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ゲーム  作者: 中二 病
17/21

サイドステージ

 朝、白い目覚まし時計の音と共に、僕は布団を片付けた。


 まあ、たまたま朝早く起きただけなんだけどね……


 さて、今日の夕食は何にしようか……


 と考えながらも、朝食の用意をする。


 焼きあがった三枚のトーストを皿に乗せ、テーブルへと運び


 卵を油を敷いたフライパンに割る。


 片手でも割れないことはないけど、もし卵の殻が入ってたら猫に引っ掻かれるので両手で割る。


 しばらくすると、臭いにつられてか猫が居間に現れ、その数分後に白羽が現れる。


 皿に盛り付けて、テーブルに持って行くと同時にバターとジャムを運ぶ


「「「いただきます」」」


 と手を合わせて、むしゃむしゃとトーストを食べながら会話も無いまま時間が過ぎ、パンが半分になったところで思い出したかのように、猫がテレビをつけた。 


『現場の臼井さん! どうですか?』


『はい、こちら現場の臼井です。警察関係者の話だと、どうやら体がバラバラにされているようです。まさに猟奇的殺人でしょう』


 …………と、忘れていた……。


「なあ、白羽」


「なんだ? とっしー?」


「これ、いる?」


 そういって僕は数百枚に及ぶ書類を出した。


「なんだそれは?」


「大会の参加者の個人情報だよ」


「……どこでそんな物調べた?」


「言わなかったけ? 僕の副業は情報屋なんだよ」


「…………で、それを私に渡してどうさせるつもりだ?」


「どうもしないさ。ただ、もしも君が、魔王の力で参加者を生き返らせたいんだったら、そのまま活用すればいい。活用しないんだったら、この場で破り捨ててもいい。まあ、この厚さを破れるほど僕の力は強くないんだけどね」


「……貸せ」


 僕はテーブルの上に書類を置き、白羽に渡す。


「…………」


 白羽は手に力を入れそのまま書類を破り捨てた、


 いや、別に破り捨ててないんだけどね


 そのまま、無言で書類に目を通した。


「本当に全員のようだな」


「だろ?」


「…………」


「あ、そうそう……」


 僕は白羽に向かって手を出した


「何だ?」


「代金」


「…………後払いで」


「ちゃんと払ってくれよ?」


「ああ、分かってる」


 そして、また食事を始める。


 そして


「「「ごちそうさまでした」」」


 の声と共に白羽の姿は消えた。


「あれ? 柚姫ちゃんもう行っちゃったの?」


「ん、ああ」


「じゃあさ、とっしー」


「ん?」


「やらないか?」


 僕はすぐさま猫に近づいて


 頭に拳骨を落とす


「う~。ひどいよとっしー」


「年頃の乙女がそんな事言うものじゃありません」


「うう~。言葉のあやだよー」


「じゃあ、何て言おうとしていたんだ?」


「忘れたー」


「…………そうか、忘れちゃったか~?」


「うん、忘れたー」


 …………。


 頑張れ、僕。


 台所から包丁を取るために向かう足を気力で止めながら、質問する


「なあ、猫」


「何、とっしー?」


「あいつ、猫が神様って事に気づいてなかったのか?」


「? ああ、そういやあたし神様だったねー。信仰してくれる人が一人しかいないから忘れてたねー」


「…………。で、白羽はお前が神様だって気づいていたのか?」


「気づいてたと思うよ?」


「だったら、なぜ……」


 僕はとある資料を思い出しながら、疑問にぶつかる。


「さあねー。神様に人の気持ちが分かるわけ無いよー。あの時に殺された人間の親族の気持ちなんて分からないからねー」


「まあ、そうだけどさ……」


「まあ、べつにいいんじゃないのー? どうせ魔王ごときがあたしをころせるわけないからねー」


「…………まあ、その通りか」


「うん、だからねー。とっしーはこのままいてねー」


「ん? どういう意味?」


「たとえ世界が終わっても、友達を殺しても、好きな人が出来ても、魔王のゲームに参加してもとっしーはあたしだけのとっしーでいてねー?」


 そんな残酷な注文をしながらも、笑顔で聞いてくる猫。


 その笑顔はどこまでも普通で、声色も普通で、いつもどうりだ。


 だから僕は答える。


「分かってるよ。僕は猫の物だよ。誰にも取られたりしないさ」


「それならいいんだよー。あ、あとはあたしもとっしーの物だよー」


「…………」


「だから、とっしーはあたしにあんなことやこんなことができるんだよー」


「ちゃんと雰囲気ってものを考えながら発言しような?」


「分かったー」


 うん、分かってなさそうな顔だけどスルーしとこう


「あ、猫、一つ聞きたいんだけど」


「なにー?」


「楽しかった?」


「うん、楽しかったー」


 そりゃよかった。


 

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