電柱 ⑴
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これは、私がまだ独身だった頃のお話。
当時は車でよく出掛けていた私、彼の家に遊びに行くのも車でだった。
( 彼=今は夫である )
彼の家からの帰り道、いつも気になる場所があった。
彼の家からは、10数件は離れていたが、同じ町内の古い家で、その家の塀の前にある電柱がとても気になっていた。
電柱を通り過ぎる時に、いつも電柱の横に、お爺さんが立っているように見えるからだ。
毎回なので、電灯の光の具合や建物の影の具合なのだろうと自分に言い聞かせていた。
そのうち無視するのにも慣れて、すっかり忘れていた。
やがて彼と結婚し、姑を交えて3人でおしゃべりしていた時のこと。
私 「そういえば、この先の○○のところの電柱を通り過ぎる時に、いつもお爺さんが立っているように見えるんですよね。不思議ですよね~」
姑 「え?○○のところ?」
私 「そうです、そうです」
夫 「俺は何にも見えないぞ」
私 「いつもお爺さんがボーっと立っているみたいに見えるの」
その時、姑の顔が少し険しくなった。
姑 「あの電柱があるとこの家はさ、お爺さんが首吊り自殺した家なんだよね。ちょうど、道路側の部屋がお爺さんの部屋でさ‥‥‥お爺さんが立っていたのかもしれないね‥‥‥」
夫 「嘘だろ、マジで?止めてくれよ、俺、そういうの無理」
私 「そっか‥‥‥これから夜は通らないようにしようかな。昼間なら平気だし」
姑 「それがいいよ。そうしなよ」
私 「うん」
夫 「俺、恐くて通れねぇ‥‥」
姑 「何言ってんのよ。情けない」
私 「ホントホント」
笑い話で終わったけれど、あれからあの道は夜はなるべく通らないようにした。
また見えてしまったら、嫌だなぁと思うから。
お爺さんを見てからだいたい30年過ぎた今、あの道を夜に通っても、電柱の横には何も見えなかった。
私が鈍くなったのか、お爺さんが成仏したのか‥‥‥どちらなのか、どちらも違うのか、分からないけれど、夜のドライブはあまりお薦め出来ないですよ。見たくないものを見てしまうことがありますからね‥‥‥。
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