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ゲーム開始

気が付くとそこは真っ白な空間。

空にゲーム開始のカウントダウンと思われるデジタル時計が浮かんでる。


「凄い!!夢の中で意識があるみたいな感覚♪」


自分の手を見てみると現実の自分の手とは違う手が見える。

手を握っては開いていわゆるグーパーを何度かして思い通りに動く事を確認してみる。

次にジャンプしてみる。当然ちゃんと動く。


服装は薄い緑色の半袖シャツとハーフパンツ。

襟と袖口、パンツの裾に白で縁取りがされてる。


「初心者服?若葉マークみたいなものか・・・。囚人服じゃなくて良かった」


「頼む!!出してくれ!!おら無実だ!!」


変なテンションになってきて誰も見てない(はず)事を良い事に寸劇をしてみる。


そんな事をして遊んでるとカウントダウンが0に近付いていき、F1のスタートのカウントダウンみたいな音が響き渡り数字が0になった瞬間に真っ白な空間がガラスの様に砕け散り人混みが現れる。


人混みの中で辺りを見渡すとそこは野球場のようなコロッセオのような周りに客席がある巨大な広場の中。

スタートダッシュを決めようとしてるのか競うように次々と幾つかある出口からコロッセオの外に出ていく人たち。


それを見ていると頭の中に「ポーン」と電子音が響く。

目の前にプレートのような画面が現れて、画面の中で封筒マークが点滅してる。

そこを指で触ってみると、メッセージが表示される。


『2人とも何処にいるの?私はコロッセオのド真ん中に移動したよ。金髪ウェーブの碧眼。片手を上げて一本指を立ててるから見付けて声掛けて。合言葉は「お嬢さんオジサンと楽しい事しない?」』


ヒルデと書かれた差出人のメールには何処まで本気か分からない内容が書かれていた。


このノリは多分、凜だ。

遅れると怒られるからさっそくスタジアムの中央に向かって歩いて行くと・・・いた。


小柄で可愛らしい金髪ウェーブの女性が空に向かって一本指を立ててる。

周りからちょっと白い目で見られてる。

私、あれに話し掛けるの?

悪戯心が放置プレーしようと囁いてくるが、自重して話し掛ける。


「凜、あんた何やってるの?」


「・・・えっとその口調は葵?ゲーム内でリアルネームを呼ぶのはマナー違反よ?今の私はヒルデ。そっちの名前は?」


「ごめんごめん。私はエリザ。見ての通り魔法使いよ」


クルリと回って姿をヒルデに見せる。


「・・・魔法使いっていつからデコっぱちになったの?」


「デコっぱちじゃないから。ちゃんとおでこの広さや生え際の形を調整して狭めにしてるから!!」


そんなやり取りをしてると不意に後から声を掛けられた。


「お、お、お嬢さん、お、オジサンと楽しい事をしない?お、お小遣いたっぷりあげるよ」


「・・・」


「ごめんなさい。間に合ってます」


「駄目!!エリザ。反応しちゃ駄目。スルーしないと!!」


「ちょっと!!あなたが決めた合言葉でしょ!!」


「ごめんごめん。まさか本当に言ってくるとは思わなかったから(笑)」


「えっ、葵は言わなかったの?」


「いや、普通は言わないでしょう・・・。あとリアルネームで呼ぶのはマナー違反だからね?」


「あ、ごめん。えっとヒルデと・・・何子ちゃん?」


「何子ちゃんって今どきお婆ちゃんでも言わないよ?私はエリザ。そっちは?」


「私はサンドラだよ?カサンドラからとったの」


ちょっと自慢気味にサンドラが胸を張る。

うん。この子はたまに訳わからん。


「なぜカサンドラ?とりあえず合流できたからコロッセオの外に出ましょう」


ヒルデの提案に賛同し移動し始める。


とりあえず適当な出口からコロッセオの外に出るとそこは良くありそうな中世ヨーロッパ風の街並みがあった。

少し遠くには、お城のようなものも見える。


「ん・・・とりあえず落ち着いて話せる場所を探そう」


「えっ?スタートダッシュ決めないの?折角のサービス開始から始められたのに」


「はぁ・・・これだから初心者は」


「3人とも初心者だよね?」


「このゲームの初期発売数は5000本。全員が開始と同時にログインした訳じゃないだろうけど、数千人がこの街の武器屋にダッシュして、街の外の狩場に殺到してるのよ?混んでて効率が悪いって」


「おお・・・。確かに」


「急がば回れって言うしね」


「と言う訳で、私たちは今後一緒にプレーするんだから、今後の方針を話し合うの」


「それゲームが始まる前でも良かったんじゃないの?」


「分かってないわね。サンドラ。このゲーム内はリアルより時間の流れが緩やかなの。リアルの1時間はこのゲーム内では4時間なんだよ?こっちでやった方が時間が有効に使えるの」


「なるほど・・・」


「じゃ、あそこ喫茶店みたいだからお茶しながら話す?」


「そうだね」


喫茶店に入り紅茶のセットを注文する。

直ぐにティーポットに入った紅茶とカップ、お茶請けらしいクッキーみたいなものが1人2枚運ばれてきた。


「と言う訳で、私たちはゲームを始めました。ここまではいい?」


「「はーい。先生」」


「私たちがそれぞれ今持ってる持ち物は何がありますか?サンドラさん?」


「えっと・・・お金が99350マニ?あと[スキル変更券]が1枚」


「はい良くできました。始めは10万マニを持ってましたが紅茶セット650マニを注文したので残りはこれだけです」


「凄い無駄遣いした感が・・・」


「残りのお金でそれぞれの武器と防具と冒険に使う道具、当面の生活費を捻出します」


「先生!!この[スキル変更券]って何?」


「サンドラさんは説明書やゲームホムペは読まないタイプかな?」


「えっ!?ヒルデが『私が教えるから大丈夫』って言ってたから任せたのに・・・」


「丸投げかい(笑)」


「では説明しましょう。このゲームはスキルを10個装備してプレーします。スキルは色々と有って、剣スキルを装備すれば剣が上手く扱えるようになって、木登りスキルを装備すれば木登りが上手くなり、魔法スキルを装備すれば魔法が使えるようになります」


「おお・・・」


「そしてスキルを外せば、使えなくなります。スキルを入れ替えてその場その場に有ったスキルを使う事で攻略し易くなります」


「なるほど」


「でも、世の中そんなに甘くありません。スキルを変更できる場所は限られてます。今だと宿屋か野営中のテントの中、家を買って自宅を持てば自宅の中とこの3カ所でしかスキルを変えられません」


「それでそれで」


「でも宿屋に泊まるにはお金。このゲームで言うマニがかかります。[スキル変更券]を使えばこの場で宿屋代を払わずスキル変更ができます」


「じゃ、さっそく券を使ってスキル変更してみるね」


「「ちょっと待った!!」」


「えっ?2人ともどうしたの?」


「スキルはスキルポイントを消費して獲得するのよ」


「そしてスキルポイントは最初は15ポイントしか持ってないの」


「だから、御利用は御計画的に」


ヒルデがニヤリと笑った。


誤字修正しました

20201002

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