始まりの桜
男は理系と決められてるのはおかしいと思う。
確かに理系には男子が多い。うちの学校にも3年生で理系を集めて、男子しかいないクラスもある。しかし文系の何がいけないのだ?母に言われた、「数学できないの!?男なのに?理系じゃないのねー」と。友達に言われた、「お前物理とか得意そうなのにな」と。
どれも勝手な思い込みじゃないか。
俺が何にイラついているか。分からない。自分でもわからないのだがむしゃくしゃする。だからやってやったよ。2年生に上がる前。高校1年生の時、選択科目はすべて文系のやうがとるような科目にした。古典、現代文などなど。
そして高校2年生の春。初2年生登校。始業式の時だった。クラス分けを見るために校門を通り、グラウンドにいくと・・・・・
「むー、これは背が低い人には向いていない作りをしているようだね・・・。ふむふむ」
ばりばりの理系少女に出会った。
〇
朝。始業式だと言っても特に変わった事はない。いつも通りの時間に起きて1階におりる。俺、七実未空は日本人らしい黒い髪の寝癖を直し、長くも短くもない普通の髪を整え食卓に行く。
「今日クラス分けも発表されるんでしょう。楽しみね」
話かけてきたのは母ではない。寮母である。香織さん。まだ若い方だろう。ここは寮。俺の部屋は2回にあり、1階はみんなの食卓、みんなで過ごす部屋になっている。ちなみに住人は俺を入れて5人。
「あぁー、別に変わんないっすよ。クラスが離れても友達とは会おうと思えば会えますし」
「ネガティブね・・・。新しい友達をつくればいいじゃない」
「あーまー、そっすね。でもまた名前で女と間違えられる・・・・」
「いいじゃない女装したらかっこいい系の女の子になれるわよ」
「やめてください!俺の将来を汚さないで!」
と言いつつ、朝食を食べる。焼き魚の焼き加減がちょうどよく、温かくてとてもおいしい。
「今日は新しい子がくるの」
「新しい子?」
「この寮によ。2年生だったかしら。顔はかなり可愛いわよ。しかも女の子」
「学年の次の情報が顔って・・・・性別が先でしょう・・・。ていうか俺のことなんか勘違いしてません?」
「まぁいいじゃない。同じクラスになれればいいわね」
「会ったこともないのに同じクラスになりたいとは思いませんよ」
「確かにそうね・・・。クラス分け。次は理系文系も関係してるんでしょ」
「えぇ」
「友達みんな理系なの?」
「えぇ・・・・まぁ。でも同じ階ですし会おうと思えば会えますよ」
「またそんなこと・・・・」
「あ!じゃあ俺もうそろそろ行きます!」
「え!?もう時間?」
「いえ、はやめに行きたいなと思って」
「じゃあ、私は他の子を起こしてくるわね」
「はい、じゃあ」
「いってらっしゃい」
そんな感じだ。イラついている原因は友達がみんな理系だからだろうか。俺の寮には文系が多いが男はいない。女子だらけだ。その女子達とは仲はいいんだけど男友達みたいには関われない。男子同士だと遠慮がいらないからな。
「はぁー・・・もう着くよ・・・・」
ちょっと気持ちはげんなりしていた。友達が同じクラスにいないと分かっているクラス分けなど楽しくない。しかも寮から歩いて15分の近場だ。電車など必要ない。家からだと1時間以上かかるので寮に来たということだ。いや、理由はそれだけじゃないんだけど。
「えーと、グラウンドか・・・」
桜舞う学校。桜浪高校。そこに着いた俺はクラス分けの表があるグラウンドを目指す。入学当時の1年生じゃないので行き方もわかる。そしてグラウンドに着くと、一面ピンク。桜が満開だった。
「1年前はかなり驚いたよな・・・・」
この高校。桜浪高校の名前の由来。桜が浪のように咲いているから。そして桜の花びらも浪のように押し寄せてくるから。ほんと毎年みてもすごいと思う。まだ4月8日。それなのに入学式、始業式に合わせたように咲いている。
「えーと、クラスクラス・・・と」
俺はグラウンドまで歩いていく。そこにあったのは人!人!人!の人だかり。
「マジかよ・・・。こうならないように早く出てきたっていうのに・・・」
それは全てクラス分けを見ようとしている人たちの集まりだった。1年生は3日後の入学式でクラスが発表されるが、2年生、3年生は今日。2つの学年が一気にグラウンドの一部に集まると・・・まぁ、不快な光景になるだろう。
「しゃーねーか・・・」
俺は背が高い方じゃない。170はないと思う。だからといってよく漫画である背の低い可愛い系男子というわけではない。あれはつくりもの。俺がいるところは現実。顔なんて普通だ普通。
「じゃあ、人ごみの中を進むとしますか・・・」
俺は決意とともに歩き出した。すると・・・集まりの後ろのほうに背の低い女の子がいた。背が低いといっても150はこえていると思う。腰まである綺麗な茶色の髪。髪のしたのほうでリボンを使い結んでいる。あれじゃ結んでる意味ねぇだろ。さっきからピョンピョン跳ねているのを見ると表が見れないんだろう。
「むー、これは背の低い人には向いていない作りをしているようだね・・・。ふむふむ」
一番最初にきこえてきたセリフはそんなセリフで。次のセリフは・・・・
「ここでこういう風に関数を使えば・・・・三角比で・・・・・・」
「おい」
俺は気がつくと声をかけていた。俺は人見知りなので自分から声をかけることはめったにないのに。しかも女の子だぜ。でもなぜか放っておけなかった。
「?誰?」
「誰かはあとで言うよ・・・・。あのさ・・・・・」
「何?まさかこれが告白ってやつですか!?」
確かに顔は可愛い。しかし初対面だぞ、しっかりしろ。あれ?でも世の中には一目ぼれとかっていうのもあるのか。俺には信じられない。
「違う!そうじゃなくて・・・・」
「じゃあ、何用ですか?」
「手伝ってやろうか?関数なんてもの使わなくても解決できるぜ」
俺はそう言っていた。俺は放っておけなかったのもあるが、数学で解決されるのが嫌だったのかもしれない。関数なんて使ってクラス分けの表を見れるのか分からない。でも見過ごせなかった。
これが俺、文系少年と謎の理系少女の出会いだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・三角比ってどこで使うんだよ・・・・・。
どうも花澤文化です。はなざわふみかと読みます。
ちょっと変わった学園ものです。ラブコメでもありますね。
今連載しているので純粋学園もの、ラブコメがないので書いてしまいました。
2話目からもっとはっちゃけていきたいと思います!
王道ストーリーの小説とともに更新していくつもりです。
他の小説はなかなか続きが思いつかなくて止まっていますが日常系ならどんとこい!
でわ