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1p【千年牢獄の化け物】

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

『ユベル、この世は君にとって、とても生きにくい世の中だね。』

『そうだな。』

『私が必ず、そこから君を出してあげる。』

『無理だな。何人殺めたと思っている。』

『大丈夫、私を信じて…。』



―――人を殺したくて殺したくてたまらない。

殺したいというよりかは切り刻みたい。真っ赤な血を浴びて俺自身が赤に染まっていく感覚がたまらなく好きなんだ。―――――



牢獄の中に閉じ込められている青年、ユベルは白髪をなびかせ、宝石のような青い瞳を持っていた。その青い瞳は深い海のように澄んでおり、透き通るような美しさを放っていた。彼の顔立ちもまた美しく、繊細な輪郭が特徴的であった。高い鼻筋と整った顔立ちが、彼の容姿に独特の優雅さを与えていた。


また彼の背は高く、その姿は優雅でありながらも力強さを感じさせた。彼の肉体美はまるで彫刻のように完璧であり、その美しさはまるで神々の贈り物のように思えた。


彼は普段の日課で筋トレをしていた。


すると、ギィィという錆びついた扉が不気味な響きを響かせ、その隙間から微かな光が差し込んできた。何年か、いや、何千年か――地下百階の牢獄の底に囚われた身は、もはや時間の感覚さえ曖昧なものとなっていた。暗闇が深遠なるだけに、眼が光を受け入れることさえ難しい。


最後に俺に面会に来た奴は誰だったか、金髪の長い髪の女だ。吐き気のするような甘い匂いに我慢できず、爪で切り殺した。あの女の誘いに乗っていれば外へ出られたかもしれないのに、馬鹿な事をしてしまったものだ。


牢獄の暗闇が時を隔てるかのように、俺の意識は時の流れを見失った。そこからどれほどの月日が経ったのか、それすらもわからない。日々、同じ壁に向かってただただ時が過ぎるのを筋トレしながら待つだけの生活。


牢獄の冷たい石床の上で、俺はぼんやりとした意識の中で足音を感じた。コツコツと、確かに近づいてくる音。それは、先ほどと同じリズムで響いている。そして、俺は思わず息を呑んだ。


この足音――またもや女性のものだろう。前回の出来事を思い出すだけで、俺の指先が緊張から震えた。


しかし、今度こそ俺は彼女を殺さずに済ませたい。それは、自らの心に刻まれた決意だ。だが、そのためには慎重に行動しなければならない。そう自分に言い聞かせながら、俺は足音の近づく方角に注意を向けた。


「言葉は通じますか?」


言葉は通じるかどうかだと?それは問題ない。遠い昔、アーレイという学者が俺の為にどんな言葉でも通じるイヤリングをくれた。何故か俺はそいつだけは殺さなかった。この退屈な牢暮らしに唯一安らぎを与えてくれた奴だからだろうか?


「ぁ…ぁ…。」



声を出そうとしてみて驚いた。口を開き、何かを言おうとしたが、俺の声は思うように出なかった。少し喋っていないだけで、喉が乾き、声がかすれてしまっている。

アーレイがくれた暗闇の中でも読める不思議な魔法が施された『筋肉トレーニング~モテる細マッチョへの道~』という本には、真剣に取り組んでいた。毎日、決められたプログラムに従って筋トレを続け、自分の体を鍛え上げていた。しかし、発声練習も同じくらい重要だった。そのことに気づいたのは、少し遅かった。


「では、私と一緒に出ましょう。」



牢の外から白くぼんやりとした女性の姿が見えた。鍵を差し込む音が響き、それに続くガチャリという音が牢の中に響いた。その音が、私の心臓の鼓動と同期しているかのように感じられた。そして、ゆっくりと、牢の扉が開かれた。

その瞬間、俺は間髪入れずに女を切り刻んだ。ブシャアッとかかる返り血を浴び、頬が緩んだ。


◇◆◇◆◇

~数日前~


イナレスワ王国では、まさに800年にわたる平和が続いてきた。人々はこの平和な時代に安心し、喜びを分かち合ってきた。しかし、その平和もついに崩れ去る運命にあった。


数年前、イナレスワ王国の南に位置する最果てのイレーア村が謎の生物たちの襲撃に遭った。その襲撃はまるで悪夢のようなものであり、村は壊滅的な被害を受けた。人々は逃げ惑い、村は炎に包まれ、悲鳴が空を裂いた。この出来事により、約800年にわたる平和は一瞬にして崩れ去った。


現王グワドールは、何度も屈強な騎士たちを率いて最果てのイレーア村へと向かわせた。彼らは勇敢にも謎の生物たちと戦い、多くの犠牲を払いながらも、その脅威を抑え込もうと奮闘した。しかし、いくら彼らが奮闘しようとも、イレーア村の先にある古城へと踏み入ることはできなかった。


古城はまるで不可侵の要塞のようであり、その壁には何者も通すことができないかのような魔力が漲っていた。騎士たちは懸命に攻撃を仕掛けたが、その努力は虚しく、壁は揺るがなかった。何度も挑戦を繰り返すうちに、騎士たちの士気は徐々に削がれていった。


グワドール王は苦悩の中で、この謎の生物たちの発生源である古城に挑むためには、より強力な力が必要だと悟っていた。



謎の生物たち、つまり「魔物」と名付けられた存在は、日が経つにつれて社会に大きな影響を与えた。彼らの死骸から採取できる骨や鉱物、毛皮、肉などが利用されるようになり、新たな資源として扱われた。魔物の素材は、武器や防具、さらには医薬品や建築材料として活用され、人々の生活に多大な貢献を果たした。


さらに驚くべきことに、かつて人々を襲っていた盗賊たちは、魔物が現れて以降、人を襲うことをやめた。なぜなら、魔物を狩ることの方がより豊かな報酬が期待できたからだ。魔物の討伐は困難を伴うが、その価値は非常に高いものだった。この変化によって、新たな職業が生まれ、それは「ハンター」と呼ばれた。


一方、「古城」を目指す者たちは「冒険者」と呼ばれ、その冒険心と勇気を称えられた。


ハンターや冒険者の中には、さらなる職業が存在していた。彼らは自身の才能や能力に応じて、戦士、ヌーカー、アタッカー、ヒーラーといった役割に分かれていた。


まず、体力に自信があり、長剣や斧を巧みに扱い、盾を持つ者は「戦士」と呼ばれた。彼らは戦場での前線で敵に立ち向かい、仲間たちを守る重要な役割を果たしていた。


一方、「ヌーカー」とは、魔法を扱うのに重点を置く者である。彼らは魔法の力を駆使して、敵を攻撃したり仲間を支援する役割を担っていた。


そして、「アタッカー」は、武器のみを用いて大ダメージを与えることに特化した者たちだった。彼らは機敏な動きと熟練した武器の扱いで、敵を迅速に倒すことを目指していた。


最後に、「ヒーラー」は、傷を治癒したり毒の治療を行うことができる者たちだった。彼らは戦闘の中で負った傷を癒し、仲間たちの生存を支える重要な存在であった。


これらの職業は、ハンターや冒険者たちがチームとして協力して任務に挑む際に、役割分担や戦術を組み立てる上で重要な役割を果たしていた。


王国騎士だけでなく、冒険者たちも古城を目指し挑戦したが、誰もがその壁を突破することはできなかった。日増しに魔物は増え続け、彼らの脅威は王国の境界線を越えて広がっていった。


王国では、かつてないほどの混乱が生じていた。魔物の脅威により、人々の生活は脅かされ、安全な場所がますます減少していった。王は疲れ果て、彼の肩には重い責任がのしかかっていた。彼は冷静に状況を分析し、国の存亡に関わる決断を迫られた。


王は玉座に座り、王国の未来について深く悩んでいた。彼の心は重く、苦悩に満ちていた。国家の存亡がかかった危機に直面し、彼の責任は極めて重大なものだった。

読んで下さってありがとうございます!

お手数かけますが、イイネやブクマをいただけたら幸いです。モチベに繋がります( *´艸`)

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