表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/115

装備購入

宿屋から出る時に女将さんに声を掛けられた。


「あんたら異界人なら装備を買いに行くのかい?装備を買いに行くならこの宿の脇、馬車置き場の脇の路地を通って少し行くと[日陰屋]って装備屋があるからよかったら行ってごらん。たぶん混んでないよ」


特に他に当ても無いので言われた通り宿の隣の馬車置き場の脇を通り[日陰屋]に向かってみる。


その時に馬小屋を覗いたけど、改めてここには泊まりたくないと思った。

まずは臭い。馬さんの落とし物の臭いが凄い。

そして馬小屋には屋根はあるのだけど、壁が1メートルぐらいの高さまでしかない。

そこから屋根までは何も無い。

つまり虫とか入って来そうなのである。田舎暮らしなので虫は平気で触れるけど、ゴキブリも平気で退治出来るけど・・・寝てる時に顔の上をカサカサと歩かれるのは勘弁して欲しい。

このゲームにゴキブリが居るか分からないけど、蜘蛛とかトカゲとかは居そうだし。

五感で感じるVRMMOと言ってもそんなものを五感で感じたくない。


そんな事を考えながら歩いてると[日陰屋]と看板が出てる店に着いた。


扉を開けて入ると店主らしき人が出迎えてくれる。


「いらっしゃい。買い物かい?」


んっ?買い物以外に何かあるのだろうか?

ま、今はどうでも良いか。

中肉中背の四十過ぎぐらいの店主らしき人の問いに答える。


「はい。私たちは異界人なんですが装備を一式買いたいなと思いまして」


「あぁ、初心者装備とワンランク上の装備があるけどどっちがいい?」


いや値段も言わずどっちが良いと言われても・・・と私が戸惑ってると、ヒルデが質問する。


「初心者装備とワンランク上の装備ではどれくらい違うんですか?」


「ん・・・物によって差違はあるけどだいたい1.3倍ぐらいになるぞ」


「値段はそれぞれいくらですか?」


私が聞く。


「初心者装備はどれも1つ10000マニ。ワンランク上の装備は15000マニから20000マニぐらいだな」


私が欲しい装備は、武器の長杖と鎧代わりのローブの2つ。

ヒルデとサンドラはこれに盾とサブ武器で全部で4つ。

1つ20000マニだとしても4つで80000マニ。

宿代を払ったけどまだ90000マニとちょっとあるからワンランク上の装備を買っても今晩や明日の食費も残る。


「どうする?ギリギリ買える値段だけど・・・」


「私は強い装備の方が強い魔物を狩れるから、稼ぎも増えると思うよ?」


「私もワンランク上の装備で良いと思う」


そんな話をしてると店主が話に割って入ってくる。


「嬢ちゃん達、あんまりお金を持ってないのかい?ならワンランク上の装備を買うより初心者装備の方を勧めるぞ」


「どうしてですか?」


「装備には耐久値ってのがあってな。使って行けばそれが減る。耐久値が0になるとその装備は壊れて無くなっちまう。その為に耐久値が減ったらその都度メンテナンスに出して耐久値を回復させないといけない。それに費用が掛かる」


あぁ、よくあるパターンの設定だ。

1日の最低限の稼ぎはメンテナンス費用も加算しないとダメなのか。

納得してると店主が更に続ける。


「だが初心者装備はなぜか耐久値が減らないんだ。だから金が無いなら初心者装備の方が金を貯め易い」


「なるほど。そんな救済措置があったのね」


隣でヒルデが1人で納得してる。

でも私は思う。


初期資金で一式揃えられるワンランク上の装備が売ってたら普通だったらそっちを買うだろうと。

ヒノキの棒と銅の剣が売ってたら銅の剣を買うのがゲーマー心理じゃないのかな?と。

そう考えると運営の意地の悪いトラップの気がする。


「なら、初心者装備の長杖と魔法使い用のローブを下さい」


私が注文すると店主が戸惑った顔をする。


「お嬢ちゃん、真っ裸でローブを着るのかい?中に服を着た方が良いと思うぜ?あと初心者用の靴も買った方が良いな」


私はゲームでも痴女プレイはする気がないので素直に店主の意見に従う。

初心者用の長杖、初心者用の服、初心者用のローブ、初心者用の靴で4点。合わせて40000マニ。


ヒルデとサンドラもそれぞれの装備と中に着る初心者用の服を買った。

靴は鎧に含まれてるらしく買う必要はないらしい。

何か納得がいかない。


お金を渡して装備を受け取るとまたも店主がアドバイスをくれる。


「異界人なら【収納】と念じれば持ち物は収納できるだろ?」


言われるままに【収納】と念じてみる。

持ってた装備一式が淡い光を発して消える。

メニュー画面を開いて【持ち物】と書いてある部分を触れると、そこに買った装備一式が収められてる。

収納は全部で20マス。つまり20種類。同じものなら1マスに9個までまとめて収納できるようだ。


メニュー画面から【装備】を選んで一式を装備する。

自分の身体の周りが淡く光って、手には初心者用の長杖、身体は初心者用のローブを着た姿になった。

足には初心者用の靴が装備されてる。

初心者用の杖はよくある魔法使いが持ってるような先が丸まって太くなってる木の杖で、ローブは紺色で頭から被るタイプでフードも付いてる。

靴は皮袋に足を入れて紐で縛る簡易なもの。

ローブの襟から中を覗いて見たら、ベージュの長袖の服と長ズボンを履いてた。

私はフードを被らず髪をローブの外に出した。

白い髪と紺色のローブのコントラストが中々悪くない気がする。

なんか隠居した熟練の魔法使いっぽくていい。


これで初期の緑色の服とお別れだと思うと少し寂しい気がする。


ヒルデとサンドラも買った物を装備していた。


ヒルデは額、胸、前腕、腰をそれぞれを守る革の部分鎧と膝下まである革のブーツを履いてた。

腰の左側には鞘に入った70センチぐらいの剣をぶら下げ、左腕にはバックラーと言うのかな?小さめの丸い盾を括り付けてた。


サンドラはブリキのような全身金属鎧を着て、頭も顔も隠れる金属兜を被り肩まである赤い髪が兜からはみ出てる。

腕には大きめの縦長五角形の金属盾が括り付けてあり、柄の短い片手用の斧を右の腰の脇にぶら下げてる。

背中の腰の辺りには投擲用だろう一回り小さい手斧が1つ吊り下げてある。


装備一式を買って私の残金は55350マニ。

ヒルデとサンドラは45350マニ。


着実にお金が減っていく。

早く狩りをして稼がないと。



この回を書き終えて保存しようとして間違って全て消してしまい、精神的ダメージを受けました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ