森の奥へ
「あ、小川だよ?」
森を更に進むと川端は1メートルぐらい深さは膝まで無いぐらいの小川が現れた。
「ゲーム的に考えて、ここで水を汲んだりアイテムを拾ったり、この場所専用のモンスターが出るパターン?」
「水遊びする?水は冷たいのかな?沢蟹いる?」
「そんな事より、これぐらいなら飛び越えられるよね?」
「サンドラは全身鎧を着込んでるけど大丈夫?」
「私はパラメータ補正効いてるから大丈夫だよ。誰よりも筋力あるよ?移動速度upのスキルも付けてるし」
「じゃ、さっさと移動しよう。日が暮れる前にログアウトポイントを見付けたいし」
「私は水場があるなら、ここでキャンプしても良いよ?」
ヒルデが突然訳の分からない事を言い出す。
何を言い出すんだコイツは。
「ここじゃ夜中に魔物に襲われる可能性があるじゃん・・・」
「夜に交代で火の番をしながらの野宿って冒険者っぽくない?」
「あぁ、分かる!!それで魔物に襲撃されて真夜中の防衛戦が始まるんだよね。冒険者っぽい」
なぜかサンドラが賛同し始める。
「いやいや、しなくて良い苦労はしなくて良いと思うんだけど・・・」
「サンドラぁ・・・エリザママがノリ悪い・・・。」
「えぇ、私が悪いの?って誰がママよ?」
ガサガサッ
突然、何かがやってくる音が聞こえた。
「なにっ!?」
太股のあたりに衝撃を受ける。
「痛っ!!」
「バッタ!?」
「サンドラ!!盾!!」
ヒルデの指示にサンドラが盾を構えて前に出て、更に後続から飛んでくるものを何度か受け止める。
「なに、これ!?」
「いや、魔物でしょ?エリザはHP大丈夫?」
「1/3ぐらい持ってかれたけど大丈夫」
見ると頭に1本の角が生えたバッタが数匹飛び跳ねて襲って来てる。
問題は大きさ。トウモロコシぐらいの大きさがある。
「お返しするね!!」
「ファイアボール!!」
「ウォーターボール!!」
「ソイルボール!!」
「ウインドボール!!」
魔法を連射するが素早い動きで躱される。
「ちょ!!当たらない!!」
ヒルデとサンドラは盾で受けてバッタの動きが止まった所を攻撃してる。
しかし私は盾を持ってない。
どうする?・・・どうしよう?
考える暇も無くバッタが私に向かって飛んで来る。
「ちょ!!」
咄嗟に手に持ってた長杖でバッタを殴り付けて打ち落とす。
そして地面に落ちたバッタに向かって魔法を放つ。
「ファイアボール!!」
それだけでバッタは光となって消える。
攻撃が当てににくいが当たれば簡単に倒せるタイプの魔物か。
倒し方すら分かればこっちのもの。
向かってくるバッタをタイミングを測って両手に持った長杖をフルスイングする。
そして見事に空振る。
当然向かって来たバッタの体当たりをモロに受けてダメージを受ける。
「ヒルデ!!回復お願い!!HP半分以下になった。後1発受けたら危ないかも!!」
ヒルデに回復魔法を頼む。
ポーションは1本1000マニもするから使用は避けたい。
「死ぬかポーション使うの2択なら、ポーション使いなよ!!1人だけ街に死に戻りする気!?」
ヒルデは怒りながらも回復魔法をかけてくれる。
回復魔法1回でHPバーは全快する。
どれだけHPの量が少ないんだ?私は。
「2人とも!!私1人では無理!!」
珍しくサンドラが助けを求めてくる。
バッタに囲まれて攻撃を受けてる。
あれでも死なないのかサンドラ。さすがフルアーマーの重戦士。
急いでサンドラの援護に向かいサンドラが盾で叩いて地面に落としたバッタを私が魔法で追撃して倒す。
ヒルデは回復魔法でサンドラを回復させ、同じく盾でバッタを受け止め、器用に片手剣で斬り捨ててる。
しばらくしてバッタは全て光となって消えた。
「ふぅ・・・酷い目にあった」
「私、MPの残りギリギリだよ。MP回復待ちしないと回復魔法厳しい」
「でも、バッタの脚が大量に手に入ったよ?バッタの羽根はレアドロップ?」
1番攻撃を受けたハズなのに1番余裕そなサンドラなメニュー画面を見ながら嬉しそうにしてる。
「魔法が当たらないのはキツいな・・・。当てる為の練習をしないと」
「綺麗な空振りだったよね(笑)」
見られてた・・・。
「ねぇ、さっさと小川を飛び越えて移動しよう?ここに居てまた襲われたらちょっと厳しいから」
小川を飛び越えて、何度か戦闘をこなしながら更に奥へと進むと、だんだんとプレーヤーを多く見かけるようになる。
辺りは軽く薄暗くなり灯りを点けてるプレーヤーが良い目印になってる。
「プレーヤーが多いって事はこの先にログアウトポイントがあるはず!!」
ヒルデが自信満々に宣言する。
うん。それは私でも想像できた。サンドラも気付いてると思う。
灯りが多く点いてる方、人が多そうな方に歩いて行くと木々の生えてない開けた場所に出た。
そこは半径100mぐらいの広さで草木が無く土が剥き出しに成った場所。
焚き火を焚いて座って休憩してるプレーヤーが何組がいる。
テントも幾つか設営されててログアウトしてるプレーヤーもいるのだろう。
「やっと着いた・・・」
「私たちも休憩しよう」
「そうだね。ヒルデのMPが回復しないと狩りはキツいからね」
「とりあえず真っ暗になる前にテント張ろうよ」
「ご飯はお弁当だしねぇ」
それぞれ【収納】からランプを取り出し灯りを点けると、テントを出して広げてみる。
丁寧にテントの設営の仕方の説明書まで付いてる。
説明に従ってテントを設営をする。
「このタイプのテントって初めて見たかも」
底に敷くシートと屋根になるテントが別々のタイプのテント。
底に引くシートを地面に広げて、その端にポールを立ててロープを2本ポールの先に引っ掛けて、釘(ペグと言うらしい)でロープを地面に固定する。
もう1つポールを今度は反対側に立てて同じようにロープで固定して、ポールとポールの間にロープを張る。
そのロープに屋根になるテントを掛けてテントの裾を広げてペグで止めて完成。
「これ・・・昭和の頃のテントだよね?」
「安かったから仕方がないんじゃない?」
「私、お金が貯まったら袋から取り出して放り投げるだけで設営できるテントを買うんだ・・・」
「そんなテントがあるの?このゲーム?」
「さぁ。言ってみただけ」
「この後どうする?まだログアウトしてお昼を食べるには少し時間が早いけど」
「はい!!先生!!」
「はい。サンドラ君」
「私、焚き火がしたいです!!」
「・・・採用!!」
【収納】から原っぱで倒した木人形のドロップアイテムの木の枝を取り出し、焚き火っぽく組み上げた。
そこに私がファイアボールを発生させ火をつける。
木の枝に火が燃え移りパチパチと音を立てる。
「あ、なんか癒やされるかも・・・」
「これ、追加用の木の枝ね」
「この火でお肉とか焼いて食べたら美味しそうだねぇ」
「直火で肉を焼くと煤で肉が真っ黒くなるよ?」
ヒルデが素のツッコミを入れる。
「じゃ、お湯を沸かしてそのお湯でカップ麺でもいいや」
「調理器具とか食器類とか買い揃えたら色々と楽しめそうだね」
アウトドアクッキングとか面白そう。
リアルでもやってみたい。
「誰かスキルを取って作っても良いんだよ?料理もスキルを取らないと厳しいだろうし」
「えっ?リアルで料理が出来る人も料理スキル必要なの?」
「なんかマイナスの補正が掛かるってFEOを特集してた雑誌に書いてあったよ?」
雑誌まで買って情報収納してたのかヒルデ。
いやサービス開始まで待ちきれなかっただけかも。
「マイナス補正って?」
「あ・・・例えばリアルでボクシングのチャンピオンがこのゲームの中で打撃スキルを持たないままパンチをしてもヘナチョコパンチになるみたい」
「そうなの?」
「スキルでパラメータ補正が入るから、リアルの身体とゲームの中の身体の筋力が違うし、何となく身体がスムーズに動かなくなるんだって」
「へぇ。そんな事が」
「だから料理スキルを持たない人が料理をしても何となく上手く作れないみたい」
「あ・・・走っても走っても前に進めない夢ってたまに見るよね」
「あぁ、納得」
「でも逆にスキルを取ってスキルのレベルを上げてしまえば、リアルではヘナチョコパンチしか打てない人も、ゲームの中ではドラゴンをワンパンで倒せるようになるかも」
「それは・・・流石にないでしょ?」
「いや、少し誇張したけどね。例えよ?例え」
「じゃあサンドラ、料理スキル取る?」
「ん・・・今はまだいいかな。後で余裕があったらね」
「あ、これ取らないやつだ(笑)」




