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野狐 ---やこ--- 

見つけてくださり、ありがとうございます✨

週に1回くらいのペースでのんびりと更新していきます。

宜しくお願い致します✨


 今回は、数十年も前、私が中学生の頃のお話。


 その当時、実家の隣の家には老夫婦が住んでいて、おじいさんは小さな神社の神主さんをしていた。


 おじいさんの家には、神棚と言うよりは祭壇と言うほうが似合うような場所があり、いつも果物や野菜、お酒等がお供えしてあった。


 柏手や祝詞は毎日のように聴こえてきて、私の中では日常の生活音となっていた。



 

 ある日のこと、私は自分の部屋で本を読んでいた時に、ひゅんひゅんと白いものが視界に入るのに気がついた。


 (ん?何だろ)


 周りを見ても、何も無い。


 (気のせいか‥‥‥)


 本を読み始めると、また、自分の周りを白いものがひゅんひゅんと動いているように見えた。


 しかも、時々、ふわふわ~と何かが触れる。


 最初は飼っている猫が側に来たのかと思ったが、猫は見当たらない。


 そして、喉の奥に毛が入り込んだ様な変な感じがしていた。


 咳払いをしても、どこかスッキリしない。


 (何だろう‥‥‥)


 考えても分からないので、その日はもう寝ることにした。


 翌日、母に話したが、取り合ってはくれなかった。



 私は、隣のおじいさんに相談することにした。


 おじいさんなら、不思議なことも聴いてくれると思ったのだ。


 おじいさんは黙って話を聴いてくれた。


 そして、真面目な顔で答えてくれた。


 「それはおそらく、野狐やこだな」


 「野狐?」


 「多分な。いいか、無視するんだ。気にかけちゃ駄目だ。無視していれば、そのうちいなくなる。多少悪戯されても、無視するんだ」 


 「無視すればいいのね。分かった」


 私は頷いて、お礼を言った。


 その晩から、視界に白いものが入ってきても、見えていないかの様に無視した。


 数日は白いものがひゅんひゅん動いていたが、ある日から、まったく見えなくなった。


 ふわふわとした感触も、喉の奥の詰まった様な変な感じも無くなった。


 スッキリとした感じがした。


 

 後日、隣のおじいさんから、あれからどうなったのか訊かれたが、何も無くなったと答えると、嬉しそうに良かったと笑っていた。


 あの白いものが見えていた時、特に悪戯とか変な事は無かったし、嫌な事も無かった。


 でも、あのまま気にかけていたら、どうなっていたのかと考えると、ちょっと怖い。


 何も無くて本当に良かったし、ハッキリと姿も見えなくて良かった。


 怖い姿だったら、忘れられないと思う。


 大人になった今も(いいオバサンだけど)、ひゅんひゅん動く白いものは全く見えない。


 あれは本当に、野狐だったのか、何だったのか、確認しようがないけれど、ふわふわ~と感じた感触は今でも覚えている。


 あれは、毛足の長い何か‥‥‥だったと思う。



 

 皆さんは、視界に何か分からないものが入ってきたらどうしますか?




読んでくださり、ありがとうございます✨

また、おつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

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