表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/115

パーティー戦闘

サンドラが戦闘に立って草むらを歩いていく。

真ん中はヒルデ。メニュー画面で何かを見ながら歩いてる。

歩きメニューだ。リアルなら歩きスマホみたいで怒られる案件だな・・・。

そんな事を考えながら最後尾を私が歩く。


「そう言えばさっきの魔物、何がアイテムをドロップしたの?」


「フェザーってアイテムを幾つかドロップしたよ?」


「フェザー?」


「そう。まんま羽根」


「売れるの?それ」


「さぁ・・・アイテムを作る生産系のプレーヤーには売れるんじゃない?」


私とサンドラが話していると、そこにヒルデが割り込む。


「私、ドロップアイテムを獲得してないよ?なんで?私も攻撃したのに」


「ランダムドロップ?トドメを刺したのが私だから?」


サンドラが可能性をあげる。

メニュー画面を弄ってたヒルデが納得したような溜め息をつく。


「分かったわ。パーティー設定をしてなかったから、トドメを刺したサンドラにだけドロップアイテムが出たんだわ。パーティーを組んでたら何もしかなかったエリザにも平均的にアイテムドロップするって」


「なるほど。だからアイテムが複数手に入ったのね。パーティーを組んでたらこれが均等に行き渡ると」


「あ、なんか損した気分」


「あんた魔法の使い方が分からず何もしなかったじゃん!!」


そんな話をしながら草むらを歩いてると少し離れた草むらがカサカサ音がする。

出て来たのは50センチぐらいの木で出来た操り人形みたいな魔物・・・が4体。


「ちょ、多い!!」


片手剣を抜き構えながらヒルデがボヤく。

私は直ぐ長杖を構え魔法を唱える。


「ファイアボール!!」


すると長杖の先に小さな魔方陣が現れそこからリンゴぐらいの大きさの火の玉が撃ち出される。

それが真っ直ぐに現れた人形の方へと飛んで行くと、片手斧で人形に斬りかかったサンドラの太股あたりに命中する。


「ちょっとエリザ!!」


ヒルデから怒られる。

えっ、今の私が悪いの?


「味方からの攻撃でもダメージ受けるよ!!」


サンドラが実体験を語る。


「どうする?一匹に集中して各個撃破する?それともバラバラに攻撃する?」


私が作戦を聞いて見るとサンドラが声をあげる。


「ヒルデ、回復お願い!!HPが1/3ぐらいしか残ってない!!」


作戦を話し合ってる時間はないみたい。

戦闘に立って大盾で人形の攻撃を一身に受けてるサンドラ。

ヒルデはサンドラの影に隠れながらコソコソと敵を攻撃してる。それが英雄のやる事か?

私は横に走り出し射線にサンドラとヒルデが入らないポジションに移動する。


「ヒール!!」


ヒルデがサンドラを回復さててるのを横目に、私も魔法を唱える。


「ファイアボール!!」


今度は味方に当たらずに人形に命中すると、人形はバラバラに砕け散り、虹色の光となって消える。。

サンドラとヒルデがある程度ダメージを与えてたんだろう。


続けてファイアボールを放とうとすると待機時間のせいでファイアボールを放てない。

でも他の魔法は使えるみたいなのですかさず魔法を放つ。


「ソイルボール!!」


やはりリンゴぐらいの大きさの土の塊が人形に向かって飛び命中する。

泥団子を投げ付けてる気分になった。ダメージ入るのかな?これ。


「ウォーターボール!!」


待機時間を避け別の魔法を使ってみる。

やはりリンゴぐらいの大きさの水の塊が人形に向かって飛んでいき命中する。

何となく分かってたが氷の塊じゃなく水の塊だった。


「ウインドボール!!」


これは某忍者漫画の主人公の必殺技みたい。

目で確認できる風の塊が飛んでいく。

しかしそれが人形に攻撃しようとしたサンドラに当たりそうになる。

サンドラが咄嗟に躱し、ウインドボールは人形に命中しバラバラになって崩れ光となって消えた。

これで人形は全て倒しきった。


「ちょっとエリザ、魔法を撃つ時は何か合図が欲しいな。危ないよそれ。テロだよテロ。無差別テロ」


「ホントごめん。敵が一匹になったら基本的に魔法は撃たない方が良いね」


「サンドラはタンクとして敵の注意をひいて、私とエリザがアタッカーとして敵を倒すのがセオリーだけど、どうする?」


「私、ドMじゃないから一方的に殴られるの嫌だな。思いっ切り攻撃したい」


「サンドラ、ドMだって始めてあった敵にいきなり殴られるのは嫌だと思うよ?」


「いや、エリザ。そんな話じゃなくてどう戦うかの話だから」


「今の戦い方で良いんじゃない?私とヒルデが敵と正面から戦って、時たまヒルデが回復。エリザは横から離れて浮いてる敵に魔法を乱射するって感じで」


「了解。とりあえずそれでもう一回やってみよう。駄目だったらまた考えればいいし」


「それなんだけど、そろそろ戻る?日も傾いてきたし」


「明るい時でも戦闘が怪しいのに暗くなったら危ないものねぇ」


「何か灯りになるアイテムを買ってくれば良かったね。松明とかランタンとか」


「暗くても見えるようになるスキルとあるんじゃないかな?」


「えぇ、そんなスキルでスキル枠を1つ潰すの?」


「松明とかランタンとか使い捨てアイテムだったら、お金の掛からないスキルの方が経済的じゃない?」


「あ、それだ。お金は大事だよ。収納枠も圧迫しないし」


「ちょっとあんたら、早く帰らないと宿に帰る頃には真っ暗になるよ」


ヒルデに急かされ来た道を引き返す。

原っぱから最短距離で街道に出ると街に帰る他のプレーヤー達も多く見かける。

その帰宅民の流れにのって街まで帰ると門をくぐって直ぐの大きな建物に多くのプレーヤーが入っていく。


「あそこ、なに?」


「あれじゃない?冒険者ギルド」


「あぁ、魔物のドロップアイテムを売るのね」


「クエストとかあるかも」


「あ!!クエストを受けてから魔物狩りに行けば多くお金を稼げたかも!!」


「エリザ、今日の私達の戦果は?」


「毛玉1匹に人形4匹・・・」


「それじゃクエスト達成出来なかったでしょ?」


「そもそも何処にどんな敵が居るか分からないものねぇ」


確かに。

何の知識も無いものね。

知ってるのは宿屋の場所と1泊の料金。

空いてる武器屋の場所とワンランク上の装備は運営の罠って事ぐらい。


「私達は宿屋に帰ろっか」


「そうだね。列んでまで売るもの無いものね」


「あ、そう言えば人形のドロップアイテムって何だった?私は木の枝」


「私も木の枝だったよ?」


「私も」


「なんだみんな一緒な仕様か」


「それは分からないでしょ?まだ1回しかパーティーで戦ってないんだから。そのうち誰か1人だけレアドロップを引くかもよ?」


ヒルデがニヤリと笑う。

そうだ。クジ運が強いのはヒルデなんだよな。

私はどちらかと言えば悪い方。

なんでそんな差があるんだろ?前世で何か悪い事でもしたのかな?

いや今後の為に運を使わずとってあるんだ。きっとそう。


「あ、夕飯どうする?宿屋は素泊まりで予約しちゃったし」


「お金が勿体ないし無理に食べなくてもよいんじゃない?」


「えっ、エリザはスタミナゲージ減ってないの?」


「えっ?スタミナゲージ?」


サンドラが呆れたような目でこっちを見る。


「メニュー画面の1番上に赤と青と黄色のラインが3本あるでしょ?赤いのがHPゲージ、青いのがMPゲージ、黄色のがSTゲージつまりスタミナゲージね」


「あぁ・・・気持ち減ってるかも」


「それしか減ってないの?後衛であまり動かないから?」


「私は1/4ぐらい減ってるのに」


「私も」


どうやらスタミナゲージは行動やスキルの仕様で減って自然回復はしないらしい。

回復方法は食べ物を食べる事。あとはST回復アイテムもあるかも知れない。


「そのぐらいなら試しに1食抜いてみようよ。一晩でどれぐらい減るか知りたいし」


「ん・・・それもそうね。何の情報もないしね」


「お金も残りわずかだしね」


宿屋[馬耳亭]に戻るとプレーヤー数人が女将さんとカウンター越しに話していた。

何やら女将さんと話すとガッカリした様子で宿屋を出て行く。


「何かあったんですか?」


ヒルデが女将さんに尋ねると女将さんは笑って答えてくれた。


「あぁ、満室で断ったんだよ。馬小屋で良いならまだ空いてると言ったんだけどね」


サラッと恐ろしい事を言う。

「馬小屋ならまだ空いてる」

つまり馬小屋を選択した人が居ると言う事だ。

あそこに寝るなら公園で野宿の方がマシだと思う。

ま、セットしてるスキルの交換が出来ないけど。


女将さんから鍵を受け取り部屋に入るとベッドが3つ並んでるだけの簡素な部屋。

ま、ゲームでユニットバスとかあっても扱いに困るけど。


「じゃ夜が明けるまで一旦、ログアウトしようか」


私たちは次にログインする時間を決めてベッドに並んで寝てログアウトした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ