表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/115

掲示板情報

「とりあえず道具屋に行こう」


ヒルデが唐突に提案してきた。


「道具屋に行ってどうするの?」


「いや、当然買い物でしょ」


「それは分かるって。何を買うの?」


「今日は1日狩りする予定なんだから、HPポーションやMPポーションを買わないと。あとお昼ご飯も」


「あ、そう言えばスタミナゲージどうなった?」


「あ・・・忘れてた」


「確実に減ってるね。朝ご飯も食べないと駄目よこれ」


「ねぇ、ヒルデ。美味しいご飯屋さんは掲示板に書き込みなかった?」


「攻略の情報ばかり見てて、食堂とかは調べてないや」


「駄目じゃないの。ちゃんと調べとかないと・・・私やエルザが困るじゃない」


「いやいや自分で調べなよ!?ログアウトしてから何してたの?」


「私は夏休みの宿題やってた」


「御苦労・・・あとで見せてね」


何を話てるんだコイツらは。


「ねぇ、話が脱線してない?朝ご飯とポーションの話よね?スタミナを回復させるスタミナポーションとか無いの?」


「そうそう。ポーションはHPもMPもSTもそれぞれ1000マニだって。他にも状態異常回復ポーションもあるけどそっちはもう少し高いって」


「1000マニ・・・それじゃポーションがふ飲みで回復だと赤字になりそう」


私が呟くと、即座にヒルデの注釈が入る。


「あ、ポーションがふ飲みは出来ないみたい」


「どう言う事?」


「酔うって」


「酔う?気持ち悪くなるって事?」


「そっちじゃなくって酔っ払うみたい」


「えっ、ポーションってお酒なの?私たち飲めないじゃん!!」


「サンドラ、ここはゲームの中だから問題ないみたいよ?ゲームの中で未成年がお酒を飲んではいけませんって法律は無いから。まだ」


このゲームの運営は微妙な処で攻めるな・・・。

自分達が少ない時間で酒盛りしたいとか欲望があるのかな?


「それ・・・倫理的に大丈夫なの?」


「大丈夫なんじゃない?今は。それでね、立て続けに飲むと【千鳥足】【判断力低下】【酒乱】と状態異常が付くんだって」


「酒乱って・・・」


「敵味方の区別が付かなくなって誰彼構わず攻撃するようになるってさ」


「ソロなら問題ないのかな?酔拳無双とか出来そう(笑)」


「それがね。森で酒乱の状態異常付いたソロプレーヤーが、木を延々殴ってたのが目撃されてる・・・」

 

「駄目じゃん!!」


「ソロだと判断力低下が付いた時点で詰みそうだね。誰もそこで止めに入る人が居ないものねぇ」


「だからポーションは戦闘中に飲むなら2、3本ぐらいが限度みたいよ?」


「ん・・・酔っ払いの状態回復ポーションは無いの?」


「それ、あれだよね?いわゆる迎え酒。駄目なやつじゃん」


「ポーション酔いの状態回復ポーションは無いみたいよ?」


「私たちはポーションガブ飲みはしないかな。だってポーション4本で宿屋1泊分よ?無駄遣い駄目絶対」


そう。馬小屋は避けたいのよ。私は。


「ねぇ、とりあえず宿屋を出て朝ご飯を食べない?」


「じゃ、朝ご飯、道具屋と回ってから狩りね」


話がまとまり宿屋を出る。

宿屋を出て、ヒルデが調べてきた近くの道具屋に向かう途中でパン屋を見つけた。

何が美味しいのか分からないので、お店のお勧めのコッペパンに野菜やハムらしき物を挟んだサンドイッチ(?)と果実ジュースをそれぞれ買う。

サンドイッチと果実ジュースで600マニだった。

昼ご飯の分も勝ったので合わせて1200マニの出費。

あれ?宿屋で食べると500マニだったはず。判断ミスったかな?


片手にサンドイッチ、片手に果実ジュースの入ったコップを持ち歩きながら食べる。

行儀が悪いなとも思ったけどゲーム内だから気にしない。

気分はホットドッグを食べながら歩くニューヨーカー。

海外旅行した事が無いからイメージだけど。


丁度、食べ終わった頃、道具屋に到着する。


「いらっしゃいませ」


若い女性の店員さんが出迎えてくれる。

店内には他にも何人か店員が居て男の店員もいる。

さらに何人かプレーヤーも店員に案内され色々と品物を物色してる。


「何をお求めですか?」


「えっとHPとMPポーションをください。えっと・・・HPポーションが7個、MPポーションが5個お願いします」


こう言う時のヒルデは頼りになる。

私は軽く人見知りだから避けれるのなら避けたい。


「サンドラは魔法使わないからHPポーション4つね。エリザはHPポーション1つにMPポーション3つ。私はHPとMPそれぞれ2つづつ。1人4000マニね」


仕切る人が居ると楽だ。

一家に1台欲しいヒルデ。


言われるままにお金を渡し、ポーションを受け取る。

宿屋でも買い物も終わり、いよいよ門の外に出て狩りに行く。


「あ、そうそう忘れてた。メニュー画面のオプションからHPバーやMPバーを常時表示に出来るからやっといた方が良いよ」


ヒルデが突然言い出す。


「えっ、なにそれ?」


「えっ、みんな設定してなかったの?」


「えっ、サンドラは既に設定してたの?」


三者三様に驚く。


「初ログインしてみんなに合流する前に設定済ませておいたよ?2人がやってなかった事に驚きだよ」


「と言うか常時表示って何?」


置いてけぼりの私が話に割って入る。


「視界に常にHP、MP、STバーを表示させとく事が出来るんだよ。わざわざメニュー画面を開いて確認するより楽でしょ?」


なるほど・・・。

言われるままにオプションから設定してみる。

視界の上の方に赤いHPバー、青いMPバー、黄色いSTバーと3本のラインが表示される。


視界の左下の方にはリアルでの日付、その下にゲーム内の日付がそれぞれ小さく表示される。

ゲーム内の日付は何月何日まではリアルと同じだが、その後に4Qと表示されてる。

Qはクォーターと読むらしく、リアル時間で0時から6時までが1Q、6時から12時が2Q、12時から18時までが3Q、18時から24時までが4Qになるらしい。


視界の右下にはリアルの時間とゲーム内の時間が表示された。

右を向いても左を向いても上下に頭を振っても変わらず確認できる。

ちょっと視界が遮られて邪魔かも。


「サンドラは知ってるかもだけど、そのバーはパーセント表示だから人によって総量は変わるみたい」


「どう言う事?」


ヒルデが何を言ってるか分からない。


「えっと・・・例えばサンドラがHPが満タンで100、エリザのHPが満タンで10だとするでしょ?それぞれ5ダメージ受けるとエリザのHPバーの長さは半分になるけど、サンドラのHPバーは殆ど長さが変わらないって事」


「んっ?」


「つまり2人がそれぞれHPバーが半分だったとしても残ってるHP量は違うって事。さっきの例だとサンドラは残りHPが50に成ったらHPバーが半分になるけど、エリザは残りHPが5の時にHPバーが半分になるみたいな」


「なるほど。MPやSTバーも同じ仕様?」


「そう。それで自分、他人含めて総量は隠しデータだから確認出来ない。と」


地味に不便だ。

なんでそんな不便なシステムにするかな。

・・・もしかして糞ゲーかな?このゲーム。


「と、言う事で狩りに行こう」


既にログインしてから1時間半ぐらい経ってる。

なんでこうも時間がかかるかなぁ・・・。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ