東の街の東
翌日、ログインすると今日も先にログインしていたサンドラは膝にシエロを乗せて癒やされていた。
「おはよう。今日もシエロを愛でてるの?」
「あ、おはよう。撫でてると落ち着くの・・・」
サンドラを見てちょっと羨ましくなったのでアインとラメドを呼び出すと左右からベッドに座ってる私の膝に顎を乗せて眠り出す。
・・・ふてぶてしいなこの子ら。
「おはよう!!って何してるの?2人とも」
ログインしてきたヒルデが従魔を膝に乗せてるサンドラと私を見て戸惑ってる。
「いや、サンドラか撫でてると落ち着くって言うから試してたのよ」
「・・・なんかエリザの方は、アインとラメドが主人でエリザが従者とかお付きの者みたいに見えるんだけど」
「えっ?そう?ちゃんと上下関係を教えないと駄目かな?う~ん・・・そうだよね狼って犬の親戚だものね」
「ちゃんと心が通じてれば教育とか躾とか要らないよねぇシエロ?」
「チチッ」
・・・嘘だぁ。サンドラの言葉にシエロが返事したよ。
いや、たまたま鳴いただけだよね?
このゲームの仕様がよく分からない。
「そんな事より2人ともスキルのセットは大丈夫?今日はガチで狩りに行くからね?」
「ヒルデはちゃんと今日行くフィールドの魔物の事は予習してきたの?」
「それはもうバッチリよ?ザックリ言えば2択ね」
「えっ?2択?」
「そう。街の東門から出て北側は森。東側は荒野。それぞれ出る魔物が違うからどっちで狩るかよ?」
ヒルデが二本指を立ててポーズを決める。
「えっと・・・ヒルデ、アイアンゴーレムが出現するのはどっちなの?」
「それは荒野だよ」
「じゃ荒野じゃん!!アイアンゴーレム狩りで稼ぐのが目的なんだから!!」
「・・・まぁ、そうだよね」
ちょっと残念そうなヒルデ。
北にある森の情報も調べてきたから話したかったのかな?
「それでねアイアンゴーレムを調べてきたんだけど、数種類いるみたい」
「えっ?アイアンゴーレムって1種類じゃないの?」
「そうなの。物量で押してくる小型とほぼ1匹で動き回ってる大型がいて、更に手に持ってる武器も剣だったり槍だったり斧だったりと色々居るって」
「個体ごとに攻撃射程が違うのはやりにくいかもねぇ。とりあえず戦ってみて狩れるかどうかだけど」
ヒルデの話を聞いてサンドラが嫌そうな顔をする。
まぁ、先頭に立って攻撃を受けるんだからそりゃ面倒くさいだろうな。
私は後衛で良かった。
・・・ん?あれ?
「ねぇ、ヒルデ。ゴーレムは弓を使ったり魔法を使ったりもしてくるの?」
「あ、それは無いみたいよ?近接攻撃だけみたい」
「あ、そうなんだ。パンチを飛ばしてきたりとか遠距離攻撃もあるかと思ったんだけど」
「エリザあれじゃない?ブロンズゴーレムは武器を使って無かったでしょ?それでアイアンゴーレムは近接武器を使うと言う事は・・・」
サンドラの予想を聞きなるほど思う。
「あぁ、魔物がランクアップすると使う攻撃方法が増えるパターンね?」
「次はスチールゴーレムかシルバーゴーレムか、そうなると遠距離攻撃をしてくる可能性があるって訳か・・・」
「まだ予想だけどね。もしかして小型と大型がまとまって出て来るとかの可能性もあるし」
「うわ・・・それはそれでウザいかも」
一通り情報を交換すると街の東門から出てアイアンゴーレムを探す。
街道を歩くと街道を境に左手側は草原が広がっていてその先には森あるのが見て取れる。
右手側は草が生えてない土が剥き出しの荒野。
「・・・ねぇ。あれは何?」
少し離れた所におかしな魔物?がいる。
金属製の小手が人差し指と中指を使って二足歩行をしている。
ジャンケンのチョキを逆さにしたような体勢で小手・・・ガントレットが何匹も歩いてる(?)
「えっと・・・何か問題なの?」
「えっ、あの歩き方は無いでしょ?」
「えっと・・・エリザは五本指でカサカサ歩く方がいいの?」
「いや、それもあれだけど・・・」
「あっ、エリザ逃げよ!!あの魔物は厄介な魔物だよ?」
戦闘態勢を取りながらも馬鹿話をしてる私とサンドラにヒルデが声をかける。
「えっ?逃げるの?サーチ・アンド・デストロイが私たちの合言葉でしょ?」
「ちょっ、サンドラ。そんな合言葉なんて無いから。あれは厄介な魔物なんだよ?人呼んで『戦士キラー』」
「・・・もしかしてあれアイアンゴーレムより強いの?」
「強いかどうかは置いといて純戦士と相性が最悪と言って良いほど悪いの」
「なら私たちは大丈夫じゃない?純戦士が1人も居ないから。純魔法使いと色物戦士が2人だもの」
「ちょっと誰が色物戦士よ?ヒルデはそうかも知れないけど私は純戦士だよ?」
「それにエリザは魔法使い崩れだものね」
「えぇ・・・ヒルデの言う通りに授与魔法と強奪魔法を覚えたのにその言い草?」
「エリザ!!ヒルデ!!気付かれたよ!!」
サンドラの声で魔物の方を向くと二本指で歩いてたガントレットが紫色のオーラを纏い空中に浮かびだした。
「えっ、あれ空を飛ぶの!?」
「エリザ!!バフ掛けて!!」
ヒルデの声で我に返り、サンドラに力授与の魔法をかける。
空に浮かんだガントレットはその場で魔法を放った。
「ちょ!!範囲魔法!!」
数匹いるガントレットが一斉に私たちに向けて範囲魔法を放つ。
1発1発の魔法は弱いけど連射されるのはキツい。
「ファイアボール!!」
私が魔法を放ちガントレット1匹に命中させるがあまり魔法でのダメージが入ってないように見える。
「エリザ!!叩き落とすよ!!」
「分かった!!」
サンドラが手斧をガントレットに投げ付け1匹を地面に落とし私に指示を出す。
サンドラの指示に従い私は魔法を発動させようとしてるガントレットに走り寄ってメイスを叩き付け魔法を中断させる。
残りのガントレットは私たちを包囲するように展開し範囲魔法を撃ってくる。
空中に浮いてて、ガントレットだけと小さいので攻撃を当てるのが面倒くさい。
私とサンドラで1匹1匹倒していくと、ヒルデから回復魔法ではなくHPポーションが飛んできて身体にブツかり瓶が割れて私のHPが回復する。
「あれ?ヒルデ!?」
「範囲魔法で回復魔法の詠唱をジャマされるのよ!!」
それから数分後、何とかガントレットを全滅させた。
「ん・・・これは次からは避けれるだけ避けた方が無難ね」
「でしょ?まだアイアンゴーレムと戦って無いのにボロボロだよ?HPポーション代も馬鹿にならないし、連戦が続くとポーションに酔うわよ?」
「範囲魔法を連射してくるのは反則だよねぇ。私、今日は【鉄魔法】と【魔力操作】のスキルを装備してたからまだ魔法防御が上がってたから良かったけど無かったら回復で手一杯で攻撃する余裕が無かったかも」
「『戦士キラー』って言われる訳が分かったよ。あれは純戦士には厳しいもの」
「魔法が効きにくかったから純魔法使いも倒すのは大変じゃない?」
「魔法戦士とか神官戦士みたいなスキル編成が1番向いてるのかも。魔法防御が高くて物理攻撃できるスキル編成が」
「ガントレットのHPはそんなに高くないからねぇ」
そんな会話をしながらヒルデの回復魔法でHPを回復させる。
「ねぇ、エリザ。魔法が効きにくかったら強奪魔法で魔法防御を下げてから魔法を撃ち込めば良かったんじゃないの?」
「まだレベル低くて魔法防御強奪を使えないんだよね。それに仮に使えたとしたも授与魔法も強奪魔法も単体魔法だから、1匹1匹かけるよりは自分で殴った方が早い気がする」
私が理由を言うとサンドラもヒルデも残念な者を見る目で私を見る。
「あ・・・エリザにバフやデバフは性格的に合わないのかも」
「エリザは脳筋だからね。あ、あとレベルが上がれば範囲掛け出来るようになるらしいよ」
酷い言われ様だ。
確かにバフデバフは私やサンドラよりはヒルデ向きなんじゃないかと思う。
「もう、取っちゃったんだから仕方が無いでしょ!!今は使い慣れないから使うって選択肢に上がらないだけで、馴れればちゃんと使いこなせるようになるわよ!!」
「はいはいエリザ。アイアンゴーレム相手に使いこなしてくれるの期待してるからね」
ん・・・まぁ自分でも使いこなしてる未来が見えないから良いんだけどさ。




