NPCを探せ
宿屋の部屋から出て、食堂で少し遅い朝食を食べる。
「で、イベントに参加するのは決定として、どうする?」
今後の方針を聞いてみる。
まずは王都のNPCに悩み事を聞いて頼み事をされないと何も始まらない。
「とりあえず王都をブラついて、何かトラブルに巻き込まれるのを待ってみる?」
ヒルデは何か別のテンプレを想像してるんじゃないのだろうか?
暴漢に襲われてる町娘を助けるみたいな。
「それもなんか消極的だねぇ。他に何か方法は・・・王都にNPCの知り合いに聞いてみるとか?」
サンドラの意見を少し考える。
「NPCの知り合いか・・・南の街なら何人か居るんだけどなぁ・・・」
訓練場のナバロさん、冒険者ギルドのお爺ちゃんのディーニさんとか。
「ヒルデは?」
「私も行った事あるお店は何軒かあるけど、知り合いと言う程のお店は無いね」
「ん・・・強いて言うなら東門近くの宿屋[馬耳亭]女将さん、初期装備を買った[日陰屋]の店主さんぐらい?」
「あ、エリザは[日陰屋]の店主さんに装備の相談にのって貰ったんだっけ?」
「うん。だけど今は装備を別の店で新調しちゃったからねぇ顔を出しにくいなぁ・・・」
「なら装備を脱いで行けば良いんじゃないの?どうせ王都から出ないんだもの。武器と防具は全部外して服だけで問題なくない?」
ヒルデが小学生レベルの解決策を言い出した。
服や靴も新調してるんだから直ぐにバレると思うんだけど。
まぁ、いっか。ゲームだし。
「じゃ、装備を外して[日陰屋]に相談しに行ってみる?」
「えぇ、それで良いの?なんか幼稚」
サンドラもヒルデの案には抵抗があるみたいだ。
「なら、何か手土産でも持ってく?お菓子かお酒か」
「それならまだ売ってない西の湿原の素材が残ってるから、それを手土産にしようよ」
「そうしよっか。[日陰屋]で情報を得れなかったら[馬耳亭]の女将さんに話を聞きに行く感じで」
私たちは武器も防具も装備を外して【収納】にしまい服姿になる。
ヒルデとサンドラはいつもはまとめてる髪も今日はおろしてる。
身支度が済み、泊まっていた宿屋を出て[日陰屋]に向かう。
第2陣が参戦して間もないからか、イベント中だからか王都を歩く人が多い気がする。
やはり頼み事を受注する為にNPCを探して歩いてるんだろうか?
「こんにちは!!」
[日陰屋]の扉を開けて中に入り挨拶する。
「はいよ。ってお嬢ちゃん達か、久し振り」
「はい。御無沙汰してます。今日は素材を売りにと、あと何か困り事がある人を紹介して貰えないかと思って着ました」
「あぁ、何やら異界人が困り事を解決してくれるんだってな。昨日から話題に成ってるよ」
お、何気に情報が早いなおっちゃん。
まともに客が来てないみたいなのに。
「えぇ、それで何か情報は無いかと思いまして」
あれ?何で私が中心に成って話してるんだろ?
「それを俺に聞かれてもな・・・あ、困り事じゃないけど手伝いならあるぞ?」
「困り事じゃないけど手伝いですか?」
「あぁ、近くの集会所でな子供たちを集めて夏祭りをやるんだが子供と遊んでくれる人員を探してるんだよ。どうだい?3人でやってみるかい?」
「それ面白そうねぇ。やってみよっか?」
「えぇ?困り事じゃないならイベントポイントが入らないかもよ?」
サンドラとヒルデがコソコソと話してる。
「はい。じゃ集会所に行って話を聞いてみれば良いんですかね?。あ、これ情報料です」
2人を無視して話を進めて、御礼として湿地の素材を幾つか取り出す。
「おう[日陰屋]から話を聞いたと言えばすんなり話は進むと思うぜ。あと要らねぇよ情報料なんて。売る気があるなら全部出せ正規の値段で買い取りするから」
さすがに話だけ聞いて何も無いでは申し訳ないので、普通の買い取りでも利益は出るだろうと3人で持ってる素材は買い取って貰った。
「それじゃお邪魔しました」
「はいよ。毎度どうも。今後とも御贔屓に」
挨拶をして店を出て教えて貰った集会所に向かう。
「ねぇちょっとエリザ、決めるなら一言相談してよ」
店を出るなりヒルデに怒られる。
「いやだって、あそこでコソコソと相談するのもなんか失礼だなと思ってさ。それに他にアテが無いんだから受ける以外に選択肢が無いと思わない?」
「それはそうだけどさぁ・・・なんか私が蔑ろにされてる感じでなんか嫌」
「あぁ、ごめんごめん。次は同意を得るからね」
ヒルデの御機嫌を取りながら歩いてると直ぐに教えて貰った集会所に到着する。
広いグラウンドの奥にある木造平屋の建物。古い道場とか武道ってイメージがピッタリくるような建物だった。
建物の玄関先に管理人?いや事務員?のおばさんを見付けて話し掛けた。
「すいません。ここで子供会のスタッフ募集してると聞いてやってきたんですが手伝えますか?」
「えっと・・・あなた達は?」
おばちゃんは少し困惑したような感じでに見える。
「あ、私たち異界人です。[日陰屋]の店主さんから子供会の話を紹介されて、ぜひ手伝いたいなと思って来ました」
あれ?なんでここでも私が中心に話をしてるんだろう?
人見知りのヒルデはいつも通りだとして、サンドラは何をしてるんだろ?
「あぁそう。[日陰屋]の旦那さんからの紹介なのね。それなら大丈夫かな。最近は子供好きなんて言って子供に悪戯する人も居るからねぇ。こっちも手伝って貰う人には気を付けてるのよ。ま、3人とも女の子だものね大丈夫よね。それじゃ手伝って貰おうかな」
なんか随分と怪しまれてたみたいだ。
ま、確かに見ず知らずの人に子供会を手伝ってと言われても責任者としては対処に困るのは分かる気がするけど。
と言うか[日陰屋]のおっちゃん何気に信頼されてるんだなぁ・・・名前を出したら即採用とか。
・・・でも私、[日陰屋]のおっちゃんに会ったの今日で3回目なんだけど大丈夫なのか?そんなのを紹介して。
いや、紹介して貰えたのはありがたいけどさ。
「あ、私はエリザと言います。こっちの赤いのがサンドラで、こっちの黄色いのがヒルデです」
「よろしくお願いします」
「頑張ります」
「私はマヌエラ。よろしく頼むわね。じゃ早速だけど子供会は明日なのよ?今日も手伝ってくれるなら会場の飾り付けか料理の手伝いをお願いしたいんだけど良いかな?」
「あ、私たち料理は自信ないので飾り付けやらせて貰って良いですか?」
「大丈夫よ助かるわ。それじゃ材料は入口にあるからこの先の講堂の壁の飾りを作って飾り立ててね。あっ正面は1番派手にお願いね。そうそう、明後日には老人会があって飾りは使い回すから子供っぽく成り過ぎないようにお願いね」
マヌエラさんにざっくりと作業内容を説明され丸投げされる。
そして子供会だけじゃなく老人会の手伝いも依頼されてしまった。
これで今日の3Qは子供会、4Qは老人会と立て続けに頼まれ事が。
しかしマヌエラさん話好きなタイプのおばちゃんだな。
集会所の職員だから話好きなのは適材適所か。
「ねぇ、エリザ。私もサンドラもエリザと違って料理はそれなりに出来るよ?一言相談して同意を取るって話は何処いったの?」
「ヒルデ落ち着いてよ。エリザの判断は正しいと思うよ?私たち【料理】スキル持ってないんだからさぁ」
2度目で若干キレ気味で問い詰める口調のヒルデをサンドラが止めてくれる。
「あっ、そっか【料理】スキルか・・・。ごめん私がはやとちりしたゃったわ」
いや、私はリアルでも自分で食べられるレベルの料理は作れるからね?
人様に出すレベルの料理では無いってだけで料理は出来るからね?
心の中でそう思うが口に出すと面倒臭くなりそうなので黙っとく。
その日は夕方まで掛かって講堂の飾り付けをするだけで終わってしまった。
これマヌエラさん1人だったらどうしたんだろう?飾り付けを軽く済ませたのかな?




