表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/115

東の町ブラ

翌日、ログインすると宿屋の部屋では既にヒルデとサンドラがログインしていた。


「エリザ、遅いよ?今日は思いっきり遊ぶんだからね!!」


ヒルデのテンションがいつもより高い。


「おはよ。日曜日の子供じゃないんだから何でそんなにテンション高いのよ?」


「おはようエリザ。ヒルデはあれよ。日曜日の子供。普段は寝坊するのに休みの日だけは早起きみたいな」


慣れた感じでサンドラがヒルデの状態を説明する。


「あぁ、興奮して眠れなくなるみたいな感じね」


「失敬な。私は掲示板すらまともに見ない2人に代わって、東の町の観光スポットを色々と調べてきたのよ?」


「それはそれはお勤め御苦労様でございます。これからも情報収集は一任するのでよろしくお願いします」


私は丁重にヒルデに御礼を言う。


「丸投げかい!!まぁ良いけど。あ、そうそう2人は【調教】スキルをセットして宿屋を出た方が良いよ」


「うん。今日は街から出て戦闘する予定が無いからシエロとずっと一緒に過ごす予定だよ」


既にシエロを呼び出して膝の上にぬいぐるみのように抱えてるサンドラはいつも通りの対応な気がする。


「じゃ、私もアインとラメドを呼び出して連れて歩こうかな。街中をリード無しで放して一緒に歩くなんてリアルでは出来ないし」


宿屋で朝食を食べ、外に出るとアインとラメドを呼び出す。


「いい?勝手に離れちゃ駄目だよ?お店の物を勝手に食べても駄目だからね?あ、拾い食いも駄目だよ?」


「「ウォン!!」」


「・・・過保護ねぇ(笑)」


私がアインとラメドに街中での事を言い聞かせてるとそれを見たヒルデが笑う。


「何言ってるの?ペットの躾は飼い主の義務だよ?訓練されてない犬は犬じゃないって人まで居るんだから」


「エリザ・・・アインとラメドは犬じゃなくて狼でしょ?」


「狼だからよ?犬が出来る事は狼は当たり前に出来ないと」


「うわ・・・子供から嫌われる教育ママじゃないんだから・・・」


私の発言に軽く引いた目で見るヒルデ。


「良いの。ペットが粗相してもあらあら~とか言いながら笑ってる飼い主よりはマシだと思うから」


ヒルデが先頭に立って街の中を歩く。

行き先はヒルデ任せ。

サンドラは鎧を脱いで服を着てるだけの状態で、方に【巨大化】を解いたシエロを乗せてる。

私の左右のやや後方にはアインとラメドが歩いてる。

さっきちゃんと指示したからか行儀良く付いてきてる。

・・・いやゲームのシステム的に店の食べ物を勝手に食べない仕様なのかも?

いや、でもこのゲームだからな・・・どうなんだろ?


街中を進み、気になった食べ物を買い食いしながら歩く。

今食べてるのは水で戻した凍み餅を焼いて砂糖と黄粉(きなこ)をまぶしたもの。

前に冗談で言ってたんだけど、まさか売ってる店があるとは。さすが乾物の街。


「右手を御覧下さい。ココが生産職は1度は来ると言っても過言では無い生産訓練場です」


ヒルデが右手を掲げ、目の前にある石造りの大きな建物を紹介する。


「へぇ。何する所なの?」


「だから、生産訓練場だって」


「だから、その生産訓練場って何よ?」


「もぅ。南の街に戦闘訓練場があるでしょ?それの生産職版。鍛冶とか縫製とか木工とか色んな生産の訓練を有料で受けられるみたいよ」


「へぇ・・・そう言うのもちゃんとあるんだ」


「・・・私たち誰も生産スキル持ってないよね?」


「ちょっとサンドラ、観光だからね?こう言う物があるって見て回るのが観光でしょ?それじゃ次行くよ!!」


サンドラの元も子もない発言を受けて、ヒルデが次の場所を案内する。

広い場所にザルに入れて色々と天日に干している乾物加工場を見学して、生ハム加工場では生ハムを試食させて貰った。

その後、街の外れに行きちょっと雰囲気のある教会の大きなステンドグラスを見学し不覚にも少し感動してしまった。

しかし、その隣には何故か古めかしいお寺もあった。

・・・大丈夫なのか?ここ?賛美歌の合いの手でお寺の鐘でもつくんだろうか?


ヒルデの調べてきた美味しいと噂のお店で昼食を食べた後、大きな建物に案内された。


「はい。ここが本日のメインの場所だよ」


「何ここ?」


「ここはね、フィールド体験場だよ」


「えっと、詳しく」


「それは入ってから、実際に見てみた方が良いよ」


入口の受付で利用時間を伝えてお金を払い、鍵を受け取り指定された部屋に入る。

何だろう?このカラオケ屋さん的なシステムは。


部屋の中は何も無い白い空間。


「なにこれ?」


「まぁ、見てなさいって」


勝ち誇った顔のヒルデが壁にある操作パネルを弄る。


「ねぇエリザ、得意満面に振る舞ってるけどヒルデもここに来るのは初めてなんだよねぇ?」


サンドラのそんなツッコミを聞き流しつつ待ってると、白い壁も床も天井も眩しく光った。

そして現れたのは一面の花咲く草原。そして雲1つない青い空。


「えっ、なにこれ凄い!!」


「でしょ?ここはフィールド体験場。設定したフィールドを体験出来る場所なんだよ」


「いや、説明に成ってないし」


「これなら分かる?」


ヒルデがまた操作パネルを操作すると、一面の雪原。更に雪が吹雪いて視界が奪われる。


「ちょっと!!ヒルデ!!」


「あれっ!?ちょっと待って!!」


次に変わったのは一面の砂漠。目の前には砂丘が広がっている。


「これで分かったでしょ?ここは色んなフィールドを体験出来る体験施設なんだよ。要は本番前の練習用って感じなのかな?」


「なんで最後に疑問系になるのよ(笑)」


「あぁ、確かに砂漠だと砂に足を取られて上手く動けないねぇ・・・鎧を着てたら更に動き難そう」


「もっと色んなフィールドがあるよ。沼地、砂浜、溶岩地帯、竹藪とか。掲示板でお勧めされてたのは絶壁でロッククライミングとか、浜辺でビーチフラッグとか、田んぼで泥バレーとか」


「へぇ、訓練だけじゃなく遊びにも使えるんだ」


「ただ1つだけ欠点があってね。この部屋の中では何をやってもスキルに経験値が入らなくてスキルレベル上げには使えないんだよね」


「うわ・・・微妙」


「だから、遊びメインだね。あっ、ここにあるボックスには色んな遊び道具が入ってるよ」


操作パネルの下にあるボックスのメニューから中にあるものを見る。

ロッククライミング道具一式、スキー道具一式、バナナボート、バーベキューセット、ビーチバレー道具一式、野球道具一式など色んなものがある。


試しにフリスビーを取り出して、アインとラメドに見せから遠くに飛ばしてみる。

アインとラメドが競ってフリスビーをキャッチしに走だす。

フリスビーを取ったのは・・・シエロ。


サンドラの肩から飛び立って巨大化し、アインとラメドを追い抜いて空中にあるフリスビーを足で掴んだ。


「ちょっとサンドラ、私とアインとラメドの交流を邪魔しないでよ!!シエロは雀でしょ?なんで鷹みたいに足で掴めるのよ?」


「ごめんね。うちの子が優秀で」


むぅ、ここに来て親バカ発動かい。

ちょっとイラッとした。


「アイン!!ラメド!!シエロを咥えて持ってきた方が勝ちね!!」


「ちょっ!!エリザ何言いだしてるの!!」


サンドラの叫びを無視して、遠くではアインとラメドがシエロとじゃれ合い始める。


「ねぇ・・・2人ともペットと触れ合うのは良いんだけど、私はひとりぼっちで寂しいんだけど・・・」


ヒルデがジト目で私たちを見てる。


「ヒルデが仲間に成りたそうな目でこちらを見てる。仲間にしますか?はい?いいえ?」


「ん・・・じゃあ、いいえでお願いします(笑)」


「ちょっとサンドラ!!エリザも変な解説入れないの!!」


「ごめんごめん。それじゃ何しよっか?」


「とりあえず溶岩地帯を歩いてみる?天候設定も出来るよ?」


「凍った湖の上でカーリングも良さそう」


「とりあえず色々と試してみようよ」


ヒルデが操作パネルを弄り始めた。


─────

少し長く休ませて貰いました。

不定期更新で行きたいと思います

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ