・・・。笑わせてみるか。男たるもの大きな試練にぶつかってこそ燃える!そうさ!こいつを大爆笑させてやる!


「おい、緋色。見てろよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・うん」

「ブリッジ!」


体をそらせて橋をつくる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「どうだ!」

「・・・・・・・・・・・・・・面白い」

「嘘だっ!」

「・・・・・・・・・・もうやめていいよ」

「変な気づかいはやめろ!」

「・・・・・・・・・・・辛そうだし」

「うるせぇよ!」

「・・・・・・・・・・・凍れ」


パキィイイイイイイイイン


どこかでそんな音がきこえた。それは緋色の持っているハンドベルからきこえるものだった。あぁー脳がすっきりするー。


ゴン


「いてぇ!」

「・・・・・・・・・・大丈夫?」

「ここでそれやっちゃったら気抜いて頭うちつけるだろうが!」

「・・・・・・・・・だってなかなかやめないから」


うっとしいやつに罰を与えたみたいな感じだった。俺が悪いのか?


「くっ・・・ここまできたら逆に諦め切れねぇ!」

「・・・・・・・・・・・頑張れ」

「他人事!!」

「何してるんですか?」


そこにいたのは岸島数夏きしじますうか。理系しかできない見た目がロリーな高校2年生だ。


「その説明は失礼じゃないですか!」

「相変わらず人の語り部にずかずか入ってくるよな!」

「まぁ、それはいいです。で、何してたんですか?」

「あぁ・・・」


俺は説明することにした。


「実はかくかくしかじかで・・・」

「かくかくしかじか?ちゃんと説明してくださいよ!」

「これ通用しないの!?」


俺も何やっているのか分からなかった。


「何してると思う?」

「うーん・・・七実さんが狂ったとしか思えません」

「そこ以外にも思うことがあるだろうが!」


でも第3者から見るとテレビを真顔で見続ける緋色。の横で頭をかかえながら悶えてる人。としか映らないだろうな・・・。


「いやなに、こいつを笑わそうと思ってな」

「はぁ・・・なんで今?」

「いや、こいつと小さいころからいるけどさ。笑ったところを見たことがないんだ」

「そういえばずっと真顔ですね・・・」

「だろ」

「それでブリッジをしていたと」

「うん」

「そこにベルをならされて気が抜け頭を打ちつけたと」

「うん」

「何やってるんですか・・・」

「あれ?」


よくよく考えてみれば本当にこれで笑わそうとしていたのだろうか。


「ブリッジって笑うところないですよね」

「うん・・・」

「まったく、これだから困るんですよね、素人は」

「お前は何の玄人くろうとなんだ?」

「まぁ、私に任せてください」

「おぉ、自信ありげ!」

「ふっ・・・大阪に現れた笑いの申し子こと数夏が笑わせてみせます」

「その恥ずかしい名前はいいとして期待できそうだ!」


そういって緋色に近づく岸島。


「緋色さん。私を見てください」

「・・・・・・・・・・・・数夏、なんで?」

「いいですから」

「・・・・・・・・・・・・・うん」

「いきますよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「あのですね・・・なんでちょっと前かがみになっているんですか?」

「・・・・・・・・・・・・・数夏の用事が終わった後飛びこもうと思ってる」

「七実さーん!私このままじゃ何もできないですよー」

「いや、うん。お前逃げた方がいいな」

「でもなんか獲物を狙うチーターみたいな目してるんですけど」

「うん、俺もそう思う」

「チーターに人間は勝てるんですか?」

「いや、無理だと思う」

「そう・・・ですよね・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・で、なに?」

「いや、そのですね・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・何もないなら私の用事をすませる」

「ちょ!その用事はだめです!絶対に!」

「岸島。俺がまた時間をかせぐよ」

「あぁ!今日ばかりは七実さんが人間に見えます!」

「俺は普段なんなんだよ!」


そういいつつも俺が2人の間に割って入る。


「緋色」

「・・・・・・・・・・・・・・・何?」

(今のうちだ)

(はい!)


緋色の注意が俺の方にむいた瞬間岸島を逃がす。よし!緋色はまだ気づいてないな・・・。


「俺がお前を笑わす」

「・・・・・・・・・・・・・・やってみて」

「いくぞ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

「・・・・・・・・・・・」


具体的なプランはなかったんだけどな。どうしよう・・・無茶ぶりをうけたお笑い芸人の気持ちはこんな感じなのか・・・。最悪だな、これ。そして緋色の澄んだ目。怖い!怖いよ!


「ピザって10回いってみろ」

「・・・・・・・・ピザピザピザピザ・・・・・・・・」

「じゃあここは!?」

ひじ

「ぶっぶー、ここは細胞でしたー」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・すまん」


最悪だった。うん、子供か俺は。これあーげぬ!と同じぐらいの幼稚さを感じたぞ。


「・・・・・・・・・・・私を笑わすには卍解レベルの実力が必要」

「とんだ隊長格だな、おい!」


無理だった。これじゃプロでも笑わすことができないな。


「面白いこと・・・か」

「・・・・・・・・・・・でも私、ちゃんと笑ったことがある」

「は?いつだよ。そいつ連れてきてそいつに逆立ちしながら全裸で町を徘徊はいかいさせてやるよ」

「・・・・・・・・・・・未空のおかげ」

「俺!?」


・・・・・・・・・・・・逆立ちも全裸も徘徊もなしでいいですよね!そんなひどいことさせちゃダメだぞ☆・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。


「・・・・・・・・・昔、小学生ぐらいの時。未空、今みたいに私を笑わそうとしてくれた。そして私は笑った」

「ほー。そのころの俺はどんなことをしたんだ?」

「・・・・・・・・・・・いうのも嫌なぐらい寒いこと」

「なんでちょっといい話みたいに言ったんだよ!」


俺、昔からドンズベリだった。今も変わらない自分が憎い!


「・・・・・・・・・でもその一生懸命さに思わず笑った。あれはいい思い出」

「呆れられてるだけじゃないかな!?」

「・・・・・・・・・昔から何も変わってないね」

「う、うるせぇな・・・」


なぜか非常に恥ずかしかった。でも昔の俺はこいつの笑顔を見ていたのか。羨ましいやつめ。こいつ笑ったら絶対に可愛いと思うんだよな。


「・・・・・・・・私、嬉しかった。だから悪いことじゃない」

「緋色・・・」

「・・・・・・・・未空が高校1年生の最後の時。荒れてて嫌だった。でももとに戻ったね」

「それみんなから言われるんだがそんなに荒れてたか?」

「・・・・・・・・・この世を憎んだような目をしてた」

「・・・・・・・・・そう、か・・・・」

「・・・・・・・でも戻った。本当によかった。でもそれは・・・・」

「それは?」




「数夏のおかげ」




「・・・・・・・・・・岸・・・島・・・?」


いつも最初はいい澱んで・・・と付くはずなのに今回ははっきりといった。俺にむかってちゃんと。


「・・・・・・・・・・そう、数夏。数夏が来てから関わり合うようになってから明るくなった」

「気のせいじゃねぇの?」

「・・・・・・・・・・気のせいじゃない。昔から一緒にいたんだから未空の変化ぐらいわかる」

「・・・・・・」


俺もどこかで分かっていた。あいつと一緒にいると悪いものがとれているような気持ちになる。そうか。俺はあいつのおかげで・・・。


「感謝、しなきゃな」

「・・・・・・・・・うん。そうすると数夏きっと喜ぶ」

「喜ぶ?まぁ、お礼言われたらそりゃ嬉しいか」

「・・・・・・・・・ほんとうに鈍感。それは数夏にも言えることだけど。あの子まだ気持ちに気付いてない」

「ん?なんかいったか?」

「・・・・・なんでもない。でも私じゃ未空を明るくさせることはできないし、数夏を喜ばせることもできない」

「弱気だな。お前にだってできるさ。人を笑顔にするのは気持ちいいものなんだぜ」

「!!」

「ん?どうした?」

「・・・・・昔も未空そう言ってた」

「マジかよ!まったく成長してないな、俺は・・・・・」


そうやって落ちこみながら自分の部屋に戻って行った。








「・・・・・・・・・成長してる」


・・・・・・・私は緋色。未空が部屋に戻ったあと思い出していた。昔のこと。彼のこと。


私は昔から笑わなかった。そこに彼はやってきて私を笑わそうとしてくれた。準備の時間も昼休みも放課後も少し。時間の無駄だからそんなことしなくていいよ、と私はいった。でも彼は・・・


『俺の好きでやってんだ。それにな、人を笑顔にするのは気持ちいいものなんだぜ』


そのセリフで私は笑ってしまった。な、なんだよう、という彼もどこか嬉しそうだった。私たちはしばらく笑っていた。そんな彼に私はずっと感謝している。本当にいい思い出。


「・・・・・・・・・ふふ」


しらずしらずのうちに私は笑っていた。リビングには誰もいなくてよかったと思うと同時私は笑いたくてしょうがなくなった。笑うことはいいことだ。笑うことは笑わせることと同じぐらい気持ちいい。


でもさっき卍解レベルといった手前、笑うことはなんか悔しく、そしてはずかしかった。

こんにちわ?こんばんわ?とりあえずあいさつです。


今回は緋色にスポットを当ててみました。未空と緋色の昔のエピソードはまだあります。その伏線みたいな感じでやらせてもらいました。


ほかにも高松、山梨とありますね。


そしてあじさい荘の最後の住人。


これら全部やっていきますが、基本は日常のやりとりということでお願いします。


挿絵。順調にかけていますが上手くはないです。でもどんな感じなのかなーという軽いイメージにでもなれば幸いです。


でわ

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