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決着と後始末

続きモノ


昨日は親戚の夫婦喧嘩を観戦するという謎の月間行事に参加した為、疲労でお休みしました…


ではどうぞ?

「……これはまた……派手にやったなぁ…」


「……ま、まぁ?……死人が出なかったし………」


「………………俺の監視塔が……」


落ち着いたロイテストがボコボコにしたランテル(バカ息子)をずりずりと引きずりながら歩いて来てメディナ達に合流すると晴れやかな…返り血塗れの笑顔で「帰ろっか?」と言われ、大人しくついて行く

そして最早…戦争でも合ったのかと思えるようなクレーターだらけの道を歩いて南門に辿り着くと、アサゲ以外の兵士が口々に感想を述べる。


「私たち…先程この門を潜って出て来たんですよね?」


「うん、メディナさん……間違ってないよ?確かに俺たちはこの門を通って街を出た、それは間違いない……」


メディナも数時間前の南門を思い浮かべながら疑問を口にすると、ランテルが視線を少し前を歩くロイテストに向けながらそう答える。

視線の先のロイテストはスキップをしながら嬉しそうに…


「いや〜ゴブリン共めっ、私の大切な街をこんな目に、本当にゴブリン共めっ!」


と、このボロボロになった南門を全て、ゴブリンのせいっ!と強調し続けて居た。


*****


「おいお前ら何突っ立ってんだ!もう動かんだろ!さっさと後処理始めやがれ!」


東門も戦闘はほぼ終わり、僅かな追撃部隊以外の手の空いた冒険者達にリバーゼが大声で命令すると迅速に動き出す。


「ったく…ぼーっとしてんじゃねぇよ、おいそこ!リプシンに服持って来てやれや!コイツ今痴女同然の格好だからよ!」


オークロードのオロークに服を全て破られ、先程リバーゼに被せてもらったぼろぼろの上着を羽織っただけのリプシンを指差し、大声で1番近い女性冒険者に指示を出すリバーゼ……1番近いと言ってもかなり距離があり、男達の視線がリプシンに集中する。

リバーゼの上着で隠れているがぼろぼろの為所々露出していて逆に官能的に見える…視線に気が付いたリプシンが顔をリンゴのように真っ赤に染め、ぼろぼろの上着を頭から被ってうずくまる。


「ん?どうした?怖くてちびったか?」


「…………アナタのっ!そういうところがっ!私はっ!大嫌いなんですよっ!……って……言ってるでしょうぅっ!!」


足下でふるふると震えるリプシンのふんわりとした金髪を上着ごと撫でながら顔を覗き込もうとしたリバーゼは、支援魔法の光を神々しく光らせたリプシンのボディーブロー、頭の落ちて来たところにフック、アッパーで打ち上げて、とどめとばかりに飛び上がったリプシン渾身のチョッピングライトで地面に叩きつけられる。


後頭部から煙を上げて倒れ伏すリバーゼを見た全員が思った……


お前、それ使えば勝てたんじゃね?……と。


そして、魔力を使い果たしたリプシンが倒れ込んだ先は、仰向けに倒れていたリバーゼの懐で…幸せそうな顔で気絶していた。



*****


「と、言うわけで戻ってきましたいつもの我が家!」


パチパチと拍手をするロイテスト、よく分かっていないのかリルだけがロイテストと一緒に嬉しそうに拍手をしている。


「ゴラム君がリルちゃんに手を出したと聞いた時は殺そうか悩んだけど…誤解でよかったね?」


「ローテが全力出したらこの街地図から消えるぞ?それに……ストレス発散してきたんだろ?」


まだ血の気が収まっていないのか笑顔のまま恐ろしいことを言うロイテストに、ゴラムが呆れたように返すと、


「雑魚ばっかだったけどね?」


若干は発散したよ?と、笑顔で返事をした。


「そう言えばメディナちゃん、ねねちゃん大丈夫?顔色悪かったけど…」


「はい、変な黒尽くめの男と冒険者ギルドで戦闘になったそうです…って言ってもすぐ逃げちゃったみたいですけど…」


ロイテストがこの場に居ないねねを心配して、先程上に連れて行って休ませたメディナに聞く。

メディナは長い髪をロスとリルに「「さらさら〜♪」」と、弄ばれながらそう答える。


「冒険者ギルドに泥棒か〜…何を盗ったか…それが問題だね……」


「だいぶ荒らされたみたいでリバーゼよりリプシンさんの方が怒り狂ってたな…犯人見つかったらどうなることか…」


元々が大雑把なリバーゼが無くなったものなど分かるはずもないので、魔力の使い過ぎから気絶していたリプシンが髪を掻き毟り苛々しながら目録と睨めっこして、その横で怒られながら一緒に確認作業をしているリバーゼが容易に想像できるゴラムが、犯人に同情する。


「黒尽くめで転移……かぁ…あれ使える奴は少ないはずなんだけどなぁ…」


その場にいたメディナを除くこの世界の常識、かなり高位の魔法使いか貴族の屋敷が買えるほど高い転移アイテムを使用しないと使えない転移魔法を使って盗む物とは一体なんだろう?と考え込む。


「ママ、ロスお腹空いた。」


「りるも〜、おなかぺこぺこ〜…」


いつの間にかメディナの膝の上で、あまり豊かではないメディナの双丘に顔を埋めていたロスとリルが空腹を訴える。


「それじゃあおやつ作りましょうか?…ママはこう見えてもお菓子作り得意なんですよ。」


膝の上のロスとリルに、メディナは笑顔でそう言って膝から下ろして立ち上がる、それを聞いた2人も歳相応の子供のように喜び飛び回る。


「あぁ…2人ともまだ服がぶかぶかだから色々見えちゃうよ……ここにはロリコンさんもいることだしね?」


ロイテストはニヤッと笑ってゴラムを見ながら2人に注意する。

2人は結局服が買えなかった上に、リルは巨大な狼の姿になった時にギルドで貰った服すらビリビリに破れてしまい、今は一部分以外はかなりぶかぶかなロイテストの服を着て飛び跳ねており、ロスはぶかぶかなギルド服で飛び跳ねるたびにばたばたと服が翻り胸から下の下着までほぼ丸見え…

リルは……


「ん〜〜♪ふ〜〜♪」


鼻歌を歌いながら飛び跳ねるたび、強調された見た目の年齢に不相応な(シロモノ)がぶるんぶるん揺れていた。


「ぐっ…リルちゃん…何故そこだけ私より…これが…持つものと持たざるものの違いか……」


それを見たロイテストが膝から崩れ落ちて敗北感に苛まれていると、それを見たリルがトコトコ歩いてきて…


「ろーちゃん、およーふくありがと〜♪………でも…ここがちょっときついの……」


パツパツに張った服の胸の部分を摘んだリルが、悲しそうに目尻に涙を浮かべているロイテストに言った言葉がとどめになり、ロイテストは、


「ちくしょーっ!私はこの胸でランテル君を育てたんだぞー!良いじゃないか!小さい胸でもっ!……でも……ゴラム……は……好きだって…………ぞーーっ!!……」


と叫びながら部屋を飛び出して行った。

盛大に飛び火したランテルとゴラムが走り去ったロイテストを必死に追いかけて行くが、捕獲されて連れ帰るまでにランテルとゴラムが小さい胸が好きだと言う誤解を招く表現がエームの街中に広まってしまった。


取り残されたロスとリルはいきなりの出来事に呆気に取られていると、


「焼けましたよー、スポンジケーキ!自信作なんです……あれ?…皆さんは…どちらへ?」


スポンジケーキを焼いてきたメディナが部屋に戻って来た。

お腹の空いていた2人はおやつを食べると、うとうとし始めてメディナの膝に頭を乗せて可愛いいびきをかき始めた。


「…………まさか、彼女が出来る前に子供が出来るとは……今更男となんて考えられませんし…この子達可愛いからいいか!」


安らかな顔でスヤスヤと眠るロスとリルの対称的な色の髪を撫でながらそう呟くメディナだったが、男の部分で何故か一瞬だけランテルの顔が浮かぶ。


「…いやいや、ないない…そんなバカな事があるはずがありません…そう、バカな事が……」


メディナが自分の考えを振り払うように首を振り、忘れる為に今日から色々とどうしようか考える。

しかし、メディナの顔は赤く染まり、言い表せない奇妙な感覚を体感していた。


*****


「全く…あの方もあんな危険な存在が居るなら早く言って欲しいものです…寿命が少し縮まりましたよ…」


エームの街から遠く離れた山岳地帯、黒尽くめの男は1人で霧が充満している獣道を歩きながら愚痴る。


「全く……"コレ"を盗まれるようなところに置くのがそもそもの間違いだと思うのですが……」


そう言って黒尽くめの男が懐から取り出したのは"黒いクリスタル"で、男はそれを木々の隙間から僅かに挿し込む光に照らす。

そこには、手のひらサイズの小さなチャイナ服の女の子が封印されていた。


「…コレも古代文明の遺物というものですか……見た感じは超高精度なお人形なんですが…コレが古代の超兵器(始祖精霊)ですか」


赤毛の小さな女の子が入ったクリスタルには"typeR01フレイア"と書かれていた。

あふたー

とある魔法道具店


「ほれ!さっさと働くのじゃ!」


白い着物の美女が2メートル以上はゆうにある大男に足蹴りを入れて急かす。


「敗者は勝者にただ従うのみ…」


「いやいやヨルドさん、この人?まだ傷が完全に癒えて無いんだからお、お手柔らかに……」


美女からの足蹴りを甘んじて受け入れる大男、それを太った男…ノルアドが諫めると


「御主人様がそういうんじゃったら…おい小僧、貴様御主人様に感謝するんじゃのう、情報も持っておらんかったおぬしなど活かしておく必要など……微塵も無いんじゃからな?」


態度を豹変させた白い着物の美女ことヨルドが、大男のサイクロプスロード"サイロ"を睨みつけながら悪態をつく


「人手が欲しかったのと、人化の指輪試作品の良い実験対象ですからな!よろしくお願いしますぞサイロ殿!」


その日から、ヨルドに叩きのめされたサイロは、ノルアド魔法道具店の店員になった。

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