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ログイン準備

「ねぇ、葵?聞いてる?」


今回の提案者、凜が叫んでる。


「ちゃんと聞いてるよ。多分聞いてないのは祐奈の方だと思うよ?」


「私は聞いてるよ~。誰かとは違うもの」


祐奈は一言多い。


私たちが何をしてるのかと言うと、携帯電話のマルチ通話であと1時間でサービス開始となるVRMMO『fantasy experience online』(ファンタジー エクスピアリアンス オンライン)略してFEOのログイン準備の最終確認。


本日は7月の海の日の前日。

学校の終業式を午前中で終え、急いで家に帰ってきた。

サービス開始は午後3時。

なんでこんな中途半端な時間にサービス開始になるかと言うと、ゲームの中では時間の進み方が違ってリアルの1時間がゲームの中では4時間と言う事になる。

リアルと同じで真夜中の0時に日付が変わり、リアル時間の朝6時にゲーム内では24時間、つまり丸一日経過すると言う事になる。

リアル時間で午後3時とかゲーム時間では12時、つまりお昼の正午。


「ちゃんとキャラ作った?キャラネームは悪ふざけ禁止だからね。真面目に洋風で付けてね」


ゲームソフトと付属品は3日前に家に郵送されて着てる。

サービス開始前にキャラクターを登録して保存しておけると言う事で既に作成済みである。


このFEOは自由に歩き冒険できるMMOと宣伝してたわりにはキャラ作成の自由度は低かった。

性別を変えれない、身長や体型を大きく変えれない、唯一自由にイジれるのは顔と髪形ぐらい。

ま、顔がイジれるのなら変身願望も叶えられ、リアルバレもしないのでそこまで不満は無いのだが。


「バッチリよ?真面目に作った。イメージは深淵の魔法使い(笑)」


「えっ?お婆ちゃんキャラを作ったの?」


「ちょっと!!葵!!」


「違うって!!祐奈も凜も勘違いしないで。クールビューティに仕上げたから!!皺1つ無いから!!」


「本当に?信じるからね?あとはちゃんとエアマット引いた?」


このFEOだけど寝た状態で長時間VRMMOの中にログインする事になるので、時間で中の空気が入れ替わって身体に接する凸凹の位置が変わる床擦れ防止のエアマットが付属品として付いていた。


「大丈夫。そもそもいつも最終的にやらかすのは私じゃなく祐奈でしょ?」


「私はうっかりミスだけど、葵はわざとやるから注意されてるんでしょ?」


「それうっかりミスの方が癖悪いと思うけどな…」


「じゃ、フレンドコード交換しよう。ゲームにログインして始まったら真っ先に連絡を取り合って合流しましょ」


「ゲーム内じゃお互いに姿が変わっているものね。今キャラの見た目を教えようか?」


「それは駄目。会ってみてのお楽しみが良いんじゃない」


「凜もキャラ作り込んだの?」


「もちろん。ファンタジーの王道キャラを作り上げたわ」


「王道って何さ(笑)」


「あ、ゲーム内ではチャットや通話とかリアルタイムのやりとりは出来なくて、メールでのやりとりになるから気を付けてね」


「変なとこで不便だよね?このゲーム。もしかして糞ゲー?」


「前評判は良いからそこまで酷くは無いと思うよ?たぶん。だったら良いな・・・」


「糞ゲーは止めて・・・糞ゲーの為に3ヶ月も早起きして野菜収穫のバイトしてたとか悲しくなるから」


「えっ?楽しかったでしょ?キュウリとか絹さやの収穫」


「学校に行った時点で1日の半分が終わった気分になるのがちょっと」


「早寝早起きが身に付いたよね」


「そんな事はいいの。ゲームを始める準備はOK?」


「大丈夫。あとは装具を付けて寝っ転がるだけ」


「私も大丈夫」


「じゃそろそろ時間だからゲームの中で詳しく話そう」


「分かった。じゃあね」


「はーい」


電話を切ったあと、さっそくFEOの装具を身に付ける。

まずは肩掛けの様な後頭部からうなじをカバーする器具を羽織ってマジックテープで喉の処で留める。

右手に専用の手袋をして手首の処でこれもマジックテープで留める。

次に独特の窪みの付いた専用の枕を準備し、フルフェイスのヘルメットの様な本体を被ってベッドに寝転がる。

肩掛けとヘルメット、手袋はコードで繋がってて更に電源とネット回線へとそれぞれコードで繋がってる。


仰向けに寝てヘルメットの電源ボタンを押すとヘルメットの中のディスプレイにメニュー画面が浮かぶ。

それを右手の指で矢印を動かし[GAME START]をクリックすると瞼が重くなり意識が遠退いていく。








脱字修正しました。20211013


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