閑話 とあるこの世界の普通のエルフ冒険記
続きモノ
別視点に挑戦…意味はない。
…今の所は?
ではどうぞ?
俺様はこの世界で一番偉大な種族のエルフ族の冒険者だ。
今は100年ぶりに国を出て、世間知らずな王族のおぼっちゃまを護衛している。
それにしても人族は弱っちぃ、ちょっと魔法で脅かしただけでヘコヘコしてきやがる。
しかし……この街は何かがおかしい…俺様がエルフだと聞いてもちょっと驚くだけでその後の態度が変わらない…街中で女を調達しようとすると、昔…親父に連れてってもらったドラゴンみたいな殺気が何処からか飛んできてそれどころじゃない。
「聞いてますアニキ?王子が酷いんですよ〜」
「…私は貴様如き俗エルフが、先程の高貴さを溢れんばかりに漂わせている私の嫁に邪な考えを抱いた貴様を……」
横で王子と子分が言い合いをしているが、いつものことなので放置する。
「いや、でも良い女でしたねアニキ?あれだけのエルフは国でも見たことないですよ。」
もう1人の子分が思い出すように上を向きながら、俺に話しかけてくるのを聞き流し、クエストと気分転換がてら出てきた街道を歩きながら、あのエームの街のおかしな点を改めて考えてみる。
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到着した日……南門
「俺たちはエルフ様だぞ!下等な人族如きが!どきやがれ!」
検問に並ぶ列を、いつものように通り過ぎようとした時、
「…煩いのじゃ…ん?ふわぁ……エルフかの?」
「あ…よ、ヨルドさん起きちゃったんですか?も、もうちょい寝てても…」
検問所のすぐ近くで待っていた馬車からは白い見たこともない服を纏った紫色の髪の美女が眠いのか、目を擦りながら出て来る、その後に続いて醜い肉達磨のような人族が現れて美女の袖を引き馬車の中に戻そうとする。
「おっ?!いい女じゃねぇか、おい姉ちゃん!今から俺らとイイコトしようぜ?」
「…んみゅ………ん?…姉ちゃん?……妾の事かの?」
清楚な雰囲気の女性が擦っていた子分の眼を見て一言言った瞬間に、子分はピクリとも動かなくなり一言も喋らず身動きひとつない。
「おい、どうした?」
「あーー、も、申し訳ないですぞー、コレを飲めば治ると思いますのでどうぞ?…ぼ、僕らの番ですな?で、でわ、お大事に。」
石のように固まった子分の様子を見た太った醜い肉達磨が、俺様に薬瓶を渡して馬車と共に門の中に消えていった。
「なんだコレ?…まぁいいか、ほら!さっさと起きやがれ!」
「…………あれ……俺確か……」
薬瓶の中身を子分の頭にぶっかけると焦点の合わない虚な眼をして子分が頭をぶんぶんと振る。
どうやら気付け薬かなんかだったのだろう、ヒト如きだったが役に立ったようだ今度会ったら褒めてやろう。
……しかし、あの人族は何故エルフを怖がるそぶりを見せなかったのだろう?
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冒険者ギルドにて…
「……なぁ?アンタ達もエルフだろ?悪い事は言わねえから早くこの街を出た方がいい。」
王子様がレストランで高級料理に舌鼓をうっていた時、酒場スペースで飲んでいた俺様達のところに来たエルフの同業者が話しかけて来た。
「なんだ?俺様が、ドラゴン殺しの英雄"滅龍の"ハマルフの息子ハメルフと知って声をかけてきたのか?」
「なんと!滅龍の御子息か…しかしこの街は場が悪い…」
俺様に話しかけてきたエルフはBランクの冒険者らしく一般的なエルフ族の感性を持つ一般的なエルフ族だった、滅龍の息子と聞いて驚くも、まだ街を出た方が良いという。
「ここは変わった街だ…エルフ族の特権が使えないし、少しでもいつも通り我を通そうとすれば奴が……金色の悪鬼が襲って来るぞ…」
「金色の悪鬼?何だそりゃ?」
「いいな?忠告はした、俺はもう国に帰るとするよ…まだまだ強くなれる可能性を見つけたからな…」
そう言って冒険者のエルフは立ち上がり、酒場を後にした。冒険者エルフの顔は何処か晴れやかだったのが何故かすごく気になっていた。
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「!?アニキ!ゴブリンです!」
子分の声で現実に戻ってきた俺様は、とりあえず目の前のゴブリンを殺すべく動き出す。
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「…妙だな…」
「む?どうかしたのか?」
ゴブリンを倒し終えて違和感を感じた俺様が呟くと、王子様が反応する。
「…いや、妙に統制が取れていた気がして……な?」
「そうか?いつも通り私の魔法で倒せたではないか。」
自信満々に胸を張りドヤ顔で仰る王子に、そりゃあお前の魔力で吹っ飛ばせば関係ないし分からんだろう?と、言いたい気持ちを飲み込んで同意を示す。
すると…
ードッカーーッン!ー
大きな爆発音と爆風が辺りを包む、子分達は吹っ飛ばされて木に叩きつけられ、気を失ったようだ。
王子様は少し耐えた後に飛んで来た紙束が、思いっきりぶつかってその場で倒れた。
その後も、爆発音と爆風が吹き荒れる戦場の中を駆け回り、俺様はなんとか全員を洞窟に避難させることができた。
「…ハハ…ハハハハハ……アーーッハッハァ…?もう終わりィ?つまんねーなぁ…オイッ!そこ逃げてんじゃネェッッ‼️」
何度目かの爆音の後聴こえてきたあの恐ろしい声は…
…遂に魔王が襲来したのか?と、俺様は思った。
閑話の閑話 とある夫婦の会話
「御主人様よ?良かったのかの?先程の小童に譲り渡したのは"えりくさあ"ではなかったか?」
「だってあのエルフさん石化始まってましたし…エリクサー位いくらでも調達出来ますからね?」
白い着物の美女ヨルドが太った醜い肉達磨のノルアドに門での一件の確認をする。
「むむ、それでは……今日はお仕置きかのぅ♪」
「う。嬉しそうな……な、泣き喚いても辞めませんよ?デュフフフフ……」
頬に手を当ててしなを作り恍惚とした表情のヨルドに、目の奥を輝かせたノルアドが嗤う
超ドM美女と拘束趣味のおデブ…いい夫婦?だった。