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26話 開戦

 周到に準備を整え、ついに青犬盗賊団が襲撃してくる当日を迎えた。

 牢屋は街から隔離されたところにあるものの、万が一を考えて住民には街の外に出ないよう通達がされている。


 作戦に参加する冒険者たちは、一度全員がギルドに集められた。

 既に各自の仕事は伝達済みなので、最終確認をしてすぐに出発となる。


「いいか?この作戦が成功とされる条件は2つだ」


 ざっと40人くらいの冒険者たちを見渡し、ジークさんが2本の指を立てた。


「1つ。デーブ及び幹部どもを捕らえ、青犬盗賊団を完璧に叩き潰すこと。もう1つは、絶対に誰も死なねえことだ」


 ジークさんの話を誰もが真剣に聞いている。

 新人の私が作戦の中枢としてすんなり受け入れられたのも、「ジークさんが言うなら間違いない」という絶対的な信頼があってこそだ。

 ただAランクの強い冒険者というだけでなく、人望も相当に厚い。


「俺らの手でオインの街、そしてヘイリア領をさらに平和な場所にしよう!!」


「「「「「「おおおおおおお!!!!!!」」」」」」


 ジークさんが高々と斧を掲げると、みんなも各々の拳や武器を突き上げた。


「行くぞ!!作戦開始!!」


 ジークさんの一声で、戦士たちが日の沈み始めた街に飛び出していく。

 牢屋へ、アジトへ。それぞれの場所に向けて駆けだした。

 私も幹部たちと一緒にギルドホームを出る。


「エルグ。では街と牢屋は任せたぞ」


「必ず完璧に勝ってみせます。ジークさんたちもご無事で」


「おう」


 いよいよ、私の冒険者生活で初めての山場が始まる。




 青犬盗賊団のアジトには、森の中にある廃墟が使われていた。

 昔は神殿だったのか、石造りで結構な大きさがありところどころに彫刻が施されている。


 10分ほどじっとしていると、廃墟の前にちらほら人が集まり始めた。

 暗い森の中で、彼らが持つ松明の炎が揺れている。

 1人の男が切り株の上に立ち、全体に呼びかけた。


「奪還の指揮を執る【番犬】ディノだ。全員、準備はいいか?」


 冷たく落ち着いた声が森に響く。

 呼応して雄たけびを上げようとした盗賊が、ディノに睨みつけられて押し黙った。


「うるさい奴は嫌いだ。街にこっそり近づく上でも邪魔になる。静かにできない馬鹿はついてくるな」


 森の中はひっそりと静まり返り、鳥の鳴き声だけが時折響いている。

 盗賊たちは、一切の物音を立てずにディノの前で固まっていた。


「時間だ。俺たちはデーブさんに期待されている。絶対に成功させるぞ」


 変わらないテンションでそう言うと、ディノは切り株を降りて歩き始めた。

 その後から盗賊たちが続く。

 牢屋で冒険者協会の幹部と精鋭たちが待ち受けているとは知らずに。


「俺らも行くぞ」


 牢屋襲撃部隊の姿が見えなくなったところで、ジークさんとアーヴィン、ミリィさんが先陣を切って廃墟に侵入していく。

 その陰に隠れつつ私も続いた。

 ある程度進んだところで、打ち合わせ通りにジークさんが大声を上げた。


「ギルドマスターのジークだ!!青犬盗賊団!!デーブ!!お前らをひっ捕らえにきた!!」


 大声に応じるように、ぞろぞろと盗賊たちが姿を現す。

 その目は突然現れた冒険者たちに釘付けだ。


 ――行け。


 ジークさんがこちらに視線を送った。


 ――行ってきます!!


 力強く目で応え、姿を隠して私は駆け出す。

 驚く盗賊たちの間をぬって走り、目指すはデーブのいる場所ただ1つだ。


「捕まえろぉぉぉぉ!!」


「させるかぁぁぁ!!返り討ちにしろぉぉぉぉ!!」


 幕を開けた激しい戦いを背に、私は廃墟の中を突き進んだ。

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