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初フィールド

「さてと、やっと狩りに行けるね」


私がそう言うとサンドラから待ったが掛かった。


「あ、ちょっとまって。どこかで追加の買い物したいの」


「何を買うの?」


「髪留め。こう言うのってゲーム的に自動で処理されるのかと思ってたんだけど、兜から微妙に出ててなんか嫌なの」


そんな事を言い出したサンドラにヒルデも賛同し始める。


「あ、それなら私も髪をまとめるゴムが欲しいかも。このまま戦ったらボサボサに成りそうで」


確かにウェーブの髪が背中まであるヒルデが魔物と戦ったら髪がボサボサになるだろうなぁ。


「そんな髪形にするから・・・」


「エリザの方が髪は長いじゃん。腰まであるんだから」


「私は魔法使いだから前衛みたいに走り回ったりしないもの」


そんな言い争いをしてると見かねた店主に声を掛けられた。


「嬢ちゃん達、小物が欲しいならウチでも扱ってるぞ?どうだ見てみるか?」


「お願いします」


サンドラが即決で答えてしまう。


店主が見せてくれたのは革紐、組紐、ゴム紐、ヘアピン、髪留め、(かんざし)、カチューシャなど様々。思ったより種類が多い。


ヒルデで特に悩む事も無くゴム紐を買った。

黄色の髪に合う水色のヘアゴム。もしかしたら瞳の色に合わせたのかも。

それで髪を首の処でまとめて低い位置でポニーテールにしてる。


サンドラも少し悩んだ後に無地の長方形のバレッタタイプの髪留めを選び、兜から髪が出ない様にフルアップにして留めてる。


私も紺色の組紐を買って鉢巻きのように巻いた。

たまに女子サッカー選手がやってるヘアバンドみたいな感じ。

髪留めの為と言うよりサークレットが手に入るまでの代わり。

デコ丸出しはどちらかと言えばちょっと恥ずかしいのでワンポイントのオシャレ的な感じ。

髪留めは各500マニだった。高いのか安いのか分からない。


「結局、エリザも買ったんじゃん(笑)」


ヒルデに突っ込まれるが笑って誤魔化す。


「ねぇ、そろそろ本当に狩りに行かないと日が暮れちゃうよ?」


サンドラが急かすがお前がそれを言うのか・・・。


そして店主に挨拶をし、店を出てそのまま東門に向かう。

門は開放されててそのまま外に出れた。


「おぉ、一面の耕作放棄地って感じだね」


「街道はしっかり手入れされてて草は生えてないけどね」


街道は幅5メートルぐらい?いやもうちょっと広いか?その幅で延々と続いてる。

道が外れると膝下ぐらいの草が一面に生えてる。

魔物を狩るならどこかで街道を外れ草むらに入らないと駄目だろう。


「とりあえず少し街道を歩いてから草むらに入ろうか?」


私が提案するとヒルデもサンドラも賛同してくれた。


「そうだね。常識的に門の近くに魔物は出ないよね」


「どこら辺までリアルに設定されてるんだろ?フィールドに出たら一歩目でエンカウントするRPGもあるけど」


「ここら辺は開幕ダッシュ組が既に狩った後だろうから、リポップ時間がどれぐらいか・・・」


それぞれが好き勝手に考察してると草むらから何かが飛び出してきた。


「えっ、魔物!?」


鳥の羽根を丸めて固めたようなバレーボールぐらいの大きさのモノ。

それが跳ねながら近くにいたサンドラに体当たりをした。


「痛ッ!!ダメージ受けた。これ魔物だよ!!」


そう言い放ち、盾を構え腰の片手斧に手を掛けるサンドラ。

ヒルデも片手剣を抜き構える。

私も長杖を構えて魔法を使おうとするが・・・


「あれ!?魔法ってどうやって使うの?」


魔法の使い方が分からない。

魔法の使い方に悩んで居る内にサンドラとヒルデが魔物を倒していた。


「ちょっとエリザ・・・」


「ゴメン。魔法の使い方が分からなかった」


「それぐらい前もって確認しときなさいよ」


「えっ、ヒルデは回復魔法の使い方って分かる?」


「・・・分からない」


「ほら!!」


「あんたら・・・」


サンドラの白い目が痛い。

ヒルデは攻める側から攻められる側に変わってしまって戸惑ってる。

しかしどうやって魔法を使うんだろ?


「メニュー画面から魔法やスキルの画面見てみたら?ヘルプあるんじゃない?」


サンドラの意見に素直に従い、いやサンドラも含め3人それぞれにメニュー画面を弄り始める。


私は画面の【魔法】の部分を選択し魔法一覧をみる。


「・・・悲しい報告があります。魔法使い死亡のお知らせ」


私の発言にヒルデとサンドラがこっちを見る。


「どうしたの?」


「なに?なにかやらかした?」


「魔法を4属性取ったのにみんな属性が違うだけで同じ魔法だった・・・」


火属性の魔法は【ファイアボール】

水属性の魔法は【ウォーターボール】

風属性の魔法は【ウインドボール】

土属性の魔法は【ソイルボール】

頭の属性の名前が違うだけで魔法は同じボール。


「あぁ、そのパターンね」


サンドラが納得する。

するとヒルデが思わぬ発言をする。


「えっ、私はエリザが取らないって言った光魔法と闇魔法を取ったけど、両方スピアだよ?ライトスピアとダークスピア」


「はい?」


ヒルデ、いつの間に光魔法と闇魔法を取ってたの?

しかも初期魔法が違うとか・・・。


「えっ、何が違うの?と言うか魔法取ってたの?」


「あ・・・エリザが取らないって言ったから。それに光魔法や闇魔法って英雄っぽくない?」


「まぁ、確かにパーティーとしたら全属性が有った方が良いよね。個人で全属性揃える必要は無いだろうけど」


サンドラが納得してる。

まぁ、確かに最初に取らないって言ったのは私だし、ヒルデは悪くないけど、なんかモヤモヤする。


「それで魔法の使い方は分かったの?」


「ヘルプに書いてあった。相手や場所を意識して口に出して魔法名を唱えると魔法が発動するって。その時に杖とか使うと威力が上がったりするらしい」


「長い呪文とか無いの?」


「無いよ」


「厨二っぽい呪文を唱えるエリザを見たかったのに」


「そんな仕様だったら魔法使い人口が激減するから」


「でも魔法発動までに少し時間差があるみたいね。あと1度使ってから次に使うまでに待機時間も」


「魔法使いは大変だねぇ」


サンドラが他人事の様に言う。

いや魔法スキルを取ってない他人事なんだろうけど。


「いや、サンドラも他人事じゃないよ?武器にもスキルが有ってスタミナを一定量消費して使えるって、それも1度使うと次に使えるようになるまで待機時間あるみたい」


「へぇ、武器スキルなんてあるんだ・・・あ、あった。斧は【振り下ろし】ってスキル。投擲は【リターン】って投げた物を引き戻すスキルがあるみたい」


「片手剣にも【強撃】、長弓にも【集中】ってスキルがあった」


なるほど。

魔法はMPを消費して、武器スキルはスタミナを消費するのか。


「投擲って投げた物が無くならない仕様なんだ。長弓の矢は消耗品だよ?」


「投げては戻して、投げては戻して延々と石を投げ付けられるじゃんサンドラ(笑)」


「なんで石(笑)。でも再使用の待機時間が120秒もある」


「長っ!!」


「投げた物が無くならないってだけで連投は出来ないんだね」


「はいはいそれぐらいで。次の魔物を探そ?」







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