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21話 作戦会議

 私たちはギルドに戻り、再び会議の席に着いた。


「さて、本格的な作戦会議と行きたいところだが…。ここで、なぜ今が青犬を潰すチャンスなのかを説明しておこうと思う」


 ジークさんはデーブの手配書を指差して話し始めた。


「リーダーのデーブは、義理を通すことにこだわる男だ。どんな下っ端だろうと、絶対に仲間を見捨てたりしない」


 私からしたら、盗賊なんてやってる時点で義理もへったくれもないと思う。

 それでも、彼には彼なりの考えがあるのだろう。


「そこでだ。ついこの間、リリアナが青犬のメンバーだと名乗る賊を捕まえた。そうだったな?」


 ジークさんの問いかけに、私は黙って頷いた。


「彼らを取り調べたところ、正式な青犬のメンバーではなかった。青犬の名を語れば商人たちが怖がって荷物を置いていくので、勝手に名乗っていたそうだ」


 何だ、嘘をついていただけだったのか。

 さすがに弱すぎたもんね。


「だがこれはチャンスだ。すでに、青犬のメンバー4人がGランク冒険者に捕まったという噂を流布している。さっき言った通りデーブは仲間を見捨てない男だ。噂を聞けば必ず奪還しにくるだろう」


 なるほど。

 私が捕まえた4人を囮に使うということだ。

 本当に義理を通す相手なら、噂が確かなものでなくても動かざるを得ないはず。


「それに奴らには面子もある。青犬のメンバーが捕まったと聞けば、勢力争いを繰り広げる赤犬より劣っているという印象を与えかねない。ほぼ間違いなく、奴らは動いてくる」


「確かに奴らは動くはずですね。でもまさか、デーブが直接奪還には来ないでしょう?」


 エルグさんが質問すると、ジークさんは「だろうな」と答えた。


「だが、奴らも街に冒険者がいることは分かっている。さすがに【番犬】クラスは出てくるだろう。そうなれば、本丸の戦力がそがれる。その隙に、こちらがカウンターするってわけだ」


「あの~、すいません」


 私は恐る恐る手を挙げて、ジークさんの話を遮った。


「【番犬】ってどういうことですか?犬が攻めてくるんですか?」


「あ~っとそうか、リリアナはここに来たばかりで知らねえんだよな」


 ジークさんは、手配書の裏にペンで書きながら説明してくれる。


「青犬盗賊団の構造なんだが…まずリーダーがデーブ。第二位の立場についているメンバーが2人いて、それぞれ【忠犬】と【狂犬】という異名がつけられている。そしてその下、第三位の立場についているのが全部で5人いる。奴らが組織内外から【番犬】と呼ばれてるんだ」


 つまりリーダーがデーブ。

 その下が【忠犬】と【狂犬】。

 次が【番犬】というわけだ。

 こうして整理してみると、上級の幹部であることが分かる。


 私がちゃんと理解したところで、次はミリィさんが質問した。


「その作戦だと、牢屋を守る部隊とデーブを狙う部隊に分けないとだめよね?牢屋はいいとして、デーブの居場所はどうやって割り出すの?彼らのアジトって、今まで見つかった試しがないでしょ?」


「その通り。だからこそ、この場にリリアナを呼んだんじゃないか」


 えっ私?


「お前の能力や職業は潜入や奇襲に向いてるだろ?だから、その力を活かしてアジトを特定する任務をお願いしたい。もちろん大体の目星はついているんだが、いかつい男が堂々と入っていったら返り討ちにされるからな」


 確かに【忍び足】や【消音】、【隠伏】などのスキルはバレずに忍び込むにあたって格好のものだ。

 しかも、【暗殺者】は基本的に奇襲を得意とする職業。


「大丈夫ですかね…」


 不安げな私に、ジークさんは追い打ちをかけた。


「それから作戦本番では、俺と一緒にデーブを捕まえる部隊へ参加してもらうからな」


「え?」


「頼りにしてるぜ」


 幹部の3人からも異論の声は上がらない。


「が、頑張ります…」


 不安はあるが、みんなから期待されている。

 なら頑張るしかない。


 アーヴィンと戦った時も最初は負けると思ったけど、結果的に勝てたしね。

 第一目標は何としてでもアジトを特定することだ。

 青犬盗賊団が囮の奪還にかかる前に。

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