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家?買うの?

声を掛けてきた4人から離れ、私たち3人で小声で相談する。


「ねぇ、マイハウスが400万マニだって」


「これはお得なユニーククエストかも!!」


「でも中古でしょ?どんな状態なのか」


「土地付きだからね?400万で手に入るなら、後でリフォームしても安上がりじゃない?」


「あ・・・王都で中古住宅を買うと考えれば格安かな?」


「いや、ここ王都じゃないし・・・」


「もう、王都じゃないから良いのよ?王都に家があっても強い魔物は王都から遠い第3の村の先に居るんだから使わないでしょ?でも第3の村に家があれば色々と便利よ?」


「それはまぁそうね。宿代の節約にはなるかな」


「それに従魔はハウスの中ではペット扱いだから、常時出して愛でられるわよ?」


「あぇ、それは魅力的だねぇ」


どうやらヒルデは家を手に入れたいらしく私たちを説得しようとしてる。


「今なら400万マニは出せるでしょ?1人頭130万マニぐらいだから」


「でも、それを出したらまた金欠に・・・」


「家さえあれば金欠でも馬小屋に泊まる必要が無いんだから良いじゃないの!!」


ん・・・確かに。

それに装備を更新するのは今の【短杖】や【棍棒】スキルがレベル30になってからの予定だしまだ時間はある。

アインとラメドを抱き枕にして寝れるのもちょっと魅力。

でもな・・・。


「あ、あの・・・」


私たちが話し込んでるとお爺ちゃんが申し訳無さそうに話し掛けてきた。


「すいません。無理にと言う訳ではありませんのでお気になさらずに。他の異界人の方を見付けて頼んでみますので」


「ちょっとお爺ちゃん!!私は孫の誕生日までには王都に行きたいのであんまりゆっくりしてる訳には・・・」


「だからと言って見ず知らずの人に無理矢理に売り付ける真似は出来ないじゃろ?他にも異界人の方は居るしそちらに頼んでみよう」


なぜか4人の中で揉めだした。


「ねぇ、どうする?この際だし私は買っても良いかなと思うんだけど・・・」


「そうよ?エリザ。チャンスの女神は前髪しか無いって言うじゃない?後になって他のプレーヤーが住んでる家を眺めて本当ならあそこは私たちが買ってたのに・・・と後悔したくないでしょ?」


「えぇ?なんで私1人が反対してるみたいになってるのよ?家よ?家。400万マニの買い物なのよ?衝動買いする物じゃないでしょ?」


とりあえず2人を叱る。


「もう・・・エリザ。これはゲームなのよ?リアルじゃないんだから勢いって大事よ?思い立ったら吉日って言葉があるじゃない?」


「そうよ?困ってるNPCを助けると巡り巡って自分の利益になるのはゲームや物語の定番じゃないの?」


むぅ・・・。

2人の言う事も一理ある気がする。


「分かったわよ!!買えば良いんでしょ?買えば!!」


私の大声に4人も振り向く。


「えっ?買っていただけるんですか?」


おばさんが聞いてくる。


「はい。今、渋っていた仲間を説得できたので私たちが買わせていただきます」


ちょっとサンドラ、言い方。

私が悪者みたいな言い方はやめなさい。

いや、私が渋ってたのは事実なんだけどさ。


「おぉ、それでは早速そこの商業ギルドで買い取り契約をしましょう」


おじさんが私たちを商業ギルドに誘導して、商業ギルドの人に声を掛ける。


「あ、家を買ってくれる人が見付かったんですか。それは良かったですね」


商業ギルドの人がおじさんと話し、私たちを小部屋へ誘導する。


「はい。それでは手続きを代行させて貰います商業ギルドのグラムです」


商業ギルドの職員の人が流れるように契約を確認する。


「では、家と土地を400万マニで購入すると言う事でよろしいですね?商業ギルドしては手数料として10万マニを代金の中からいただきますがよろしいですか?」


「はい。よろしくお願いします」


おじさんが答える。

なるほど。おじさん達に渡るお金は390万マニになるのか。

私たちに損は無いな。


「えっと、そちらの・・・」


「あぁ、私はエリザです」


「エリザさん達もこの条件でよろしいですか?」


私はヒルデとサンドラの顔を見て2人が頷くのを確認し大丈夫だとグラムさんに答える。


「それではこちらの売買契約書に双方ともサインをお願いします。それとエリザさん達は代金の400万マニもお出し下さい」


さっきグラムさんに名前を問われて何となく私が名乗ってしまったので私が代表者みたいになってしまった。


「ヒルデとサンドラは133万マニで良いよ」


私が134万マニを出して、2人もお金を出す。

身内で端数のお金のやりとりで騒ぐのはちょっと恥ずかしい気がするので1万マニは私が出しとく。


「えっと・・・このサインは誰でも良いんですか?」


「そこは家の持ち主のお名前をお願いします」


んっ?


「あの、私たち3人でお金を出し合って買うので3人連名で良いですか?」


「あ・・・その場合はクラン名でも大丈夫ですよ」


「クラン名?」


「はい。クランの共通財産と言う事で登記できます」


「えっと・・・」


私は答えに困ってヒルデとサンドラを見る。


「あの、今少しお時間を頂いて良いですか?3人で冒険者ギルドでクラン登録してきたいのですが」


サンドラが助け船を出してくれる。


「はい。えっと・・・それではお金の受け渡しだけ先に済ませてしまいますか。その後に私が冒険者ギルドまで一緒に付いて行って処理をしましょう」


グラムさんが機転を利かせてくれ、4人にお金を渡し書類にサインをして貰う。

  

「はい。これで契約成立です。おめでとうございます」


4人がお金を受け取り挨拶をして外に出て行く。

それに続いて私たちもとグラムさんも外にでる。


「それでは買って戴きありがとうございました」


商業ギルドの外で4人が再び私達に挨拶をして去って行く。

どうやら家財は殆ど処分してお金に換えていて、このまま王都行きの乗合馬車に乗って行くようだ。

・・・途中で魔物に襲われなければ良いけど。


冒険者ギルドに行きクランを結成したい事を告げる。


「それではこちらの用紙にクラン名とクランマスターの名前をここに御記入ください」


クラン名・・・。


「ねぇ、クラン名どうする?」


「あ、じゃあ『ヒルデ様と滑稽な仲間たち』で」


「却下。何よ?滑稽な仲間って」


「じゃあ、愉快な仲間たちでも良いよ?」


「そう言う話じゃないから」


「じぁあ・・・三人組なんだから三つ叉の矛から取って『トライデント』とか?」


「でも私達、槍は誰も使ってないわよ?」


「もう。文句ばっかり!!却下するなら代案を出してよ!!」


「三人組でしょ?三竦みから『蛇・蛙・蛞蝓』とか?」


「却下!!エリザは何かある?」


「ん・・・三人組に拘らず3人とも魔法スキルを取ったんだから『魔女の家』とかで良いんじゃない?」


「誰も純魔法使い居ないけどねぇ」


「サンドラ、私は純魔法使いだから!!」


「う~ん。名乗る時に『家』は少し格好悪い気がするから・・・『魔女の庵』なんてどう?」


ヒルデが提案する。


「うん。悪くは無いんじゃない?なんかゲームっぽい。イメージは湖の畔に立ってる魔法使いの家よねぇ」


「湖の魔女か・・・いいね。エクスカリバーとか作り出しそう」


「あの・・・」


グラムさんが困った顔をしてこっちを見てる。

そんな残念な人を見るような目で見ないで・・・。


「えっと、じゃあクラン名は『魔女の庵』で良いね?あとはクランマスターはヒルデで良い?」


私は恥ずかしさから話をまとめようと2人に確認をとる。


「私は嫌よ?エリザやりなよ?家のお金を1万マニ多く払ってるんだからエリザに譲るわ」


「そうね。唯一の純魔法使いだもの『魔女の庵』のクランマスターはエリザで良いと思うよ?」


「またそうやって面倒事を私に押し付ける・・・」


「だって私は代表とか向いてないし、ヒルデに代表とかやらせたら大変な事になりそうだし」


「もう・・・分かりました。私がマスターで良いです。その代わり2人はサブマスターね」


書類に記入して受け付けに提出すると、登録料として10万マニを請求された。

今度はヒルデとサンドラが3万5千マニづつ払い、私は3万マニを支払った。


そしてグラムさんが持っていた書類に『魔女の庵』の名前を記入し、全ての手続きが完了した。


こうして私達は思いがけずマイハウスを衝動買いした。

・・・してしまった。



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