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裏口の先は

翌日、朝食を食べ宿屋から出るとナバロさんに教えられた通り魔物の情報を聞こうと冒険者ギルドに向かう。

冒険者ギルドの裏口に回りドアを恐る恐る開ける。


「・・・すいません。お邪魔します」


中に入るとそこは机が並んでいて、ギルド職員の人達が事務仕事をしている。


「そこの人、ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ?」


私の姿を見付けた職員さんが声を掛けてくる。

えっ?関係者以外立ち入り禁止?魔物の情報は?


「すいません。魔物の詳しい情報を教えて貰うには裏口から入れと言われたんですけど・・・」


「はい?冒険者ギルドではそのようなサービスはありませんよ?」


「えぇ!?そうなんですか?」


「いったい何処でそんな話を聞いたんですか?」


「あの・・・西の訓練場のナバロさんと言う人に・・・」


「ナバロさん?あぁ、あの人ですか。まったく」


職員さんが呆れたようにボヤく。

知り合いなのだろうか?


「ナバロさんを知ってるんですか?」


「えぇ、あの人は元ギルド職員なんですよ。実家の訓練場を継ぐ為に辞めましたが、今でも色々とギルドの仕事を手伝って貰ってまして」


ん・・・?準ギルト職員って感じなのかな?

訓練場だけでは食べていけなくてアルバイトで家計を?


「賑やかだね。どうしたんだい?」


んっ?謎のお爺さん登場。

もしかして偉い人?

あれ?だんだん大事になってる?


「あ、ディーニさん。こちらの方がギルトで魔物の詳しい情報が聞けるとナバロさんに嘘の情報を教えられたみたいで・・・」


「魔物の詳しい情報を?」


「はい。冒険者ギルドの裏口から入って聞けば教えてくれるとナバロさんに聞いて来たんですが、どうやら騙されたみたいです」


「ほぅ、そりゃ災難だったね。あいつは悪戯好きな所があるからな。まぁせっかく来たんだから、ワシで良ければ知ってる事なら教えてあげるよ?」


「えっ?良いんですか?」


「あぁ、いいよ。ワシも今は仕事が無くて暇してたからね」


あれ?お爺さん、ちょっと嬉しそうだ。


「それではディーニさん、お願いします」


職員さんはディーニさんと言うお爺さんに私を頼むとその場を去ってしまった。

あれ?私、厄介者?

確かに勝手に裏口から入ってきてサービス以外の事を求めてるんだから厄介者だよね。


「あ、私はエリザといいます。よろしくお願いします」


「ワシはディーニだ。歳だから退職したんだけどね、色々とあって今も書類整理の手伝いで雇って貰ってるんだよ」


そんな人が私と話して仕事をサボってて良いのだろうか?

職員の人が私の事を丸投げしたと言う事はこれも仕事のうちなのかな?


「それで魔物の詳しい情報だったかな?何処の魔物の情報が欲しいだい?」


「この街の南東の森です。1度狩りに行ったんですけど丸い鳥や大蛇や狼に酷い目に遇わされまして・・・それをたまたまナバロさんに話したら、ちゃんと情報収集しないとと言われまして」


「南東の森?大森林か・・・あそこは適切な情報を知って対処すればある程度は安全に狩れる魔物が多いからのぅ」


えっ?あそこの魔物を安全に狩れる?

スキルを上げる訳じゃなくて?


「えっと・・・それはどうすれば?」


「例えばスフィアバード、あの丸い鳥はのぅ、スフィアバードの魔法の届かない射程から攻撃すればいいんじゃ。アイツらは自分からは近付いて来ないからのぅ」


あ・・・確かに言われてみればそうかも。

遠距離から魔法を撃ってくる鳥に、更に遠距離から攻撃して仕留めるか・・・。

ヒルデの長弓なら魔法より射程が長いから可能なんだろう。


「遠距離攻撃は弓や力を強化した投擲、魔法の中にも遠距離攻撃魔法があるから好きなのを選べばいい」


「えっ?魔法にも遠距離攻撃魔法があるんですか?」


「んっ?エリザは魔法メインじゃないのか?たしか土火水風のそれぞれの魔法のレベル15で使えるようになるはずじゃぞ?」


「あぁ、まだそこまで魔法スキルのレベル高くないんです・・・」


「それで大森林に挑んだのか?それはちと無謀じゃないのかのう?」


「レベル低すぎですか?」


あれ?南の街の北側で余裕を持って戦えるようになったから南東の森に挑戦したんだけどな・・・。


「そうじゃのう。一般的には遠距離攻撃魔法を使えない魔法使いが行く場所ではないのぅ。まぁ他のスキルレベルやパーティーメンバーにもよるから一概には言えんがな」


あれ?やっぱり早過ぎたのかな?

それでも一応聞いておくべき事は聞かないと。


「それで他の魔物の情報も教えて貰えますか?」


「ミストスネークは毒霧を吐こうとしたら下顎を殴って無理矢理に口を閉じさせれば吐くのを防ぐ事が出来る。ブレーバリーウルフは煙幕を焚くんじゃ。香辛料を混ぜて煙幕を炊けば奴らの視覚と嗅覚を鈍らせられるから有利に戦える」


なるほど。

魔物の特性を消すアイテムを予め用意して置くのか。

ま、私たちはその特性を知らずに初見殺しされたんだけど。


「ありがとうございます。これで南東の森、えっと大森林でも何とか戦えそうです」


「あぁ、そう言えばエリザは街の北ではどんな戦い方をしてたんじゃ?」


あれ?解放して貰えない?

もう少し話をしてけと?


「私たちのパーティーは斧を使う重戦士と回復魔法を使う近接魔法両方こなす軽戦士と魔法使いの私の3人パーティーで・・・」


ディーニさんは暇してたのか話好きなのかなかなか解放してくれず、私としても聞きたい情報だけ聞いてハイさようならとは言い出せず、お昼まで数時間も話に付き合わされてしまった。


冒険者ギルドを出てお昼を食べようと近くの食堂に入るとテーブルに座ってた人から声をかけられた。


「あ、エリザさん!!この間はありがとうごさいました」


えっ、誰?

あ・・・どこかで見た事ある。えっと・・・。


「ニコ・・・さん?」


先日、街の北で戦闘に助太刀したパーティー、ニコさん、トーマスさん、あと・・・その他大勢の人達。

人の名前と顔を覚えるのが苦手だ。


「エリザさんもこれから狩りですか?それとも帰りで?」


「いぇ、私は色々とあって街中の観光です。ペットカフェに行ったり、訓練場に行ったり、ギルトの生き字引とお茶したりと。ニコさん達は狩りの帰りですか?」


ニコさん達のテーブルを見るとアルコールのようなものがあったので打ち上げなのだろう。

まさか酔ったまま午後も狩りに行くのだろうか?


「僕たちは狩りの後の打ち上げです。狩りの後に飲むのが定番化してしまって」


「ここで飲んでもログアウトすれば酔ってないのが良いね。人間駄目にするかもこれ」


えっと、ドイルさんだっけ?ヴィルさんだっけ?

良い感じに出来上がってる。

絡まれないようにしよう。


「それより訓練場なんてあるんですか?」


「はい。私もたまたま発見して誘われるままに体験してみたんですが、教官が付いてくれて戦い方のアドバイスを貰えて色々と勉強になりましたよ」


その教官に騙されて今日の午前中は茶飲み話になってしまったんだけど。


「面白そうですね。あと数日で第2陣が参戦しますから先にプレーしてた者として抜かされたくはないですから頑張らないと(笑)」


あと数日で第2陣の5000人が参戦するんだっけ?

王都は混雑するんだろうな。

もし死に戻ったりしたら第2陣の新人プレーヤーから白い目で見られるのかも。

今まで以上に死なないように気を付けないと。


そのままニコさん達と雑談をしながら食事を済ませ、まだ飲んでるニコさん達に挨拶をして食堂から出る。

あまり知らない人達と話すのは気疲れする。


そして宿屋に戻りリアルでも食事をする為にログアウトする。


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