ステージ 2-1
『望箱』の奪い合いゲーム。
自らの願いを叶える『箱』が存在する。
そしてその奪い合いはすでに始まっている。
魔王の後継者を決める時とは違い、ルールは少しややこしく
まず、選ばれた人間は『望箱』を渡され願いを言う。
すぐにその願いが叶うことは無く、『箱』は使用者から何かを取っていく
そして他の『箱』使用者を殺していき最後にまで生き残った者の願いが叶う。
簡単に言うならば殺し合い。
ってか、殺し合い多くね?
何て事を思いながらも、僕は三月に質問する。
「で、お前はそれに参加したんだよね?」
「うん……」
「はあ……、で、なんで僕にそんな事を話すの?」
「だって、とっしーってこういうことが得意なんでしょ?」
「つまり僕に手助けして欲しいと?」
「そう! さすが話が早いねとっしー」
「褒められているんだか、舐められているんだか……」
「褒めてるが3で舐めてるのが7だよ」
「褒めてるのが、たったの3!?」
「ごめん、ごめん。本当は褒めが1で舐めが4でつっこみ待ちが5」
「なんか新しいのが増えてる!?」
「やっぱり、つっこみが10」
「そんなきらきらした目で僕を見るな!」
「えー、とっしーのつっこみ期待していたのにー!」
「もうスルーするけど、で、何を奪われたの?」
「あ、なんやこんやで手助けしてくれるんだ」
「まあ、手ぐらいは貸すけどさ……。一体、どこで僕がこういうのに得意って聞いたの?」
「山芋……じゃなくて、山本君から聞いたんだよ」
「あ~、山本ね……」
山本 啓二。
噂屋を営んでいる僕のクラスメイトだ。
まあ、安定しない情報を得る代わりに、早い安い、確かにあると言う噂、情報を扱うのが噂屋。
対して、確かにある正確な情報を扱うのが情報屋。
話を戻して
「で、『望箱』に何を奪われたの?」
「ん、まあ……、言うより実演した方が早いから……」
そう言って三月は鞄から、
いや、本当はポケットから出したナイフを自らの首に押し当てて
僕の制止の声を聞かずに
いや、別に静止の声なんて出してないんだけどね
そして間欠泉のように溢れ出す血。
赤色に染まる視界。
あたりが血だらけでも、僕は冷静にその光景を観察する。
しばらくして僕の眼球にかかった血が消えていき
「あー生き返った」
「…………」
「あれ、とっしー、どうしたの?」
三月は悪戯顔で眺めてくるが僕は特に反応しないで
「で?」
「え、スルーですか? せっかく痛いの我慢して自殺したのに?」
「死んでないじゃないか」
「まあ、死んでないけど……」
「で? さっきの行為で何を表そうとしたの?」
「あー、もう! さっきの行為は死を奪われたって言いたかったの!」
「最初からそう言えば良かったじゃないか」
「だって、とっしーの驚く顔を見たかった」
「それだけで?」
「うん、それだけ」
…………。
ああ、本当に手を貸してもいいんだろうか?
というより、手を貸さなくても……
「死なないんだったら、普通に勝てるんじゃね?」
「まあ、そうなんだけどさ……、もしかしたら、ほら、何か例外的なものがありそうで怖いんだよね……」
「例外的なもの?」
「うん、由一みたいな……」
「山本から聞いたのか?」
「うん……」
「まあ、そこまで言うのなら手を貸すけどさ……」
てか山本……、一般人に何てこと教えてるんだよ。
普通、そういう事は……
まあ、死を奪われた人間を一般人とは言わないか
さて、
とにかく、
これで、
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少々、ぶち切った感があるのですみません。 by作者