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突撃!!隣の!!

「葵、祐奈!!それじゃ情報収集に行こうか?」


翌日、学校の昼休みに凜が突然訳の分からない事を言い出した。

お昼ご飯を食べ終わり、午後の授業の時間までアンニュイな時間になると思ってた私と祐奈は何の事か分からず、説明を求め凜を見つめる。


「もう。今晩は東の街に行くんでしょ?その前に東の街をホームに狩りをしてた人に話を聞いといた方が良いと思うの」


凜に説明されても何の事か分からない。

祐奈はどうだろうと視線を向けると、祐奈は思い出した様に発言する。


「あぁ、隣のクラスの・・・藤田くんだっけ?」


「そうそう。前に話した時に東の街を拠点に鉱山で狩りをしてるって言ってたじゃない?話を聞いて損は無いと思うの。掲示板に書かれてない情報を知ってるかも」


凜に促されるまま3人で隣のクラスの教室の開いているドアから中を覗き、藤田くんが居るのを確認すると近くに居た人に藤田くんを呼んで貰う。


「えっと、佐久間さんと小野さんと・・・どうしたの?」


あ、こいつ私の名前を覚えて無かったな?

まぁ、いい。ここは祐奈と凜に任せよう。


「えっと、藤田くんFEOまだやってる?ちょっと聞きたい事があって」


前回と同じように祐奈が話をする。


「あぁ、何が知りたいの?」


「あのね、私たちFEOで大きな買い物をしてね金欠になっちゃってね。凜がアイアンゴーレム狩りが儲かるって情報を見付けてきたのよ。それで挑戦しようかと考えてるんだけど、そう言えば藤田くんが東の街を拠点にしてるって言ってたの思い出して、今の東の街はどんな感じなのか聞いてみようと」


「なるほど。でもアイアンゴーレムが出るのは東の街イタプルじゃなくて、その先の東北にある第3の村近くだよ?」


藤田くんは祐奈に諭すように話を続ける。


「僕らのパーティーもイベントの頃は第3の村の近くで狩りは出来てたんだけど、パーティ全員がスキルを進化させて弱体化しちゃったから今は第3の村付近くまで行けてないんだよね。今は北の街ノブヌーイで狩りをしてレベルを上げてるんだ」


ん・・・東の第3の村付近で狩りしてて今は北の街に移動したって事は、藤田くんのパーティーも全滅して王都に死に戻って拠点とする街を東から北に移したのかな?

スキル進化で全滅して狩場の変更はみんな1度は通る道なのかも?


「それじゃ今は結構アイアンゴーレムの狩場は空いてると思って良いのかな?」


「うん。狩場としては混んで無いと思うよ。ただアイアンゴーレムのドロップアイテムの鉄屑が高かったのは第3陣が来る前の事だから、第3陣が来てから相場がどうなってるのかは分からないよ?あと佐久間さん達はまだスキル進化させてないの?」


「あ・・・私たちもスキル進化の洗礼を受けてしっかり弱体化したよ。南の第3の村まで行ったんだけど、死に戻りしちゃって」


「南の方は狩場としてはどうなの?」


「ん・・・第2街を超えた辺りから状態異常攻撃をしてくる魔物が増えるかな。第3の村付近だと人型の連携してくる魔物が出る感じ。物量で圧してくる感じたからドロップアイテムは多く手に入るけど、少人数パーティだとキツいって感じかな?」


祐奈と藤田くんが話してるのを私と凜が見てる感じになってる。

人見知りな凜が積極的に会話に入っていけないのはいつもの事だとして、私も名前を覚えられてないって負い目から話に入るタイミングが見付からない。

私と凜は祐奈の付き添いAとBに成ってる。


「あ、じゃあ佐久間さんたち良かったら僕らが入ってるクラン『龍翼』に入らない?第2陣で始めた同じクラスの高田や長谷川も加入したんだ。クラン人数もそこそこ居るから情報交換できるよ?」


んっ?私が自分の世界に入ってボーッとしてたら、話がおかしな方向に行ってる。


「あ、私たちは3人でクラン作ったの。それでクランハウスを購入して、それで金欠になったの」


祐奈がやんわりとクランのお誘いを断る。


「えっ?クランハウスを買ったの?3人のクランでしょ?凄いね南の村の方が儲かるんじゃない?」


「まぁ、それはイベントからお金は貯めてたからね。それに小さなこじんまりとしたクランハウスなんだよ」


・・・確かに小さなこじんまりとしたあばら屋なんだけどね。

祐奈のその言い方だと謙遜してるように聞こえる不思議。

祐奈、わざとそう言う言い回しをしてる?


「なんてクラン名?」


「『魔女の庵』って言うの。クランリーダーは葵なんだよ」


えっ?そこで私に振るのかい!!今まで壁の花、いや廊下の花に徹してたのに。


「へ、へぇ。大変だね」


ほら藤田くんも応答に困って微妙な空気になったじゃない。


「まぁ、リーダーと言っても特にやる事は無いんだけどね。クランメンバー3人の零細クランだから」


昼休みが終わる予鈴が鳴り藤田くんと情報交換を終えて教室に戻り、午後の授業を受けて自宅に帰る。

夕飯を食べてFEOにログインする。

今日の予定はメンテに出してた装備を受け取って東の第2の街へ向かう乗合馬車に乗るだけなんだけど。


「エリザ、今日は遅くない?」


ヒルデとサンドラは既にログインしていて、2人から私のログインが遅いと指摘された。

リアル時間で約束の5分前にログインしたのに理不尽だ。


「あっヒルデ、サンドラ待って。何かメッセージが届いてるからチェックしちゃう」


「あぁ、メッセージは昨日会った紅雲ちゃんと蒼波ちゃんからだよ?私たち3人にメッセージ送ったみたい」


ヒルデに言われるままメッセージをチェックすると、ヒルデの言う通り紅雲・蒼波の2人からだった。

内容は、もし良かったら魔物狩りに付き合って戦闘の手本を見せて欲しいって事だった。


「えっと、これってパワーレベリングのお願い?」


私が疑問を口にする。


「違うみたい。VRでの身体を動かして武器を扱う戦闘のコツが分からなくて困ってるから、私たち3人の戦闘してる所を見せて欲しいみたいなのよ」


「ヒルデ詳しいね?」


「エリザを待ってる間にメッセージやり取りして詳しい話を聞いといたよ?」


段取りが良いなヒルデ。


「それでどうするの?」


「サンドラと相談して今日だけ付き合うって連絡しといた。私たち[日陰屋]に耐久値の回復に出してた装備を受け取りに行くからそこで待ち合わせって」


今日の予定は適当に王都をぶらぶらしてログアウト前に東街への乗合馬車に乗るだけだったから、やる事が出来たのは良い事だ。


私たちが[日陰屋]に行くと既に紅雲さんと蒼波さんは着いていて中でおっちゃんとお茶を飲んでいた。

・・・この2人、なかなか社交的だな。ゲーム始めて2日目でNPCのおっちゃんとお茶を飲むとか。


「こんにちわ。待たせちゃったかな?」


店の中の3人に挨拶する。


「どうもわざわざすいません。ずうずうしくお願いしちゃって。私たちは店長さんに聞きたい事があったので早めに来て話をしてたんです」


2人の格好は昨日の緑色の初期服から頭から被るタイプの紺色のローブに変わっていた。

あ、私も最初はこのローブを着てたなと少し懐かしくなる。

・・・あれ?2人とも魔法使いタイプのスキル編成なの?コンビで両方後衛だと厳しくない?


「ほらエリザの嬢ちゃん達の装備、出来上がってるぞ」


[日陰屋]のおっちゃんが私たちに装備を渡してくる。

私たちは装備を受け取ると直ぐに装備した。


「あ、三者三様なんですね。3人とも前衛ですか?」


・・・分かるよ?私はメイスを握ってるんだからそりゃ前衛だと勘違いするよね。


「違うよ?私は一応後衛でサポート。サンドラが前衛の盾役で、ヒルデが中衛のアタッカーって役割だよ」


「ん・・・私たち3人とも色々と迷走してるから細かい事は気にしないでね」


確かに私たちは迷走してる。

私は純魔法使いのハズだったのに今は棍棒を片手にアインとラメドって従魔を従えてるし、サンドラは前衛の盾役のハズなのに熱、氷、雷、鉄の4属性魔法スキルを取ってるし、ヒルデは二刀流、小盾、長弓って複数の戦闘スタイルを使い分けて更に攻撃と回復両方の魔法を取ってるし。


「それで紅雲さんと蒼波さんはローブ姿だけど2人とも後衛なの?」


「いえ、私たちのこの格好は武器に合わせたと言うか・・・」


サンドラの質問に紅雲さんが返事を言いよどむ。


「私は武器を両手鎌にしたので死神のイメージで防具はローブにしました。それで紅雲は鎖鎌を選んで忍者の衣装のイメージでローブを・・・」


蒼波さんが説明する。

えっ?この2人、ネタプレーなの?2人とも武器は鎌って。



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