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曲がり角の椿の木

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 今回は随分と昔のお話。


 私が高校生の時の出来事。




 私が通っていた高校は、昔々、お城があった場所だった。


 近くには、武家屋敷もあって、古い歴史のあるところだ。


 普段使っている通学路は、武家屋敷の辺りは通らずに、駅から最短の道を選んでいた。


 だが、その日は何故かいつもの道ではなく、武家屋敷のすぐ側の道を通って帰った。


 私一人ではなく、同じ中学校出身の友人と二人だった。


 

 あれやこれや、たわいのない話をしながら歩いて行った。


 しかし、赤い花をたくさんつけた大きな椿の木がある曲がり角を過ぎてから、会話は途切れ無言のまま、二人並んで歩いていた。


 坂を下り、駅に向かって黙って歩いている私達。


 

 私は椿の木の前を通ってからずっと、背中がぞくぞくと冷えて仕方がなかった。坂を下っても背中の冷気は続いている。


 (これって、絶対おかしい。何かが後ろにいる)


 私は思いきって、友人Yに声をかけた。



 私 「ねぇ?なんかさ、背中‥‥寒くない?」


 友人Y「私もそう思ってた。あの大きな椿の木の辺りからじゃない?」


 私 「そうそう、赤い花がたくさん咲いてた。あそこからずっと寒いよね」


 友人Y「今も寒いよね」


 私 「うん」



   「「 ‥‥‥‥‥ 」」



   「「 やだーー 」」



 

 私達は手を繋ぎ、走り出した。


 まだ明るいというのに何故か人がほとんどいない住宅街を必死に走った。


 そして、その時。



 ----- ペタペタペタペタッ -----



 私達の後ろから足音が追いかけてきた。


 靴音ではない、もっとスリッパのような感じの音。


 (‥‥‥もしかして、草履? 嘘、本当に?)



 友人Y「やだ、追いかけてくる」


 私 「Yも聴こえる?」


 友人Y「うん、変な足音。それもたくさん」


 私 「私も聴こえる。一人じゃないね、何人も」


 友人Y「うん」



 私達は駅に向かって走った。



 駅の手前、川に架かった橋を渡り終えたとき、追いかけてきた足音がピタッと聴こえなくなった。背中の冷気も感じない。


 私達は走るのを止めて、立ち止まった。



 私 「足音、聴こえなくなったね」


 友人Y「うん、川を渡ったら聴こえなくなった。この川、結界か何かになってるのかな」


 私 「そうなのかな、わからないけど、良かったよね」


 友人Y「うん、良かった~」


 私 「ねぇ~」



 私達は繋いでいた手を離し、目の前に見える駅に向かって歩いて行った。


 振り返って、走ってきた道を見る勇気は私達には無い。


 

 だって、何か見えたら恐いもの。






 それにしても、追いかけてきたアレって何だったんだろう‥‥‥。

 

 あれから、数十年経つけれど、あの武家屋敷の辺りには行っていない。


 今も大きな椿の木があるのか、もう無いのかわからない。


 もし、今あの曲がり角に行ったらどうなるのか、少し気になるけど、もちろん行かない。


 興味本位の行動は、良くないと思うから。


 


 皆さんも、興味本位な行動は気をつけてくださいねぇ~。




 

読んでくださり、ありがとうございます✨

またおつきあいくださると嬉しいです。

皆さんに良いことがありますように✨

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