表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

8-2.割れ鍋に綴じ蓋

 


 うん、決まった。というか、今決めた。


 言おう、あの言葉を。


「あの、私……!」「あ、そうそう」


 被っちゃった。


「あ……先、いいよ」

「いいのか?」

「い、いいよ……」


(わ〜ん、私の馬鹿!)


 私の悪い癖が出てしまった。


 話が被った時にすぐ譲る、悪い癖。

 本当は流れ的にすぐ答えるのがベストだったんだろうけど、つい譲ってしまった。




「そうそう、言い忘れてたんだけど……この先僕と付き合うつもりなら、もう少し愛想良くする事だね」

「愛想?」

「いずれ僕は会社を継ぐ……だから、君にはうまく立ち回ってもらわないと」

「え?なにそれ?」

「気の利いた事とかおもてなしとか……そういうのができないと、色々困るからね」


(はぁ〜???)


 思わずぽか〜ん。


 いやいやいや。

 何言ってるか、全然分かんないんですけど。


「そういうのも一応仕事の一部だからさ、しっかりやってくれよ?」

「は?なんの事……?」

「その間抜けヅラ、やめてくれないか。品がない……」


 イラッ⭐︎


(アンタが変な事言い出すからでしょ〜が!)


 これまでの綺麗な流れが、パーになった瞬間だった。


「惚けないでくれ、この先と言ったら……結婚に決まってるじゃないか」


 結婚……!!!???


「はぁ!?私が、アンタと……!?」

「ああ」

「結婚……!?」

「なんだ?違ったかい?」

「冗談じゃない!ふざけんな、断る!」

「おや?『この先一緒』ってそういう意味だと僕は取ったけど」

「無理よ!こんなナルシストボンボン野郎と同じ空間で過ごすなんて!」

「は?」


 彼の顔がまた赤く染まっていく。

 おそらくさっきとは違う意味で。


「今……君、なんて言った?」

「『ナルシストボンボン勘違い俺様上から目線野郎』!」


 おまけにちょっと色々付け足しといた。


「あ〜無理無理!毎日アンタの顔見なきゃいけないとか絶対無理!」

「お、お前……!」

「一日すら無理!いや、一時間もキツい!なんなら一分も!」

「言わせてもらうけど!僕だって、それは同じだよ!」

「アンタの方がひどいでしょ〜が!」

「君だって!口は悪いしガサツだし、三歩下がってどころか前にしゃしゃり出てくる!僕の方が無理だよ!」

「じゃあなんで結婚とか言ったのよ!?」

「君が言ったんだろう!?」

「言ってない!そっちの勘違い!」

「言い出したのは君じゃないか!」


 あ〜!腹立ってきた!


「あ〜もう!分かった!とにかく、付き合えばいいんでしょ!好きじゃないけど、付き合ってあげる!」

「ああそうかい!」

「せっかくだから、次の彼氏見つかるまでの繋ぎにしてあげる!ありがたく思ってよね!」

「僕だって!君は姫崎さんと付き合うための練習台なんだからな!」


 そう言い切った後、一瞬あっしまった!という顔をしたけど……私と目が合った途端何かを察したらしく、また元の腹立つ表情に戻っていった。


(それはそれでムカつく)


「いくら優しい姫崎さんだって、流石にこんな男と付き合う趣味はないと思うけど!」

「そんなこと言って……君の方こそ僕の魅力に気づいて、ベタ惚れしてしまうかもしれないよ!」

「ないない!絶対そんなのないから!」


(……!)


 おずおずと、奴の方から手が伸びてきた。


 言葉と行動があまりにチグハグで……何が起きてるのか判断するのに時間かかっちゃったけど……


(え、これって……)


 繋げって?このタイミングで?


(ムードもへったくれもない……)


 仕方ない、繋いであげよう。そんなに私の事好きだと言うなら。




「い……一応!言わせてもらうけどな!」


 うわ、会話まだ続いてた。


「何よ、まだなんか!?」

「これでも僕、告白された回数は学校一だからな!」

「それがどうしたっていうのよ!」

「学校一だよ、学校一!学年一じゃない……それがどう言う意味か、思い知るといいさ!」


 急にこれまた何の脈絡もなく、捨て台詞みたいな事言い出した。


(これ、もしや……照れてんな?)


 現在進行形で、繋がれた手がめちゃくちゃ熱い。

 ホッカイロでも間に挟んでるのかってくらい。


 熱過ぎてなんだか手がじんわり蒸し焼きにされてる気分……


(ん?蒸し焼き……?)


 わ、手汗だ……!汗かいてる!

 なんか湿り気を感じると思ったら、汗……!


 え……私、こんな汗かくタイプだったっけ?


 いや……やっぱり違うな。熱いけど、私が汗かいてる感じはしない。


(って事は、これ……もしかして……)


 彼の方も見るも、顔を逸らされてしまった。


(……)


 繋いだ手も、これまた微妙にズレてんだよな。

 恋人繋ぎとかじゃなくて普通の繋ぎ方なんだけど、ちょっとだけ位置がズレてて落ち着かない感じ。


 普通ならすぐにささっと直して終わりなんだろうけど、今の奴にその余裕があるとは思えない……

 というか、ズレてる事自体も多分これ気づいてないな……




「……」

「……」


 お互い黙ると、なんだか気まずい空気に。


(な、なんか……!なんか言わなきゃ……!)


「そ、そこまで言うなら!」

「なんだよ!」

「そこまで言うなら!アンタがもう一度、本気で告白したくなるくらいの女になってやろうじゃないの!」

「いいよ、いくらでも待っててあげよう!まぁその日が来るとは思えないけど!」


 繋いだ手はまだそのまま。言葉と行動がまるで合ってない。


「……」

「……」


 熱いし手汗すごいけど、離す気はないらしい。


「と……とりあえず、だ!」

「なによ今度は!」

「こんなところで立ち話してないで、カフェでも寄ろうじゃないか!話の続きはそこでする!」

「望むところよ!」

「「ふん!」」


 そのまま鼻息荒くカフェに突撃していく私達であった。







 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 え?この後カフェでなんの話したかって?


 ううん、あの後すぐ本格的な喧嘩になって……頼んだコーヒーをガーッと一気飲みして、サッサと店出ちゃった。

 お互い、顔も見たくない!って。


 せっかく恋人同士なのに?

 いや、まだ私認めたつもりないし。向こうも多分そう。


 そのくせ別れ際に『明日も放課後暇だろ?』とか言って……どうせ一緒に帰ろうって事でしょ?


(ほんっと、馬鹿な奴……)


 へ!?笑ってない!笑ってないってば!


 別に、なんていうか馬鹿な奴だなって思っただけで……!

 ちょっとニヤってしただけで、別に嬉しくなんか……!


 も、もう!アイツのせいで調子が狂う……!

 ここで終わり!はい、以上!



ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


誰がって訳じゃないけど、一昔前とかによくいたキザ系男子成分って、たまに摂取したくなるよね。

あと、ケンカップル可愛いよね。ね?(知るか)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ