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フラグ

「流石に今シャドーと戦ってるパーティーは全滅しないでしょ・・・」


サンドラの不吉な思い付きを否定する。

そんな事には成って欲しくない。


「でも、今も戦ってるって事はそれだけ苦戦してるって事だよね?」


「冷静に考えるとゴーストと1番最後まで戦ってたパーティーはシャドーが発生するまで休憩無しだったんだよね?」


んっ?ヒルデは何が言いたいのだろう?


「休憩無しで連戦したパーティーが全滅したパーティーなのかな?と思って」


「休憩よりはパーティーの相性でしょう?遠距離物理攻撃を持ってる人がパーティーに何人居るかで難易度が違うから」


サンドラが語る。


「ミミズの時はそんな相性なんて無かったのにね」


私がそう言うと


「羽ミミズは範囲攻撃魔法が有るか無いかで難易度が違ったよ?エリザは恩恵を受けてたから今回キツく感じるんじゃない?私はミミズより今回の方が楽だもの」


ヒルデが自分の体感の感想を言う。


えっ?ミミズより今回の方が楽?

嘘でしょ?


「この次は近距離物理攻撃が有利だと良いなぁ・・・」


前回も今回も優遇されてないサンドラが呟く。


「あっ、連絡来たよ。今最後のパーティがシャドーの討伐成功したって。それでエリザの提案が採用されて2パーティつづで2箇所を挟撃する事になったよ。私達はここから左側へ向かえば良いみたい」


サンドラが届いたメッセージを私達に伝える。


「さて、最後の一働き頑張ろうか」


「この後に真ボスが出てきたりしてね」


私が呟くと、それを聞いたサンドラが不吉な事を呟く。


「ちょっとサンドラ、さっきから何なのよ?不吉な事ばっかり言って」


「えぇ・・・フラグを折ってるんだよ?」


何を言ってるんだコイツは。


「2人ともそろそろ戦闘開始の時間だよ!!」


ヒルデが私達に告げる。

私達が揃って移動するとシャドーが墓石のまわりを飛び回っている。


「何で既にシャドーが墓石から出てるの!!」


ヒルデが呟く。


「そりゃ全滅したパーティが出現させて、そしてやられたからじゃない?」


向こうからもパーティが来てるのが見える。

その中に大師坊さんがいるのが確認できた。

大師坊さんがいるパーティって事は野良パーティか。


「シャドーを出します!!」


野良パーティに聞こえるように叫んで魔法を使う。


「ファイアサークル!!」


【魔力操作】を使って範囲を広げ魔法を放つ。

範囲を広げるとMP消費は増えるのに威力は下がると言うデメリットしかないが、今回は墓石にヒットさえすればシャドーが出現するから丁度いい。


「エリザ、おつ!!」


私の隣で長弓を構えて矢を放つヒルデ。

先頭に立ち、魔物を挑発して引き付ける大盾の技『アテンション』を使い、自分に向かって体当たり攻撃をしてくるシャドーを大盾で受けつつ、機を見て手斧を投擲するサンドラ。


「・・・」


・・・シャドーを発生させる大役を終了した私は特にこれといった有効な攻撃が無いので、サンドラが受け止めたシャドーを棍で殴る。


「ちょっとエリザ邪魔!!」


サンドラに叱られる。


おかしい。

ギリギリの戦いのハズなのに邪魔者扱いされる。

いや、ギリギリだからか。


ヒルデとサンドラがシャドーを倒し終えると、場所を移動してやっと私の出番。

範囲魔法で墓石からシャドーを発生させる。

そしてまた棍を構えて待機・・・。


長弓を撃ってるヒルデの代わりにHPが減ったサンドラにHPポーションを投げ付け回復させる。

こんな時の為に私も回復魔法を取った方が良いのかな・・・。

そんな事を考えながら戦闘を見ていると、遠くで戦ってる大師坊さん達の野良パーティが目に入った。

ソロや常に野良パーティで戦ってる為か、個々人が近距離攻撃と遠距離攻撃をそれぞれ持ってるのが見える。いわゆる万能型のスキル編成だ、


大師坊さんは俗に言うタンクヒーラーで方盾を持ちシャドーを引き付けメイスを振り回し、更に自ら回復魔法も使ってる。

別の人は短弓を使って連射攻撃してるが、そのまわりには魚の魔物が2匹飛び回り攻撃魔法と回復魔法を使ってるのが分かる。調教か召喚スキル持ちなのだろう。

更に味方にバフ、シャドーに対してデバフを使ってる人や長い鞭を使ってシャドーを攻撃してる人もいる。


うーん。他のプレーヤーの戦闘スタイルを見るの結構面白いかも。

そんないつになくマッタリと戦闘を長めながらポーションでの回復役をやっているとサンドラから声を掛けられる。


「エリザ~もうポーション回復止めて!!足に力が入らなくなってきた!!」


ポーションって飲まなくてもポーション酔いって発生するんだ・・・。

つまり、ポーションを魔物にある程度投げ付け続ければ魔物をポーション酔いに出来る?

そんな考えが頭を過ぎるがコストパフォーマンスを考えると無理にやる必要は無いのかな?


「エリザ、前衛をサンドラと代わって!!サンドラを魔法で完全回復するから!!」


ヒルデの指示が飛ぶ。

待ってました。やっと私の出番。

20分近く魔法使ってなかったので少しはMPが回復してる。


「ウインドショット!!」


向かってくるシャドーに魔法を撃ち込むと棍を構えて走り出す。


「何で突撃してるの!!その場で凌ぐだけで良いのに!!」


「見てて!!新しく覚えた魔法を披露するから!!」


シャドーを殴り付け別のシャドー達に魔法を放つ。


「ウォーターボール!!」

「ソイルボール!!」


空中を浮遊して徘徊してたシャドー達に魔法が当たりシャドー達が私を攻撃のターゲットと認識したのが分かる。


「さぁ、こっちにおいで!!」


シャドー達が私の近くに接近したのを確認して新魔法を使う。


「ファイアボム!!」

「ウインドボム!!」


私を中心に360°周囲を火と風の衝撃波が広がる。

その衝撃波を受けてシャドー達は吹き飛ばされる。


「どうの?私の新魔法は!!・・・あれ?」


スキルレベル20で覚えたボムの魔法は私を中心に半径3mぐらい衝撃波が広がりダメージを与える魔法だ。

もちろん周りに居る味方にも影響があるのでパーティで戦ってる時には使いにくい。

ドヤ顔で吹き飛ばれたシャドー達を見ると、何も無かったように再びこっちに向かってくる。


「えっ、なんで!?」


「この馬鹿エリザ!!シャドーは魔法効きにくいの忘れたの!!三歩歩くと忘れる鶏頭なの!!」


ヒルデの素の怒号が飛んでくる。

・・・うん。思いっきり忘れてた。


向かってくるシャドーの体当たり攻撃を棍で受け流す様に躱し、次のシャドーの体当たりを棍で殴って迎撃する。

しかしその次の体当たりをモロに横っ腹に受けて吹き飛ばされる。


「こっんの!!」


直ぐさま立ち上がり棍を構え直し、再び接近戦を試みる。


「シァァォァァ!!」


叫び声が耳に入ると身体の動きが一瞬止まった。

シャドーの叫び声によるスタン攻撃だ。


シャドー達が動きの止まった私に向かって飛んでくる。

あ、ヤバっ・・・。

諦めかけたその時に私の頭の脇を何かが横切ってシャドーにめり込む。


「エリザ、油断しすぎ。真面目にやらないと」


サンドラが手斧を投げてシャドーを倒してくれた。

更に矢がシャドーを撃ち落とす。


「エリザ、後で説教ね」


ヒルデの声がする。

ヒルデを方を見ると仲間のピンチを助けるのを英雄っぽく思えて嬉しいのか長弓を構えたまま微妙にドヤ顔をしてる。


「まさか魔法か殆ど効かないなんて罠があるとは。でももうその罠は通用しないよ!!」


自分でも苦しいと思いつつも言い訳をしながらシャドーを棍で殴り光と変える。


それから約10分後にこのエリアのシャドーを全滅させた。


「エリザさん達、お疲れさま!!」


「大師坊さん達もお疲れさまです!!」


私たちは大師坊さん達のパーティと合流して挨拶を交わし他のエリアの状況を確認し休憩する。


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