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4-2.途中で止めるから紛らわしい

 


「男子でもさぁ、そういうのあるよね〜」

「ね〜」

「結局さぁ、どのみち男でも女でも人気ある人って……つまりその、隙があるって事よね〜」


 うげ、しっかりこっち向いて私の顔ガン見してる。

 ガチ不審者だよそれ。怖いって。


(うわ……)


 怖すぎてそっち見れない。視線合わせられないわ。

 圧が強すぎて、もはや見る事ができない。


 っていうか、流石にそろそろ気づいてモブ子。

 あなたの斜め右前、つまり私のすぐ隣にやばい奴いるって。

 やばいって、マジで。




「ほら、うちのクラスの西野君とか。まさにそうじゃん?」

「ああ〜」


 もちろん知らない。


「いつもテストでさ、榎本君と1位争ってるじゃん?」


 知らないじゃん?(本日2回目)


「頭良いんだけど……榎本君、しっかりし過ぎなんだもん」

「あ〜確かに」

「でも西野君はさぁ、朝よく寝癖つけて来てるじゃん?」

「まさに隙だ」

「でしょ〜?」

「西野君、榎本君と来たら……あと冴桐君?」


 ああ、そういや奴も一応このクラスのイケメン枠に入ってるんだっけ。

 イケメンと言われて名前が上がる人達のうちの一人っていうか。




「「「キャー!!!」」」


 突然、教室に甲高い声が響き渡った。


「それで、達也が強引にそのまま……「「キャー!」」


 なにやら相当盛り上がってるご様子。


 目の前の話に集中してたから、ほとんど聞いてなかったけど……なんかみんな耳まで真っ赤にして顔を両手で覆いながらキャーキャー言ってるから、多分キスシーンとかそういうやつかな。


 強引にそのまま……唇を奪ったとか、抱きしめたとか……そういう系かな?多分。


「でも、そこに山田先輩が来て……気まずい空気に……」


(えっ!?)


 突然の第三者の襲来。誰だろう、憧れの先輩とかかな?


「達也に『君には相応しくない相手だ』なんて言って……」



 お、おおお……急展開……

 きっと主人公の子を二人で取り合うみたいなやつだな?

 君には相応しくない、主人公の相手はこの私だ!みたいな。


(あっ、でも……)


 でも、でもな……一度、そのまま山田先輩とやらに主人公が完全に奪われて欲しい気持ちもある。


 やるなら極限まで、山田先輩大好き❤︎って完全に落ちるところまで行ってさ。

 そこからまた達也が奮起して色々足掻いて足掻いて、それに心動いた主人公……陽子だっけ?……が、やがて戻ってくるみたいな。


 熱いじゃん。毎日本気で生きて本気で恋愛してるって感じの……『若い』感じ……

 めっちゃ青春じゃん……良い……




 あと、イケメンの絶望顔大好きなのよ。

 苦しんでる男の顔ほど唆るものはない……むしろさっき色々それっぽい事言ったけど、メインはこっち。


 絶望的な状況に追い込まれて、汗かいて顔顰めてるイケメンこそ至高。異論は認めない(過激派)


 前言撤回、やっぱりやめ。ここは一度大人しく(?)好きな人を奪われて欲しい。


 ひとまず達也には一旦絶望を味わってもらって、そこから……




「私、それから山田先輩嫌いになっちゃってさ。それまではちょっとかっこいいかもなんて思ってたのに……」


「分かる!もしこれで先輩に取られましたなんてなったら、最悪だわ〜!」


「ほんとほんと!胸糞悪くて、もう見たくなくなっちゃう!」


(うおっ眩しっ!?)


 そうだよね普通。そう来るよね。


 彼女達の姿が光り輝いて見える……闇の住人には眩し過ぎて……

 変なのばっかり好んで読んでるから……認識が歪みまくってる……


 やっぱりここは真っ当に幸せを応援するべき……頑張れ達也。


(で、結局その後達也はどうしたんだろ……?)


 結構地味に気になってきてる。

 今すぐ話切り上げて、彼女達の輪に入りたいレベルには。


(後で聞かせてもらえないかな……駄目?)




「名前上げといてなんだけど……冴桐君はちょっと違うかも」


「「「キャー!」」」


「ん?んんん?何?」


 ごめん、マジで聞こえない。

 盛り上がってる方々のボリュームが大きすぎて。


「冴桐君。だってそういうキャラじゃないじゃん、なんでもそつなくこなすっていうか……」


「でも、今度は達也がそこで……!」「「キャー!」」


 ああ、気になる……気になりすぎて、目の前の話に集中できない……


「さや?聞いてる?」

「え?えっと、なんの話だっけ?」


 ごめん、ほんとに気もそぞろで。


「もう、ちゃんと聞いてよ〜」

「ごめんごめん」




「あ〜、楽しかった。じゃ、そろそろ帰ろっか」


 おお、BGM部隊(勝手に命名)帰っちゃうのか。

 だいぶ長々話してたもんなぁ。


 結局主人公が達也と山田先輩どっちとどうなったのかまで詳しく聞かせてほしかったけど、まぁ仕方ない。


(あっ)


 視界の端で何か動いた。

 それはすごく小さな、部分的な動きで……はっきりとは見てないけど、口元の動き。


 こっちは座ってて、向こうは立ってて。奴の口は視界の上の方ギリギリ。

 本当にギリ見えるか見えないかくらいの位置だったけど、同時に感じた嫌な予感が確信させてくれた。


 奴の口が少し開いてきてて……こちらに話しかけるタイミングを探してるような感じ……


 うわ、これ絶対話しかけてくるじゃん。直前の予備動作じゃん。




「だから、冴桐君だよ冴桐君。彼の事、どう思うって話」

「え、冴桐君の事?」

「うん」

「隙……「六うr……」


『隙があるんじゃない?(知らんけど)』って適当に返すつもりが……途中でセリフ被せられて変に止まってしまった。


 ここまで文章だと長いけど、『さや?聞いてる?』からほんの数秒の出来事だった。







「「「……」」」


 冴桐はやっぱり思った通り割り込んできたんだけど……なんか、固まってる?


「「「……」」」


 奴の目が段々大きく見開かれていく。


 無駄に瞳の色が綺麗なのも、まつ毛がこれまた無駄にフサフサなのも、ほんと腹立つよなぁ。




「あれ、冴桐君だ?どうしたの?」

「……」


 おい、返事せい冴桐。固まってないで。


 そんな、目ん玉かっ開くほど何にびっくりしたんだか知らないけど。


「冴桐クン?ドウシタノー?」


 溢れ出まくりの嫌悪感をこれでもかってくらい隠して、穏やかなフリを演じてる。

 嫌いなのは奴であって、モブの子は無関係だから。


「あれ?お〜い?」「冴桐クン?オーイ」


 私の方を見つめたまま、石のように動かない。


「もしも〜し?」「ダイジョウブー?」

「……」


 いや、だからそんなにじっくり私の顔見られたって。

 私何もしてないって。知らんて。


「「「……」」」




 そのままずっと無言で私の顔をずっと見続けて……しばらくしてやっと口が開いた。


「……いや、髪にホコリがついていたような気がしたんだけど……」

「ホコリ?」

「でも……どうやら僕の気のせいだったみたいだ、失礼」

「あ〜……冴桐君、綺麗好きだもんね」


(……って、どういう事だよっ!)


 いや、そうはならんやろ。その受け答えにはならんやろ。


 綺麗好きだからって、他人の……それも仲良くもない異性のゴミ取りなんてする?


 っていうか、髪にホコリとか……それだけ普段から人の事ジロジロ見てるって事じゃん?

 いやいやいや、普通にキモいって。キツいって。




「それじゃ……いきなり邪魔してすまなかったね」


 こちらの返事を待たずに一方的にそう言って、奴はどこかへ去っていった。


 立ち去るというよりやや足早の、逃げてるみたいな歩き方。

 驚いたと思ったら今度は逃げ出すとか……奴の中で何があったんだか。


(なんだあれ……)







「ああ、びっくりした〜。噂してたら本人来ちゃうなんて」

「ネー……じゃなかった、ね〜」

「?」


 急過ぎて口調の切り替えが慌ただしい。


「でもあるよね、そういうジンクス。噂をすればなんとやらって」

「あるあるだよね〜」


 意外とあるよね、そういう時。


「でも……冴桐君、間近で見たらかっこよかったなぁ」

「え」

「背も高くてさ、それに思ってた以上に優しい声してて……ちょっとドキドキしちゃった……」


 いや……それはないかな……



またこのパターンです。

別の話でも似たような事やったけど、またです(笑)


好きなんです、こういう露骨な始まり方。

意識するきっかけが言い間違いとか聞き間違いとか、勘違いとか……そういうやつ。

冷静に考えるとすごいわざとらしいんだけど、でも好き……

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