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第98片 理系少女と文系少年の日常

「目的ってあなたを生徒会長にすることですよ、小森さん」

「だからそれが胡散臭いっていうことなんですけども、まぁ、いいです。私としても応援責任者が多いことは嬉しいですしね。正直1人の戦いになると思ってたんで」

「で、俺たちは何をすればいいんだ?」

「そうですね、とりあえず帰宅していつもどおりの日常を過ごしてください」

『は?』

「なんですかその顔は。皆さん好きでしょう、日常。ほら、もう帰ってドラマの再放送でも夕方アニメでも見てください」

「いや、ちょっと待てよ。選挙活動はどうするんだ。すでに圧倒的不利なんだぞ」

「知ってますよ。まぁ、私に任せてくだせー。まだ動く段階ではありませんので」








「で、暇してるってわけか」

「えぇ、そうなんですよ。久々に七実さんの力になれるかと思ったのに待機だなんて・・・」

「・・・・・・そうか。というかその話は俺にしてよかったのか?」

「いいんですよ、たぶん。鈴木さんは言いふらしますか、このこと?」

「いいや」

「なら大丈夫じゃないですか」

「え?あぁ、まぁ」

 学校。放課後。

 俺、鈴木大和は帰ろうと身支度を整えている時に岸島さんにあった。

 相変わらず相手を無邪気に信用する人だ。俺がもし嘘をついていて言いふらしていたらどうなっていたのか。それぐらい重要な内容だった。

「で、そんな鈴木さんは何をしていたんですか?」

「帰ろうとしてたんだよ、ちょうど」

「ふっ・・・帰る・・・ね」

「な、なんだ?」

「もう少しでテストだって分かってますか?」

「あぁ、1週間後だろ?」

「図書室で勉強とかしていかないんですか?それで私に勝てますかね」

 ふふんといった様子で笑う岸島さん。

 時々俺はなぜこの人が好きなのだろうと思うときがある。まさに今がその時だ。なにこの顔。

「あんたこそ勉強してんのか?そんな七実七実言ってたら勉強に集中できないだろ」

「?なぜ七実さんがここで出てくるんですか?特に問題ないですけど」

「なぜって・・・それは岸島さんが七実のことを好きだからに決まってんだろ」

「え・・・・・・・」

 ものすっごい沈黙が流れた。

 正直不安になるほどに岸島さんはフリーズしている。

「え、えーと・・・岸島さん?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「岸島さん?」

「な・・・・・・」

「な?」

「な、・・・・・なななななな何を言ってるんですか!!!」

 顔を赤くして叫ぶ岸島さん。

 可愛い。可愛いがこれは俺には関係のない、七実を思っての赤面。

「私はあの人のことなんかなんとも思ってません」

 ・・・・・・・?

 あれ?照れた割にはすぐにいつもの調子に戻る。

 もしかしてこの人自分の気持ちに気付いていない・・・?これはどっちが鈍感だとかなんて比べられないな・・・・・・。

 いや、待て。

 もしかして本当に七実のことを好きじゃないとしたら。

 先程の赤面はただいきなりのことに驚いただけだというのなら。

 それは俺にとって・・・。

「・・・・・・・」

 いや、ダメだな。

 俺の気持ちを伝えるのはこの人の気持ちがはっきりしてからだ。

 七実のことが好きだったとしてその気持ちに気付かないまま俺が告白するとする。もしそれでオーケーされたとしてもそれはなんか違う。

「あー、岸島さん。岸島さんは人を好きになったことはある?」

「ありますよ。数学に関わる発明をした人は尊敬しています。ただもう少しこうすればよかったんじゃないかなとか思うこともありますが」

 なんて嫌なファンなんだ・・・。

 まさかの偉人にダメ出しって・・・。

「そういうことじゃなくてだな。こう・・・恋愛というか異性として好きな人だ」

「そんな人はいたことありませんね。いつでも見てきたのは数字だけですし」

「そうなのか・・・」

 だからこの人は自分のも他人のも好意に対して鈍感なのか。

 今まで感じたこともない気持ちだから。

「岸島さん」

「なんですか?」

「きっとあんたのことが好きな人絶対いるから」

「それはないんじゃないですかね・・・。我ながらひどい数学バカですし。こんな私に目を向ける男性がいるとは思えないんですが」

 なぜ急に卑屈になる・・・。

 取り柄の一つが元気みたいなものだろうに。

「いや、いるよ。だって岸島さんすげぇ可愛いし」

「はい?」

「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 あれ?なんだろう。さっきの決意が、かっこいい決意が台無しになるようなことを言ってしまったような気がする。

 これってもう告白と同等みたいな感じ・・・いや!ほら、可愛いぐらい日常的に使うだろ、うん。

 ・・・・・・・・。

「あ、あの、岸島さん・・・?」

「な、ななななな何を言って・・・」

 なんか既視感のある反応だな。

 というか岸島さんは真っ赤なわけだが・・・俺の顔はどうなっているのだろうか。

 この人自分のことで手一杯そうだし、大丈夫かな。

「私が可愛いなんて・・・・・そんなことあまり言われないので・・・その・・・・・お世辞でも嬉しいっちゃ嬉しいのですが」

「いや、あーうん、まぁ、あれですよ。うん、よ、よかったな」

 なにこれ!なんか分からないけれどすごい恥ずかしいんだけれども!

「じゃ、じゃあ、その俺はこれで!次のテスト楽しみにしてろよ!」

「ふぇ?あ、はい、次も全力でいきたいと思います!」

 岸島さんはまだ照れていたけれど、でも、一瞬真面目な顔に戻っていた。

 負ける気はさらさらないということか。

 こういうところが俺は好きになった、と自信満々に言える。









「な、七実さん!」

「お前、今の今までどこにいたんだよ・・・。一緒に帰るとか言ってたから待ってたんだが。ってなんか顔が赤いぞ」

「こ、これはなんでもないです!あ、あのですよ・・・私のことどう思います?」

「なんだその質問!?どう思うって・・・・・・うーん・・・・・・・・・数学バカ?」

「・・・・・・・・・・で、ですよねー」

お久しぶりです。前回よりははやいような気もしますが、また期間があいてしまいました・・・。


で、いきなりですが、タイトルなんですけれど・・・あれ?と思った方もいるはずです。


えぇ、文系少年全然出てこないんですよね。


でもタイトルはこんな感じで。決してネタ切れとかじゃないですよ!たぶん。


ではだんだん残り少しになってきたこの作品を引き続きよろしくお願いします。


ではまた次回。

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