ステージ 1-7
性悪説なんてものは信じない。
性善説なんてものも信じない。
だって、元から悪い奴もいるし
もとからいい奴もいる。
神様なんて信じない。
存在自体は信じているけど
人間なんて信じない。
金で、すぐに動くから
自分なんて信じない。
だって軸が無いから
でも、僕は彼女だけを信じようと思った。
理由は、無い。
瞬間移動した白羽は、財布からコインを出した、
いや、懐から出したんだけどね
そして
キンッ!
と、親指でコインを上に弾き
落ちてきたときに、弾く。
まさにその姿は、某御坂さんのパクリだ、
いや、確証は無いんだけどね
ともかく、超電磁砲によって弾き出されたコインを避けれるはずも無く
男に当たった。
が、コインがあたり服を貫通し、肌に触れた瞬間
それまで電気を纏ってたコインは勢いを無くし、纏ってた電気も無くなった。
「まさか……、『幻想殺し』か?」
その質問に男は無言で答える
『幻想殺し』
その男の能力は、あらゆる異能を打ち消す力。
神の奇跡も壊し
魔術を破壊し
異能を壊す力
否、能力。
それに対して白羽は『制限複製』とゆう、他人の異能をコピーする能力。
誰がどう見ても、相性が悪い。
ま、だからこのタイミングで戦うんだけどね。
白羽は、能力で細い槍を作り、男へと飛ばす
しかし、男は簡単にソレをよけて、一気に白羽との距離をつめる
さらに、槍をつくり男へと飛ばすがまたも簡単に避けられる
次の瞬間
パチッ!
と白羽が指を鳴らすと同時に男の居た場所から何メートルもの火柱が上がる。
「やったか?」
「いや、まだだよ」
火柱から、無傷で出てきた男に首を絞められ白羽は壁に叩き付けられる
すぐさま、僕は白羽が落とした槍を手に男に向かうが
息が一瞬止まると同時に蹴り飛ばされる。
今更ながらに気づく、
なぜ、男が自分を学生だと偽ってたのかを
たかが、学生の地の戦闘能力なんて高が知れてる
そして相手をおびき出された奴は能力以外の方法で首をとろうとするが
『幻想殺し』の男は、大人
しかも、今見たところ何か拳法をやっていたらしく、戦闘能力も高い。
普通の人がそんな奴に勝てるわけも無く、ましてや『幻想殺し』。
能力持ちでも勝てるわけが無い。
いや、別に今更ってほど最近に気づいたことじゃないんだけどね
そして、僕を見てないってことは、僕に能力が無いと分かっているんだろう
とにもかくにも、ポケットに用意してある特殊なナイフを出し
白羽の首をしめてる男の首に……
グサッ!
男の太ももに大きなサバイバルナイフが刺さった。
そのナイフが引き抜かれ、血が噴出す。
大きなナイフには返しが付いており、傷口がギダギダになっている
なんとも痛そうだ……
ナイフを引き抜いた後、白羽は男の首元を掻っ切った。
しかし、ナイフは空を切り、男が鳩尾に拳を入れる
元が軽い白羽は、壁に体を打ちつけられる
衝撃のせいで白羽の手から離れたナイフは、男によって拾われ
そのまま、白羽の首に……
間一髪で白羽は男のナイフを避けたがすぐに壁に追い詰められる
ま、ここまでか……
僕は再度、ナイフを両手に持ち、男へ突っ込む
そして、男の回し蹴りの間合いに入りかけた時
僕はわざわざ両手に持った円筒形のナイフの鍔にあるレバーを押した
ブシャッァァァァァァァァ!!!!
ナイフは、僕の狙いどうり、男の首に刺さり致命傷を与えていた
男はぐらりと、したかと思うと次の瞬間には倒れた
ドバドバ
血が首から出ている男は
「なんで……だ……?」
初めて僕達の前で言葉を発した
まあ、普通はそう思うよね
僕は冥土の土産にと男に刃が無いナイフを見せた
それで理解したらしく、男はゆっくりと最後の力で目を閉じた。
ブブブブ!
と、バイブした携帯を白羽は確認する
そこには、『幻想殺し』の男が負けました、
みたいな内容が書かれていた。
つまり、男は死んだ。
両手に持っているから、直接来るものだという勘違いをしてしまったために
男は
僕に
殺された。
僕は
男を
殺した。
「おい……、なんだそれは?」
「ん、どれ?」
「そのナイフだ」
白羽は、男に刺さった刃を指差し、そして、僕が持っている刃が無いナイフを指差した。
仕方なく、僕は白羽に言葉で説明する。
「スペツナズナイフ。ソ連の特殊部隊、スペツナズが使っていたナイフ」
「ナイフだって事ぐらいは分かる。けど、なんで、刃が瞬間移動するんだ?」
「瞬間移動じゃないよ。元々これには30cmほどの強力なスプリングが備わっててね。ここのレバーを押すと刃が飛び出すのさ」
「……そんな物を何でお前が持ってる?」
「これでも本業は情報屋だからね……。護身用に持ってるんだよ」
いや、別に情報屋は本業じゃないんだけどね
「……お前……、他に人を殺したことがあるのか?」
「間接的なら数十回、直接的になら数回ってところかな?」
「…………」
「嘘だよ」
「……嘘とは思えないけどな」
「いやいや、本当に嘘だって。情報は何度も扱ったことがあるけど、人の命までは扱ってないよ」
「……そうだったら、いいんだが……」
「ま、そんな事より、早く帰ろう。先に帰った猫が腹をすかして待っているからね」
「……そうだな」
いや、別に人の命も扱うことだってあるんだけどね
こうして僕達は腹をすかして鬼になっている猫が待っている家へ帰った。